大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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二章 濡れ衣の男を救え!!

第二十六話 真犯人は誰だ?

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「では、王国騎士団。1人、証言台の前に立ちなさい」

「は、はい」

 裁判長に促されてポールが前に立つ。肩には力が入りきっており、緊張している事が伺える。しかし、そんな事はお構いなしに裁判長はポールに質問する。

「貴方達はジェイク・ワトーさんを殺人の容疑で逮捕した。それで間違いありませんね」

「そ、そうです・・・」

「残念ながら貴方達は国を守る存在でありながら全く働かない事で有名です。何故、ジェイクさんの逮捕の時だけ、動いていたのですか?」

 核心を突いた答えにポールは黙り込んでしまう。

「・・・・・・」

「どうしたのです。早く答えなさい」

「・・・・・・」

 しかし、ポールは喋ろうとはしない。これはもしかしなくても

「黙秘権を使うのですね。分かりました。では、次に行きましょう」

 嘘を見破る真実の神の力をこんな形で突破するとは。かなりの力技だが、感心した。だが、俺らも裁判官頼りでここ法廷まで来ていない。

「では、弁護側からの発言はありますか?」

「はい。ヒロ氏殺害事件の真犯人についてです。発言よろしいでしょうか?」

「許可します。どうぞ」

「ありがとうございます」

 マートルさんは証言台に立つと、証言を始める。

「ジェイクさんはヒロ氏に依頼の完了と納品物である魔物の肉を渡しに行く為にヒロ氏の屋敷に向かい、そこで遺体を発見。更にそこに王国騎士が現れ、彼を殺人の疑いで逮捕しました。それは皆さん周知の事実だと思います」

 頷く傍観者達、冷や汗が止まらない王国騎士団、無表情で聞き取る裁判官達。

「何故、普段はロクに働かない王国騎士団がその日に限って活動し、ヒロ氏の屋敷にいたジェイクさんを逮捕できたのでしょう?あまりにも不自然ではありませんか?不思議に思った私達はヒロ氏の妻であるリゼット氏の下へ赴き、ヒロ氏が死ぬ直前まで愛用していた出納帳を借り受けてきました」

 マートルさんが掲げたのはボロボロの出納帳。中にはびっしりと出費や利益の事が記されている。

「そして、ギルドにヒロ氏の依頼が来た1402年1月3日です。ギルドへの依頼は報酬以外にも掲載料金として1000アモかかります。ですが、出納帳には1402年1月3日の掲載料金の事は全く書かれていません」

 1402年1月3日の記録が書かれているページを裁判官に確認してもらう。

「確かに書かれていませんね。という事はつまり彼は依頼なんてしていなかったという事ですか?」

「はい、そうなりますね」

 貴族ヒロはギルドに依頼していないという事で話は終わろうとした瞬間、検事が立ち上がった。

「異議あり。たった1000アモですよ?それなりの貴族であったヒロ氏が記録するとは思えないのですが・・・」

「成程、ではこのページをご覧下さい」

 マートルさんは見せたのは1401年12月30日の記録。そこにはケーキ2切れ600アモと記録されていた。

「たったこれだけの買い物でも記録する人です。依頼金の支払いもきっと記録するはずです。それなのに、記録されていない。次の日と明後日も書いているのに、依頼金の事だけが書かれていないのは明らかにおかしいです」

「つまり・・・別の何者かがヒロ氏を偽って依頼したという事か?そんな事が可能なのか?」

「可能ですよ。ギルド職員の家族を脅しに使えばね?」

 法廷中が再びざわめく。頃合いと感じたマートルさんは裁判長に1つの要求をする。

「裁判長、ここでこちら側が見つけた証人を呼んでもよろしいでしょうか?」

「許可します」

「ありがとうございます。では、入ってきて下さい」

 マートルの声掛けと共に入って来たのは初老の男性と妙齢の女性。性別も歳も違うが、どちらもギルドに勤める者の制服を着ていた。

「ご紹介します。冒険者ギルドのオーナーさんと受付嬢さんです」

 王国騎士達の表情はもうみていられないぐらい酷い事になっている。

「どうも、ご紹介にお預かりしましたギルドのオーナーです。私は1402年1月4日、王国騎士の方々から依頼を申し込みをされました。魔物を退治してその肉を依頼主の下まで持っていくという良くある依頼でした・・・ある点を除けば」

「ある点というのは?具体的にお答えください」

 詳細を聞く裁判長。しかし、ギルドオーナーは震えて中々話そうとはしない。

「あ、あの・・・もし、本当の事を言っても殺されはしませんよね・・・?」

 オーナーはまだ怯えているのだ。アルベール家に潰されないか?家族を危険な目にあわされないか?と。そんなオーナーに裁判長は優しく説いた。

「ご安心を。貴方とご家族、そしてギルド職員達は自警団が守る事を保証します」

「ほ、本当に・・・?」

「はい。保証します。ですのでお答えください。違う点というのは一体何なのですか?」

 安全の保障を約束され、喋る事を決意したオーナーは一度大きく息を吸い、大きな声でゆっくりと答える。

「王国騎士団は追加のお金と共にこう要求してきました。『依頼人の欄には我々の名ではなく、貴族ヒロの名を書け、そして貴族ヒロに魔物の肉を届けるようにしろ。良いな?』と高圧的な態度と剣、そして家族と職員の命の危機をちらつかせて」

「貴方が怯えていたのはそのせいですか?」

 ぶんぶんと顔を縦に振る。

「では、本来の依頼主の名前を教えて下さい。貴方は『王国騎士の方々』と言いましたが、誰が貴方に脅しをかけたのですか?」
























「ポール・アルベール。そこにいるポール・アルベール副団長です!彼が・・・アイツが私を脅しました!!」

 脅しで溜まっていた感情が爆弾のように爆発し、検事側に立つポールを指さす。そう、冒険者を農民上がりのクズと称し、殺人罪で捕まっていたジェイクさんをバカにし倒した男こそが事件の元凶だったのだ。

「き、貴様ぁぁぁぁぁ!!」

 暴露されて怒ったポールは立ち上がると、剣を引き抜き、ギルドオーナーに斬りかかる。

「させるかよっ!!」

 金属同士がぶつかり合う音が法廷中に響き渡る。ポールの暴走を警戒していたお陰で紙一重だったが、守る事ができた。

「くっそぉぉぉぉ!!邪魔をするな!クソ農民が!!」

「ここでオーナーを斬って何の意味がある?お前の地下牢獄行きは確定なんだぞ?真犯人のポール・アルベールさん!!」

「ぐわぁ・・・ふふっ、ふふふふふふ・・・あーっひゃひゃひゃひゃぁ!!」

 剣を跳ね返し、距離を取る。先程まで怒りで狂っていた、ポールだが、気でもおかしくなってしまったのだろうか?アホみたいに笑いだした。

「そうだよ!名探偵!大正解だ!この僕こそが貴族ヒロを殺しぃ!そこの馬の骨に罪を擦り付けた張本人んんん!!ポォォォォォル・アルベール・・・さぁあああああ!!」

 嘘を付けない空間で怒り狂ってしまったせいなのだろうか?ポールは清々しいほどはっきりと自白した。

「このまま逮捕されるなら、いっそ思い切ってやってみたかった事をしてやるぅぅぅぅ!!貴族ヒロを殺した日から生まれた願望・・・女神アモーラが見たらきっとドン引くであろう残虐行為・・・み・な・ご・ろ・しをぉぉおおおおおおおお!!」

 剣を天に掲げ頭のおかしいと一発で見極められる発言をする。すると、今まで黙りこくっていた下っ端の騎士達は立ち上がり、手に持っていた兜をかぶり、ポール同様に剣を天に掲げて奇声を上げ始めた。

 人は様々な者になれる。守る者、戦う者、知識者、探究者など、種類は様々だ。その数ある種類で誰が強くて怖いのだろう?答えは簡単、『失うものが何もない者』である。希望を失った者は自暴自棄になり暴力の限りを尽くす。そして、決して止まる事はないだろう。だって、彼らには止まる理由も止めてくれる人もいないのだから。

 だから、無理矢理にでも止めなければならないのだ。暴力を用いて全力で戦わなければならないのだ。
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