大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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二章 濡れ衣の男を救え!!

第十八話 迫る危機、幸助大ピンチ

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 数時間後・・・。

「おい!何処に行った?」

「探し出せ!まだ近くにいるはずだ!」

 空は青から黒へと変色し、真っ赤に燃える太陽ではなく静かに輝く月が昇ってきている。王国騎士との戦闘が始まってから数時間。俺は未だに王国騎士達を倒せないでいた。

 1人1人の力は大した事はない。剣の軌道もゆっくりでみやすい。しかし、数が多すぎる上に鎧を着ている為、攻撃が全く通らない。やっと1人倒せたとしても、応援がきて数が減る所か増える一方だ。

「はぁ・・・はぁ・・・これは怪我を治しに行った方が賢明かもな」

 王国騎士達にもみくちゃにされたせいで右腕だけじゃなく、全身に切り傷を負ってしまった。お陰で剣を握る所か動いているだけでやっとの状態である。今は路地裏に隠れているが、見つかるのも時間の問題だろう。

 路地裏だけを使いながら教会エリアへと移動する。金属のこすれる音が聴こえたら身を隠し、俺の名前を呼ぶ声が聞こえたら別の道を歩く。まともに動かない身体を引きずりながらようやく教会へと到着した。教会には再生の奇跡が使える知りあいの神父さんがいる。事情を話せば治してくれるはずだ。

 ひと握りの希望を抱いて、路地裏を歩いていく。そして、ついに教会近くへ辿り着く事ができた。あと少しだ・・あと少し・・・。あと少し歩けば傷が癒せる。

 壁に手をつきながらゆっくりとけれども確実に近づいていく。1歩、2歩、3歩・・・と。路地裏を抜けようとする。街灯の光が俺を迎え入れているようだ。

「はぁ・・・はぁ・・・つ、着いた・・・!!」

 そして、ついに教会の前へと到着した。周りには騎士の姿はない。身体を支える壁が無くなった為、ほふく前進で教会の扉の前に近づき、取っ手を掴み立ち上がる。

「し、神父さぁん・・・!」

 最後の力を振り絞り、倒れながら扉を開く。王国騎士に追いかけながら、全身に傷を負いながら教会へと辿りついた俺を待っていたのは・・・。












「やぁ、どうも。コウスケ・イズミ」

 礼拝堂いっぱいの王国騎士だった。

「ははっ・・・全員でお出迎えは嬉しいね。お前らの事が大好きになりそうだよ。本当に」

「我らの仲間を殺したツケ、払ってもらうぞ」

 礼拝堂にいる約45人の騎士が一斉に武器を手に持つ。一方の俺は床に仰向けになって倒れた。

「捕らえろ!」

「「はっ!!」」

 騎士2人が近づいて来て俺の身体を持ち上げる。もう目を開ける気力もなくて分からないが、右手首の冷たい感覚から手錠をかけられているのが分かる。

 これから拷問で受けるのだろうか?それとも仲間を殺した恨みと言ってシンプルな暴力を受けるのだろうか。どちらも嫌だが、前者の方が嫌だな。情報を吐くまで人体を痛めつけられるわけだし。これが女神アモーラに逆らった天罰なのだろうか?

 これから受けるであろう拷問または暴力にため息を吐きながら俺の意識は遠ざかっていった。



「ったく、てこずらせやがって・・・」

「噂通り無駄に強かったな、コイツ」

「まあ、強すぎた故に傲慢だったな!」

「貴族の商売事情に口を挟むのは自殺行為を超えた家系破壊行為なんよ!バカな俺でもやらんわ!」

 男達の下品な笑い声が礼拝堂に響く。礼拝堂の奥には血を流して倒れる神父と修道女がいた。幸助がやってくる事を予期した下衆な王国騎士達の仕業である。

 彼らは貴族の出で、ほとんどが甘やかされながら間違った教育を学びながら育ち、経歴目当てで王国騎士団へと入団した。故にあまり強くはなかったが、人を人とは思わない性格によって、実力のある幸助を約50人かかりで捕まえる事に成功した。今、彼らの頭にあるのは名誉と金、そして女である。

 国王も王国騎士達がクソの役にも立たない事を重々理解していた。王国騎士に在籍しているアルベール家に多大なる恩がある為、強くは言えない状況に立たされているのだ。自分の愛する国がどんどん腐っていく様をただぼーっと突っ立って見ている事しかできないのだ。

 今回の幸助確保の一件で、力を貸した自警団は責任を負わされ解散。消去法で次に町の治安を守っていくのは今まで全く働いてこなかった王国騎士団になる。しかし、彼らは変わる事はない。やがて治安が守られなくなった城下町には犯罪が飛び交い、フラム王国の崩壊は秒読みになるだろう。

「待たれよ、そこの者」

 幸助を運ぼうとする王国騎士達の前に奇妙な被り物を被った異国風の男、背丈の低い銀髪の少女、背丈の高いマロンカラーの僧侶風の女の3人が立ちはだかる。

「おいおい、アンタら俺らが誰なのか知ってて言ってんのか?俺らはこの国の最高戦力である王国騎士d──────」

 1人の騎士が吹っ飛ばされる。吹っ飛ばされた騎士の兜は拳型に凹んでいる。

「なっ・・・!何をする!我々に手を出すという事は国家に喧嘩を売るという事だぞ!?それでも良いのk」

「『ウィンドカッター』!!」

 背の高い女の持つ杖から発射された複数の風の刃が王国騎士達の鎧を貫通し、皮膚を切り裂いていく。

「お、お前ら何者だぁ!!」

「・・・ただの仲間思いの冒険者というやつだ」

 異国風の男が腰に携えた剣を抜く。現れた刃は曲線を描いた片刃の剣だった。美しくと危なさを兼ね備えた刃は月の光に照らされて妖しく輝き、そして炎が点火する。

「────参る」

 奇妙な被り物から覗く目は殺意と怒りに満ちており、戦いの経験が浅い王国騎士達を震え上がらせる。

「秘技」

「に、逃げろぉぉぉぉ!!」

 王国騎士達は倒れた仲間を置き去りにして踵を返し、騎士の命とも言える剣を捨て、逃げる。しかし、彼らは既に剣士の攻撃範囲から出る事は出来ない。

「『灯籠流し』」

 瞬間、蘭丸が燃える刀を手に、逃げる王国騎士達をまるで川を流れる灯籠のように不規則に、騎士達の間を縫うように動き、鎧ごと肉を切り裂いていく。この世界に来て初めて編み出した剣技『灯籠流し』は、純粋な剣技ではなく、剣技と舞が混ざったかのような恐ろしくも見惚れてしまう芸術のような剣技だった。

「ひ、ひぃぃぃぃぃ!!み、皆起きてくれよぉぉ!俺1人だけじゃこんな化け物倒せないよぉぉぉ!!」

 騎士達が倒れていく中で1人、泣きべそをかきながらも死んでいない騎士が1人いた。蘭丸のミス?否、故意で生き残らせたのだ。だって、彼の腕の中には意識を失っている幸助がいるのだから。

「無駄だ。既に死んでいる。お主の声が届く事は決してない」

「ひ、人殺し・・・!」

「汚職が何言ってんだ!この小便漏らし小僧がよぉぉ!!」

「ひぃぃぃぃ!!」

 銀髪の少女の脅し文句で怯える騎士から僧侶風の女は幸助を奪い返す。ゆっくりと地面に下ろすと、傷だらけの身体を魔術で癒し始めた。

「な、なあ。アンタら冒険者だろう?なら、お金に困ってるんじゃないか?俺の家さ、結構金持ってるんだ」

「・・・それが、どうした?」

「アンタらがさ、これから先困らないくらいの金を用意する事はできる!だから、頼む!命だけは!命だけは取らないでくれ!!」

 騎士が選んだのは自分の立場を利用した情けない命乞いだった。あまりの情けなさに蘭丸もため息を吐きながら刀の切っ先を命乞いする騎士に向けた。

「金は要らん。いるのはお主だ。四の五の言わずについてこい」

「は、はい・・・」

 騎士は持参した手錠を自分に嵌めた。
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