99 / 212
三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す
第十二話 マロン山脈のマロン村
しおりを挟む
「へっ・・・」
突然の訪問者・・・ましてや1か月前に依頼した冒険ギルドから冒険者が来て村長は驚きを隠せない様子。なので、村長の代わりに近くにいた若者が冒険者の対応をした。
「よ、ようこそいらっしゃいました!はるばる遠い所から!長旅でお疲れでしょう?どうぞうちでお茶でも飲んで寛いで下さいませ。ワイバーンの話はそこでしましょう」
若者は8人の冒険者を家へと連れていく。村長も少し遅れてついていく。若者の家に入り、お茶で旅の疲れをほぐした冒険者達は村長達を見つめる。
「今回、山脈のワイバーン退治に馳せ参じました。城下町ギルド所属のフラン・キスカと申します。どうぞよろしくお願いします」
「どうもご丁寧に。私はマロン村で長を務めているしがない爺でございます。横にいるのは次の村長候補の男です」
「よろしくお願いします」
両者共に挨拶を終えた所で本題に入る。マロン山脈に現れたワイバーンの件だ。
「依頼書にはワイバーンの退治と書かれていましたが、その方向でよろしいでしょうか?」
「その件なのですが、退治ではなく、追い払う形でも依頼はこなした事にしたいと思っています」
現場からの依頼達成変更は良くある話ではないが、有り得る事態だ。経験豊富なフランは驚く事なくその理由を聞く。
「実は、山脈に居座るようになったワイバーンは定期的に人間の身体を吹き飛ばすくらい強い咆哮を放つのですが、それ以外の被害は無いのです」
「人が殺されたというのも?」
「ありません。強いて言うなら、屋根が吹き飛ばされたりするだけです。あと、偶に鼓膜が破けるくらいでしょうか」
マロン村の村人が受けている被害が実は大したものでは無く、特にワイバーンに強い憎しみを持っているわけでは無かった。なので、殺す気にはなれないのである。フランもその気持ちは分かる。分かるのだが──────
「追い払う場合だと、私達が国から報酬がもらえないのですが──────」
「・・・あ」
今回の依頼の報酬金の7割は国から出されている。そう、国はワイバーンの退治を求めているのだ。村長の言う通り、追い払うのであれば国からの報酬は貰えなくなってしまう。
「追い払う場合は貴方がたが国から貰うはずだった報酬を支払ってくれるのでしょうか?」
フランの鋭い眼つきが村長と村長候補の背筋を凍らせる。
冒険者はボランティアではなく、職業である。どんなピンチに立たされた村が依頼してきても報酬が少なければ受けない事もある。彼らは善意で動いているのではなく、金で動いているのだから。フランも善人に近い人格の持ち主だが、今回の依頼は報酬金目的でやってきている。その報酬金が7割も減るとなったら目の色を変えるのも仕方のない事だろう。
「も、もし支払われ無ければ私が払います!私の家には売ればお金になる宝石がいくらかございます!それに農産物の売り上げだって──────」
「バ、バカモン!あれはお主がこれから生まれてくる事の勉強代にと取って置いたものではないか!今後に関わる大事な宝石を易々と渡すではない!!」
「ワイバーンが暴れたら今後なんて無いかもしれないんですよ!?なら、ここで渡して子どもの将来を確定させるべきです!」
「しかしだな──────」
村長と村長候補の意見がぶつかり合う。片方は未来の為をもう片方は今の為を考えている。口論を見かねたフランさんが折衷案を提案してきた。
「じゃあ、こうしましょう。俺達がワイバーンを追い払った場合は俺が直接350万アモを出してくれている国王に交渉しに行きます。十中八九報酬金額は下げられますが、その下げられた金額分払って貰うというのはどうでしょうか?」
「それはつまり、国が200万アモしか払ってくれなかった場合、追加報酬として150万アモを払えという事でしょうか?」
「はい。どうでしょう?」
村長と村長候補はお互いの顔色を窺いながら考え、意見を一致させる。
「「はい、その方向でお願いします」」
話は何とか纏まったようだ。
突然の訪問者・・・ましてや1か月前に依頼した冒険ギルドから冒険者が来て村長は驚きを隠せない様子。なので、村長の代わりに近くにいた若者が冒険者の対応をした。
「よ、ようこそいらっしゃいました!はるばる遠い所から!長旅でお疲れでしょう?どうぞうちでお茶でも飲んで寛いで下さいませ。ワイバーンの話はそこでしましょう」
若者は8人の冒険者を家へと連れていく。村長も少し遅れてついていく。若者の家に入り、お茶で旅の疲れをほぐした冒険者達は村長達を見つめる。
「今回、山脈のワイバーン退治に馳せ参じました。城下町ギルド所属のフラン・キスカと申します。どうぞよろしくお願いします」
「どうもご丁寧に。私はマロン村で長を務めているしがない爺でございます。横にいるのは次の村長候補の男です」
「よろしくお願いします」
両者共に挨拶を終えた所で本題に入る。マロン山脈に現れたワイバーンの件だ。
「依頼書にはワイバーンの退治と書かれていましたが、その方向でよろしいでしょうか?」
「その件なのですが、退治ではなく、追い払う形でも依頼はこなした事にしたいと思っています」
現場からの依頼達成変更は良くある話ではないが、有り得る事態だ。経験豊富なフランは驚く事なくその理由を聞く。
「実は、山脈に居座るようになったワイバーンは定期的に人間の身体を吹き飛ばすくらい強い咆哮を放つのですが、それ以外の被害は無いのです」
「人が殺されたというのも?」
「ありません。強いて言うなら、屋根が吹き飛ばされたりするだけです。あと、偶に鼓膜が破けるくらいでしょうか」
マロン村の村人が受けている被害が実は大したものでは無く、特にワイバーンに強い憎しみを持っているわけでは無かった。なので、殺す気にはなれないのである。フランもその気持ちは分かる。分かるのだが──────
「追い払う場合だと、私達が国から報酬がもらえないのですが──────」
「・・・あ」
今回の依頼の報酬金の7割は国から出されている。そう、国はワイバーンの退治を求めているのだ。村長の言う通り、追い払うのであれば国からの報酬は貰えなくなってしまう。
「追い払う場合は貴方がたが国から貰うはずだった報酬を支払ってくれるのでしょうか?」
フランの鋭い眼つきが村長と村長候補の背筋を凍らせる。
冒険者はボランティアではなく、職業である。どんなピンチに立たされた村が依頼してきても報酬が少なければ受けない事もある。彼らは善意で動いているのではなく、金で動いているのだから。フランも善人に近い人格の持ち主だが、今回の依頼は報酬金目的でやってきている。その報酬金が7割も減るとなったら目の色を変えるのも仕方のない事だろう。
「も、もし支払われ無ければ私が払います!私の家には売ればお金になる宝石がいくらかございます!それに農産物の売り上げだって──────」
「バ、バカモン!あれはお主がこれから生まれてくる事の勉強代にと取って置いたものではないか!今後に関わる大事な宝石を易々と渡すではない!!」
「ワイバーンが暴れたら今後なんて無いかもしれないんですよ!?なら、ここで渡して子どもの将来を確定させるべきです!」
「しかしだな──────」
村長と村長候補の意見がぶつかり合う。片方は未来の為をもう片方は今の為を考えている。口論を見かねたフランさんが折衷案を提案してきた。
「じゃあ、こうしましょう。俺達がワイバーンを追い払った場合は俺が直接350万アモを出してくれている国王に交渉しに行きます。十中八九報酬金額は下げられますが、その下げられた金額分払って貰うというのはどうでしょうか?」
「それはつまり、国が200万アモしか払ってくれなかった場合、追加報酬として150万アモを払えという事でしょうか?」
「はい。どうでしょう?」
村長と村長候補はお互いの顔色を窺いながら考え、意見を一致させる。
「「はい、その方向でお願いします」」
話は何とか纏まったようだ。
20
あなたにおすすめの小説
目つきが悪いと仲間に捨てられてから、魔眼で全てを射貫くまで。
桐山じゃろ
ファンタジー
高校二年生の横伏藤太はある日突然、あまり接点のないクラスメイトと一緒に元いた世界からファンタジーな世界へ召喚された。初めのうちは同じ災難にあった者同士仲良くしていたが、横伏だけが強くならない。召喚した連中から「勇者の再来」と言われている不東に「目つきが怖い上に弱すぎる」という理由で、森で魔物にやられた後、そのまま捨てられた。……こんなところで死んでたまるか! 奮起と同時に意味不明理解不能だったスキル[魔眼]が覚醒し無双モードへ突入。その後は別の国で召喚されていた同じ学校の女の子たちに囲まれて一緒に暮らすことに。一方、捨てた連中はなんだか勝手に酷い目に遭っているようです。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを掲載しています。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。
黄玉八重
ファンタジー
水無月宗八は意識を取り戻した。
そこは誰もいない大きい部屋で、どうやら異世界召喚に遭ったようだ。
しかし姫様が「ようこそ!」って出迎えてくれないわ、不審者扱いされるわ、勇者は1ヶ月前に旅立ってらしいし、じゃあ俺は何で召喚されたの?
優しい水の国アスペラルダの方々に触れながら、
冒険者家業で地力を付けながら、
訪れた異世界に潜む問題に自分で飛び込んでいく。
勇者ではありません。
召喚されたのかも迷い込んだのかもわかりません。
でも、優しい異世界への恩返しになれば・・・。
前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。
八神 凪
ファンタジー
久我和人、35歳。
彼は凶悪事件に巻き込まれた家族の復讐のために10年の月日をそれだけに費やし、目標が達成されるが同時に命を失うこととなる。
しかし、その生きざまに興味を持った別の世界の神が和人の魂を拾い上げて告げる。
――君を僕の世界に送りたい。そしてその生きざまで僕を楽しませてくれないか、と。
その他色々な取引を経て、和人は二度目の生を異世界で受けることになるのだが……
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
知識スキルで異世界らいふ
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる