大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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二章 濡れ衣の男を救え!!

第十九話 真夜中の迷路

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「ん・・・んん・・・」

 重たい瞼をゆっくりと開けながら目覚める。最初に見えてきたのは天井ではなく、仲間達の安堵する顔だった。

 何故、彼らが俺の目の前にいるんだ?何故、俺はギルドの宿舎にいるんだ?俺は確か・・・確か・・・そうだ!教会で力尽きて王国騎士達に捕まったんだ!身体を掴まれた感覚が今でも残っている。その記憶が本当なら、今頃俺の目の前には王国騎士達の顔が連なっているはずなのに。

「良かった!コウスケさん!おかえりなさい!!」

 瞳をうるうふとさせていたメアリーが抱きついてくる。あまりにも泣きそうな顔をしていたので、無意識のうちに背中をさすってしまう。

「起き上がれますか?コウスケ君。これ、パンと水です。栄養と水分を補給して下さい」

 ボニーさんによって、パンと水が差し出される。思い出したかのように腹が鳴り始め、口の中が唾液でいっぱいになる。身体がパンと水を求めているようだ。

 ボニーさんからパンと水を手で受け取る。その時、ようやく気づいた。身体の傷が全て癒えている事に。ボニーさんが魔術で治してくれた事に。

「教会の人達は・・・?」

「ご安心を。ワタシが癒しました」

 流石はボニーさんだ。

「皆、ありがとう。助けに来てくれなかったら今頃死んでたよ・・・」

「気にするな。それに今回はお主というより拙者の問題だからな。助けるのは当たり前だ。話はこの騎士から聞いた。なんでも、あるべーるという家が事件の真犯人らしいな」

 蘭丸さんが俺の前に突き出してきたのはあちこちが凹んでいる鎧を着た王国騎士だった。顔面も蜂に刺されたようにぷっくりと腫れており、喋りづらそうだ。ボニーさんの頬が赤みを帯びているのを見るに、彼女が拷問まがいの尋問を行ったのだろう。

「拙者とめありーが少々手荒に質問したら、お主が事件の真相に近づきすぎたから動いたと吐いたぞ。まあ、『動いた』というよりも『動かされた』の方が正しいが」

「・・・アルベール家ですか?」

「あるべーる家だ。お主が裁判で全てを話す前に殺す気だったらしい。だが、それも水の泡になったがな」

 そういえば、リゼットさん達は?彼女達は無事なのか?俺が無事だとしても彼女達が無事で無ければ裁判に勝つ事はできない。

「リゼットさんはどうしたって?誰それ?え?殺された貴族の奥さん!?刺客が数人送り込まれた!?す、すぐに助けに行かないと・・・!!」

「それですけど、大丈夫じゃないですかね?」

「どうしてです?アルベール家の息がかかった王国騎士は何人いるか分からないんですよ?」

 アルベール家は貴族の中でも上位にランクインするくらいの権力と財産を持っていると聞く。アルベール家に媚びを売るために動く王国騎士達も少なくないはずだ。

「実は、コウスケ君を助けに来る時に自警団の人達が富裕層エリアに行く所を見たんですよ。その中にはリーダーさんもいましたよ」

「リーダー・・・そうか!マートルさんだ!」

 リーダーの親戚であるマートルさんがなんらかの方法で連絡を取って自警団で富裕層エリアを守らせたのだろう。

「ちょっと、様子見に行ってきますね」

「じ、じゃあ私も行きます!私がコウスケさんの命をお守りします!」

「逆に拙者達は一緒に行かない方がいいだろう。大人数でこんな夜中に歩いていたら目立つだろうしな」

「では、こちらを持って行って下さい。ワタシが作ったオリジナル回復薬です。身体の再生を促す効果と栄養が取れます」

 赤い液体の入った試験管のような細長い入れ物を3本渡される。布に包んでショルダーバックの中に収めた。

「ついでに皮の鎧と盾も身につけておくか。あんな事があった前だしな」

 また、王国騎士に囲まれたらと思うと鳥肌が立つ。しばらくはトラウマになりそうだ。

「それじゃあ、行ってきますね」

 万全の準備を終えた幸助とメアリーは宿舎を出て、街灯に照らされながら富裕層エリアへと向かった。



 難なく富裕層エリアへとやってきた幸助とメアリーはリゼットの家に向かおうとしていた。だが────

「ごめん・・・道に迷った」

「ええ!?今日行ったばかりじゃないんですか!?」

「そうなんだけど、かなり複雑な上にマートルさん頼りだったから道を忘れちゃって・・・」

「もう!しっかりして下さい!」

「わ、悪い・・・」

「仕方ないので、何処かにいるはずの自警団を探して道を聞きましょう」

 薄暗い道を歩き、見回りをしているであろう自警団探す。しかし、どんなに探しても自警団らしき人は見当たらず、2人ぼっちという状況が2人の恐怖心を煽る。

「コウスケさん・・・横にいますよね?いるんですよね?」

「どうした?怖いのか?」

「そそそそんな事ないです!この程度の暗闇、大した事はないです!」

「因みに俺は怖い」

「えっ・・・」

「幽霊が出てきそうなぐらい不気味だ。貴族に利益の為に殺された奴隷や労働者の怨霊が──────」

「うわぁぁぁぁ!!止めて下さい!止めて下さい!怖いです!怖いですからぁ!!」

「最初から素直に言えばよかったのに。ほれ」

 恐怖で震える彼女の手を自分の手で優しく包み込む。すると、メアリーの身体の震えがゆっくりと収まる。早く気付けばよかった。

 手を繋ぎながら静かに道を歩く。しばらく歩くと、前から人影が見えてきた。腰に剣を帯び、全身を鉄製の鎧で身を包んだごつくて大きな人影だ。

「あっ!人影!人影ですよ!コウスケさん!しかも鎧を着てます!きっと、自警団の人ですよ!お~~い!お~~~い!!」

 俺ら以外の人が見つかった事が余程嬉しかったのだろう。メアリーは無邪気に手を振った。相手側にも見えているのだろうか、こちらへと向かってくる速度が上がった気がする。しかし、自警団に鎧を着ている人なんかいたっけ?

 鎧の人影が近付くにつれ、その姿も徐々に見えるようになっていく。鎧の色、形、全てが見えるようになる。そして、俺はその鎧の形状を見た事がある。だって、その鎧は──────

「王国騎士だ!逃げろ!」

 現在進行形で敵対している王国騎士のものだった。
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