大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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二章 濡れ衣の男を救え!!

第二十七話 失うものが無くなった騎士団

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「皆さん!逃げて下さい!早く!」

「ぎゃああああ!」「逃げろ逃げろ!」「おい!押すなよ!」「ちょっと、レディーファーストって言葉を知らないわけ!?」

 死に恐怖した傍観者達は一斉に出口から逃げようとする。それが非常にまずかった。法廷の出入り口は小さくはないが、傍観者約100名が一気に外に出れる程大きく作られてはいない。結果、何が起こるというと「詰まり」が起こる。

「きひゃひゃひゃひゃ!!死ねぇ!全員死ねぇ!!」「殺す殺す殺す殺す殺すコロス・・・」

 外に出れずにもたもたしている傍観者達をタガの外れた騎士達が襲う。しかし、傍観者に怪我人が出る事はないようだ。

「サンダァァァァァァ!!」

 妙に気合の入った女性の声と共に1人の騎士が吹っ飛び、壁にめり込む。めり込んだ騎士の兜には綺麗な拳型のへこみが出来ていた。

「おいゴラァ!皆を守る騎士が何、人襲ってんじゃ!!ワレェ!!」

「メアリー、ナイス!!」

 殴ったのは俺達の頼れる番長であり、路地裏のチャンピオンのメアリー・メイウェザーだ。

「おい!ランマル!ボニー!コイツら大した事ないぜ!」

「そうか。だが、油断はするな」

「はぁ・・・はぁ・・・少し遊んでも良いですか?」

 若干1名、おかしなヤツがいるが、部下の騎士は仲間に任せておけば大丈夫そうだ。俺は気にせずポールと戦う事が出来る。

 裁判官達は逃げる事なく、席に座って俺らの事を見ている。戦う様子も身を守る様子も見せない。一体、何故逃げないんだ?

「何やってんですか!?早く逃げて下さい!殺されますよ!?」

「・・・逃げるという選択肢はありません。何故なら、まだ裁判は終わっていないのですから」

 駄目だ。動く気が全く感じられない。言うだけ無駄だろう。幸い、ポールは俺に、他の騎士達は俺の仲間に集中している。裁判官に流れ弾が来る事はないだろう。

「おいおいおいぃぃぃぃ!!僕との勝負に集中しろうよぉぉぉぉ!!」

 容赦ない一撃が迫ってくる。盾でも流石に受け止めきれないと判断し、盾の上を滑らせるように受け流した。

「悪かったよ・・・さあ、やろうぜ」

「そう来なくっちゃなぁぁぁ!!」

 ポールの剣術を一言で言い表すならば、出鱈目でたらめ。しかし、一撃一撃に力がこもっており、革製の盾が少しずつ駄目になっていく。

「オラオラぁ!どうしたぁ!?狂信者アンリを倒したんじゃないのかぁ~腰抜けぇぇ!!」

 実力は全て幸助が勝っている。しかし、幸助は攻撃をしようとはせずに盾で攻撃を受け流しながら、後ろに下がっていた。どんどんどん後ろに下がっていき、やがてポールの部下の騎士と幸助の仲間達が戦っている所まで移動してきた。

「おい、コウスケ!何やってんだ!早く攻撃しろ!お前なら一発だろ?」

「まあね。でも、その前にコイツポールには散々イラつかせられてきたから少し痛みつけて野郎と思ってね。ビリビリ、できるか?」

「うわぁ、意外とコウスケって性格悪いな・・・アタシ、やられた事無いけど、絶対キツイぜ?しかも、前よりも鍛えたから威力上がってるだろうし」

「そういうメアリーも今使ってんじゃないか!」

「・・・確かに。それじゃあ、『サンダーエンチャント』!!」

 メアリーの魔力で生み出された電気が刃に宿る。雷剣の完成だ。

「サンキュ」

「後でケーキ奢れよ?」

 エンチャントをかけている途中に近づいてきていたポールの身体に押し当てる。

「あばばばばばばばばばばば!!!」

 電気が頑丈な鉄製の鎧を貫通し、ポールを痙攣させる。メアリーの言う通り、威力が上がっているようd──────

「なぁんてなっ!!」

 痙攣していたポールが急に痙攣するのを止め、こちらに斬りかかってきた。急いで盾を前に持ってきて攻撃を防ぐ。

「フハハハハハ!残念だったなぁ?クソ野郎ぅ・・・うちの団員がお前の電気を纏った剣に負けたと聞いてぇ、対策としてゴム製の服を着てんだよぉぉ!!」

「おお・・・ちょっと感心したぜ、ポール。けどな・・・」

 電気が効かないと分かれば後は普通に実力を発揮していくのみ。幸助の攻撃する暇も与えない連撃がポールを襲う。装備だけは上等なポールだが、実力が全く装備品に比例していない。

 鉄の鎧はとても頑丈だが、鉄故に重く、動きが鈍くなる。ロクに戦わず、トレーニングもせずにいたであろうポールは幸助の連撃を籠手の金属部で受け流す事しか出来なかった。

「それそれぇ!どうしたどうしたぁ!!」

「くっ・・・!この農民風情が・・・!調子に乗るな!!」

「なら、力で覆してみろ!クソ貴族!!」

 防戦一方だったポールが反撃を開始する。しかし、先程よりも剣筋は幼稚なものになり、力も弱くなっている。すっかり、ポールとの戦いに飽きてしまった幸助はブロードソードでポールの握っている剣を思い切り叩き落とした。

 カランッという金属音が虚しく法廷中に響く。蘭丸達も既に部下の騎士達を完全に鎮圧しきっており、勝負は完全に幸助達の方についてしまった。

 剣先を喉仏に向けて、ポールに睨みを利かせる。すると、ポールはぶるぶると小刻みに揺れ、恐怖しだした。

「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・殺さないで・・・どうか、殺さないで・・・」

「殺しはしない。大人しく自警団のお縄について地下牢獄で一生を旺盛しな」

 戦意を喪失したと確信し、幸助が出入口の方を向き、自警団を呼びに行く。しかし、ポールはまだ諦めてなどいなかった。気づかれないように落とした剣を手元に手繰り寄せ、音を立てないように立ち上がり、持ち上げる。

(へっへっへ・・・確かにお前は強かったぞ、農民モドキ・・・だがな、甘い!詰めが甘いんだよ!!勝負はどちらかが死ぬか降参するまで気を抜いてはいけないんだよ!!)

 勝てないと確信したポールはわざと、剣を落とし、命乞いをし、幸助に隙を生ませた。彼を殺したらきっと、彼の仲間が殺しに来るだろうが、どうでもいい。『地下牢獄行き』が『あの世行き』になるだけだ。ほとんど何も変わらない。そんな考えの下、ポールは剣を振り下ろした。

 出入口に向かおうとしている幸助は全く気付く事はない。彼の中で既に戦いは終わっており、彼の心の中の戦意は矛を収めているのだから。

 それでもかまわずにポールの不意打ちは幸助を左右に切断せんと振りかかってくる。









「コウスケェ!!」

「ッッ・・・・!!」

「ん・・・?」

 男の腹からの叫びが法廷中に響き渡る。声の正体は弁護士側で手足を拘束されたジェイクのものだった。彼の叫びは傍観者達の悲鳴と騎士達の奇声で溢れ返っていた法廷を一瞬で黙らせる。

 呼ばれて振り返った幸助の目に入ったのは、剣を振り被り、自分を殺そうとしているポール。目に入った瞬間、彼は驚く事なく、剣を引き抜き、無駄のない動きでポールの両腕を肩から切断した。

「あああああああああああ!!!腕!腕が斬られちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 腕が生えていた傷口から血潮が噴水のように吹き出る。やがて血が体内から無くなってしまったのか、ポールは白目を向きながら血の海と化した床にうつ伏せになるように倒れた。

「ふう・・・危なかった・・・」
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