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三章 黄金の愛と銀の翼の騎士、2人ともぶっ殺す
第三十八話 復讐とは、殺す事ではない
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「「はぁぁぁぁぁ!!」」
流れるような銀髪と、全てを覆い尽くしてしまいそうな黒髪が同時にピピンへと襲いかかる。ピピンも鎧に穴がない状態なら、もっと余裕の表情を浮かべていただろう。構えを固め、2人の攻撃を同時に受けられるようにする。
「ランマル!」
「承知!!」
構えを取るや否や、蘭丸はメアリーを自分の足の上乗せ、玉を蹴る要領でメアリーを上へと飛ばす。メアリーは最初から穴なんて狙っていない。兜を失って剥き出しを顔面を狙っているのだ。
2人の狙いの違いに気づいた頃には既に遅く、ピピンは真正面を殴られ、鼻を折られ、のけぞった。そのまま仰向けに倒れると思われたが────
「この程度でぇぇ!倒れるかぁぁ!」
気合のみで倒れるのを防いだ。しかし、その事に集中しすぎて、胴体の防御がおそろかになってしまう。
「隙あり!!」
「なっ・・・し、しまった!!」
急いで防御するが、もう遅い。蘭丸のサーベルは既に穴から侵入し、穴の先にあるピピンの肉体を突き刺した。
「うがぁぁぁ!!」
ピピンの皮膚を、肉を、内臓を貫く。これだけでも十分苦痛だ。しかし、ここから更に追い打ちをかけていくようにサーベルをぐるぐると回転させていく。
「止めろぉぉぉぉ!!止めてく─────ぶほぉ!!」
痛みの絶叫も、メアリーの顔面パンチによって遮られてしまう。2人の連携でピピンを仕留めていく様は弱い者いじめの挿図のようで、1週間以上前とは全く立場が逆転している。
内臓をぐちゃぐちゃにされて身体に力が入らなくなってしまったのか、金の柄の剣を床に落とすと、ピピンは天井を見上げるように仰向けに倒れた。
「はぁ・・・はぁ・・・ひ、卑怯者!!戦士なら正々堂々と2人で戦え」
「お主、客観的に自分を見た事がないのか?幸助の寝込みを二度も襲っていたではないか」
「クソッ!クソッ!お前らさえいなければ、俺は復讐を果たす事ができたのに・・・」
自分の都合の悪い事は聞こえないように耳を設計しているのだろうか?それとも寝込みを襲うのは彼にとっては卑怯な事ではないのか?理由は不明だが、血を口と折れた鼻から垂らしながら、恨みつらみを言葉にする。
蘭丸とメアリーは呆れて、彼の手首を縄で縛り付けようとすると、ピピンが突然声を上げて驚きだした。
「お、お前・・・」
「ん?なんだぁ?アタシの顔に何かついてんのか?」
驚きの対象は、縄で手首を後ろで縛るメアリーだった。血が垂れている口を震わせながら驚いた理由を説明する。
「お、お前・・・なんでここにいるんだ・・・?」
「はぁ?お前何を言って─────」
「お前は15年前!!俺がこの手で殺しただろう!?」
ピピンはメアリーの顔を近くでマジマジと見たおかげで思い出した。自分が過去に殺したとある夫婦の事を。
その夫婦はフラム王国ではない、別の国からやってきた放浪者だった。夫婦は2人共、魔術師で、アモーラではない神を信仰していた。故に虐殺の対象になってしまった。
夫婦は健闘したが、次第に追い詰められ、最後は若い騎士志望の少年によって殺された。その少年こそが、若き頃のピピン・アルベールである。
そして、殺した夫婦のうち、妻の方は、メアリーに良く似た銀色の髪を持った美しい女性だったことを、殺してから15年振りに思い出したのだ。
「え・・・・・・」
メアリーは当然混乱した。コイツは何を言っているのだ?と。時間が経つにつれ、意味不明の言葉を理解し始める。コイツは自分を誰かと勘違いしているのだと。その誰かとは自分と似た容姿をしていると。自分が幼い頃から母親にとても良く似ていた事を。そして、目の前にいるピピン・アルベールこそが両親に仇だという事を。全てを悟り、力一杯顔面にパンチを入れた。
「なっ・・・!!」
突然のメアリーの暴力に驚く蘭丸。3発までは驚いて硬直していたが、すぐに羽交締めにして彼女の暴力を止める。
「うううう!!うううううううう!!!!」
「落ち着け、めありー!このままだと死んでしまうぞ!!」
言葉も発さず、唸り声を上げて殴り続けるその姿はまさに獣。理性を失い、本能に従う本来あるべき生き物と化していた。彼女の頭の95%は復讐に支配されてしまっていた。
エンチャントで強化された筋肉は体格差のある蘭丸を容易に振り払うレベルである。
「ぐふっ・・・!そうか、お前は・・・ハハ、ハハハハ!そういう事かぁッ!!」
殴られながらピピンは気づく。目の前にいるのは自分が殺した女ではなく、殺した女の子供だと言う事に。そして同時に悟る。自分はもうこの場から抜け出す事は出来ないと。その先に待っているのは「死」だという事も。
自分が助からないと悟った血を涎のように垂らしながら大笑いする。笑いには不快さも気持ち悪さもなく、ただただ爽快な笑い声だった。
「そうか!貴様はあの放浪夫婦の子供かぁ!!そういえばいた!確かにいた!血を流しながら死に絶えた愚かな夫婦の後ろに虚ろな目をした子供がいた!それが、お前だったんだなぁ!小娘ぇ!!」
「うがぁぁぁぁ!!」
歯が折れ、頬骨が折れる。痛いはずだが、気にせず挑発し続ける。
「いやぁ!あの夫婦は本当に愚かだった!だが、良い声で鳴いた!夫婦の顔は鮮明には思い出せないが、あの悲鳴だけは忘れられないよ!!」
膝蹴りが顎に入り、顎が割れる。喋りづらくなったというのに、それでも話し続ける。その姿勢は世捨て人に類似する点が多くある。
メアリーの右腕に『硬化』『筋力増強』『雷』の3つのエンチャントが宿る。次の一撃で決めるつもりのようだ。ピピンも次で死ぬと確信があったのだろう。トドメとなる挑発を考え、言い放った。
「さあ!やれ!!仲間の静止も振り切って俺を殺せ!!そして、絶望させろ!!ここにいない仲間を失望させろ!あの背の高い僧侶モドキと、異世界人をなぁ!!」
「ッッ・・・・・・!」
メアリーの拳がピタリとピピンの曲がった鼻先で止まる。止まると同時にメアリーの目に人としての理性が戻ってきた。
「コウ、スケ・・・」
ピピンの言い放った「異世界人」という単語が、メアリーの復讐に支配されていた頭に残されていた5%の幸助を覚醒させ、彼女の理性を取り戻させたのだ。
そう!挑発が彼女を暴力の欲から解放する鍵となったのだ。意味も分からず、暴力が終わった事で、ピピンの身体からは力が抜けてしまう。
「ランマルさん・・・ごめんなさい。私、また・・・」
「いいや、気にするな。それに踏みとどまれたではないか」
蘭丸の方を振り向き、頭を下げ、謝罪するメアリー。この時点でピピンは自分が命拾いしたと理解した。
「『殺す事が復讐ではない』でしたね、コウスケさん、少し遅かったですが、私、止まる事が出来ました・・・」
元の穏やかな顔に戻ったメアリーは、脱力するピピンの元へ歩いていくと、氷のエンチャントで人差し指を鋭い氷のナイフへと変える。左手で首根っこを掴み、固定すると、細い氷のナイフで右目を貫いた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
油断しきっていたピピンは、大事な2つしかない目を1つ潰された事による叫びを上げた。刺している時、メアリーの口は笑っていたが、目は全く笑っていなかった。
「・・・これにて、私の15年来の復讐は閉幕です。お疲れ様でした」
目に突き刺さった氷のナイフをポキリと折ると、メアリーは満面の笑みを浮かべた。
流れるような銀髪と、全てを覆い尽くしてしまいそうな黒髪が同時にピピンへと襲いかかる。ピピンも鎧に穴がない状態なら、もっと余裕の表情を浮かべていただろう。構えを固め、2人の攻撃を同時に受けられるようにする。
「ランマル!」
「承知!!」
構えを取るや否や、蘭丸はメアリーを自分の足の上乗せ、玉を蹴る要領でメアリーを上へと飛ばす。メアリーは最初から穴なんて狙っていない。兜を失って剥き出しを顔面を狙っているのだ。
2人の狙いの違いに気づいた頃には既に遅く、ピピンは真正面を殴られ、鼻を折られ、のけぞった。そのまま仰向けに倒れると思われたが────
「この程度でぇぇ!倒れるかぁぁ!」
気合のみで倒れるのを防いだ。しかし、その事に集中しすぎて、胴体の防御がおそろかになってしまう。
「隙あり!!」
「なっ・・・し、しまった!!」
急いで防御するが、もう遅い。蘭丸のサーベルは既に穴から侵入し、穴の先にあるピピンの肉体を突き刺した。
「うがぁぁぁ!!」
ピピンの皮膚を、肉を、内臓を貫く。これだけでも十分苦痛だ。しかし、ここから更に追い打ちをかけていくようにサーベルをぐるぐると回転させていく。
「止めろぉぉぉぉ!!止めてく─────ぶほぉ!!」
痛みの絶叫も、メアリーの顔面パンチによって遮られてしまう。2人の連携でピピンを仕留めていく様は弱い者いじめの挿図のようで、1週間以上前とは全く立場が逆転している。
内臓をぐちゃぐちゃにされて身体に力が入らなくなってしまったのか、金の柄の剣を床に落とすと、ピピンは天井を見上げるように仰向けに倒れた。
「はぁ・・・はぁ・・・ひ、卑怯者!!戦士なら正々堂々と2人で戦え」
「お主、客観的に自分を見た事がないのか?幸助の寝込みを二度も襲っていたではないか」
「クソッ!クソッ!お前らさえいなければ、俺は復讐を果たす事ができたのに・・・」
自分の都合の悪い事は聞こえないように耳を設計しているのだろうか?それとも寝込みを襲うのは彼にとっては卑怯な事ではないのか?理由は不明だが、血を口と折れた鼻から垂らしながら、恨みつらみを言葉にする。
蘭丸とメアリーは呆れて、彼の手首を縄で縛り付けようとすると、ピピンが突然声を上げて驚きだした。
「お、お前・・・」
「ん?なんだぁ?アタシの顔に何かついてんのか?」
驚きの対象は、縄で手首を後ろで縛るメアリーだった。血が垂れている口を震わせながら驚いた理由を説明する。
「お、お前・・・なんでここにいるんだ・・・?」
「はぁ?お前何を言って─────」
「お前は15年前!!俺がこの手で殺しただろう!?」
ピピンはメアリーの顔を近くでマジマジと見たおかげで思い出した。自分が過去に殺したとある夫婦の事を。
その夫婦はフラム王国ではない、別の国からやってきた放浪者だった。夫婦は2人共、魔術師で、アモーラではない神を信仰していた。故に虐殺の対象になってしまった。
夫婦は健闘したが、次第に追い詰められ、最後は若い騎士志望の少年によって殺された。その少年こそが、若き頃のピピン・アルベールである。
そして、殺した夫婦のうち、妻の方は、メアリーに良く似た銀色の髪を持った美しい女性だったことを、殺してから15年振りに思い出したのだ。
「え・・・・・・」
メアリーは当然混乱した。コイツは何を言っているのだ?と。時間が経つにつれ、意味不明の言葉を理解し始める。コイツは自分を誰かと勘違いしているのだと。その誰かとは自分と似た容姿をしていると。自分が幼い頃から母親にとても良く似ていた事を。そして、目の前にいるピピン・アルベールこそが両親に仇だという事を。全てを悟り、力一杯顔面にパンチを入れた。
「なっ・・・!!」
突然のメアリーの暴力に驚く蘭丸。3発までは驚いて硬直していたが、すぐに羽交締めにして彼女の暴力を止める。
「うううう!!うううううううう!!!!」
「落ち着け、めありー!このままだと死んでしまうぞ!!」
言葉も発さず、唸り声を上げて殴り続けるその姿はまさに獣。理性を失い、本能に従う本来あるべき生き物と化していた。彼女の頭の95%は復讐に支配されてしまっていた。
エンチャントで強化された筋肉は体格差のある蘭丸を容易に振り払うレベルである。
「ぐふっ・・・!そうか、お前は・・・ハハ、ハハハハ!そういう事かぁッ!!」
殴られながらピピンは気づく。目の前にいるのは自分が殺した女ではなく、殺した女の子供だと言う事に。そして同時に悟る。自分はもうこの場から抜け出す事は出来ないと。その先に待っているのは「死」だという事も。
自分が助からないと悟った血を涎のように垂らしながら大笑いする。笑いには不快さも気持ち悪さもなく、ただただ爽快な笑い声だった。
「そうか!貴様はあの放浪夫婦の子供かぁ!!そういえばいた!確かにいた!血を流しながら死に絶えた愚かな夫婦の後ろに虚ろな目をした子供がいた!それが、お前だったんだなぁ!小娘ぇ!!」
「うがぁぁぁぁ!!」
歯が折れ、頬骨が折れる。痛いはずだが、気にせず挑発し続ける。
「いやぁ!あの夫婦は本当に愚かだった!だが、良い声で鳴いた!夫婦の顔は鮮明には思い出せないが、あの悲鳴だけは忘れられないよ!!」
膝蹴りが顎に入り、顎が割れる。喋りづらくなったというのに、それでも話し続ける。その姿勢は世捨て人に類似する点が多くある。
メアリーの右腕に『硬化』『筋力増強』『雷』の3つのエンチャントが宿る。次の一撃で決めるつもりのようだ。ピピンも次で死ぬと確信があったのだろう。トドメとなる挑発を考え、言い放った。
「さあ!やれ!!仲間の静止も振り切って俺を殺せ!!そして、絶望させろ!!ここにいない仲間を失望させろ!あの背の高い僧侶モドキと、異世界人をなぁ!!」
「ッッ・・・・・・!」
メアリーの拳がピタリとピピンの曲がった鼻先で止まる。止まると同時にメアリーの目に人としての理性が戻ってきた。
「コウ、スケ・・・」
ピピンの言い放った「異世界人」という単語が、メアリーの復讐に支配されていた頭に残されていた5%の幸助を覚醒させ、彼女の理性を取り戻させたのだ。
そう!挑発が彼女を暴力の欲から解放する鍵となったのだ。意味も分からず、暴力が終わった事で、ピピンの身体からは力が抜けてしまう。
「ランマルさん・・・ごめんなさい。私、また・・・」
「いいや、気にするな。それに踏みとどまれたではないか」
蘭丸の方を振り向き、頭を下げ、謝罪するメアリー。この時点でピピンは自分が命拾いしたと理解した。
「『殺す事が復讐ではない』でしたね、コウスケさん、少し遅かったですが、私、止まる事が出来ました・・・」
元の穏やかな顔に戻ったメアリーは、脱力するピピンの元へ歩いていくと、氷のエンチャントで人差し指を鋭い氷のナイフへと変える。左手で首根っこを掴み、固定すると、細い氷のナイフで右目を貫いた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
油断しきっていたピピンは、大事な2つしかない目を1つ潰された事による叫びを上げた。刺している時、メアリーの口は笑っていたが、目は全く笑っていなかった。
「・・・これにて、私の15年来の復讐は閉幕です。お疲れ様でした」
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