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四章 魔族との和平交渉
第一話 寂しいけど、楽しい日々
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ぐつぐつと目の前で鍋の中身が沸騰する。鍋の中身の正体は白ウサギの肉が入ったシチューであり、村中に美味しそうな匂いを漂わせていた。シチューだけじゃない。ステーキなどもある。
今日は村が生まれた記念の祭り。だから高級品である白ウサギの魔物の肉を使った料理を村人にふるまっている。白ウサギの捕獲を行った幸助とメアリーも報酬の一部として村長からシチューを頂いていた。
「さあさあ、どうぞ冒険者さん。どうぞお食べください」
「ありがとうございます。では─────いただきます」
村長からシチューをもらった2人は真っ白な牛乳で作られたシチューを啜る。ほんのりと甘くて優しい味だ。
「ねぇ、コウスケさん。その『いただきます』っていつも言ってるけど、どういう意味なの?」
「ん?ああ、食事の前の挨拶みたいなもんだよ。食材に感謝的な?」
幸助もそこまで詳しくはなく、幼い頃から叩き込まれただけなので、疑問符をつけて答える。それでもメアリーは理解してくれたようで、「ふーん」と言いながらシチューを食べる。
シチューを食べていると、1人の美少年が幸助達に近づいてくる。完全に近づいてくる前に気づいた幸助は立ち上がり、美少年に向かって頭を下げた。
「よして下さいよ、コウスケさん。あんまり私はそういうのに慣れていないんですから・・・」
照れ臭そうに後頭部をかく少年の名前はラコルト。幸助が信仰する豊作の神である。今、幸助達が滞在しているのはラコルトが拠点を構える村なのだ。
「こんにちは、ラコルト神」
「どうもこんにちは、メアリーさん」
メアリーも幸助の紹介によって知り、神としても認識している。基本的に神に対しては無頓着な彼女だが、ラコルトの神格に少し心が惹かれたようだ。
「ラコルト様も食べましょう。美味しいですよ」
「いえ、私は大丈夫です。私の分まで皆さんが食べて下さい。私は信仰心で既にお腹いっぱいなので・・・」
神は食べ物ではなく、人々からの信仰心によって栄養を補給する。故に味覚はあるが、食べる必要はないのだ。ラコルトが近づいてきた理由は食べるためではなく、幸助と話をする為である。
「コウスケさん、ランマルさんはまだ戻ってきていないんですか?」
「はい。半年前にこの世界にあるはずの日本に似た国を捜しにいってから帰ってこないですね。もしかしたら漂流して別の国に下りちゃったのかも」
「その可能性も十分にありますね。まだこの世界の航海術はコウスケさんの世界と安定していませんしね」
「あれ?いつの間に俺の元居た世界をのぞき見出来るようになったんですか?前まで出来ませんでしたよね?」
「はい!最近になって戻って来た力なんです!!」
こちらの世界の神は本を読む感覚で幸助の元居た世界の過去未来を見る事が出来る。勿論終焉も。しかし、自分らが生きている世界の過去は見れても未来は見れないらしい。
「どうして自分の世界の未来は見えないんですか?」
「う~~ん・・・説明が難しいな・・・無理矢理説明すると、相手の顔は見れても、自分の顔は自力では見えない・・・いや、それよりも本の結末とかは知れても自分の結末は分からないと言った方が良いか・・・」
「ええと、つまりは無理という事ですね」
「・・・はい、そういう事になりますね。因みに逆も然りで、あちらの世界の神はこちらの過去未来終焉を見る事ができます」
「それじゃあ、互いに教え合えれば世界は良い方向に行くかもしれませんね」
「因みに別世界の神同士がコミュニケーションを取るのは禁止とされています」
「流石に考えが甘すぎたか・・・」
世界もそこまで甘くないという事だ。再びシチューを食べる事に集中する。
「しかし、蘭丸さんとボニーさんが旅立ってから半年が経つけど、ピピンとカール以来、一度もアモーラの使いは現れねぇな・・・」
幸助の言った通り、ここ半年程幸助の命を狙うアモーラ信者は一人も現れていない。半年前の騒動によって信者は激減したが、それはフラム内での話であり、他の国にはまだアモーラ信者は残っており、狂信者も存在すると思われる。それなのに襲ってこないのだ。神に命を狙われないのは、とても喜ばしい事なのに幸助は何故か不安そうな表情を浮かべていた。
「どうしたんです?コウスケさん。襲われない事は良い事じゃないですか」
「いや、そうなんだが・・・何か嫌な予感がしてな」
「嫌な予感?」
「ああ、こんなにも長い期間を開けてるんだから何か準備していてもおかしくないなって。俺を殺す為の準備をね──────」
幸助の考える事も一理ある。期間が長ければ長い程、準備は完璧になり、より完成度の高い物が出来上がる。神が半年もかけたらそれはもう凄い力を持った刺客が現れてもおかしくはない。しかし、幸助の予感は幸運な事に外れる事となる。現在、女神アモーラは刺客を作る時間なんて無いのだから・・・。
今日は村が生まれた記念の祭り。だから高級品である白ウサギの魔物の肉を使った料理を村人にふるまっている。白ウサギの捕獲を行った幸助とメアリーも報酬の一部として村長からシチューを頂いていた。
「さあさあ、どうぞ冒険者さん。どうぞお食べください」
「ありがとうございます。では─────いただきます」
村長からシチューをもらった2人は真っ白な牛乳で作られたシチューを啜る。ほんのりと甘くて優しい味だ。
「ねぇ、コウスケさん。その『いただきます』っていつも言ってるけど、どういう意味なの?」
「ん?ああ、食事の前の挨拶みたいなもんだよ。食材に感謝的な?」
幸助もそこまで詳しくはなく、幼い頃から叩き込まれただけなので、疑問符をつけて答える。それでもメアリーは理解してくれたようで、「ふーん」と言いながらシチューを食べる。
シチューを食べていると、1人の美少年が幸助達に近づいてくる。完全に近づいてくる前に気づいた幸助は立ち上がり、美少年に向かって頭を下げた。
「よして下さいよ、コウスケさん。あんまり私はそういうのに慣れていないんですから・・・」
照れ臭そうに後頭部をかく少年の名前はラコルト。幸助が信仰する豊作の神である。今、幸助達が滞在しているのはラコルトが拠点を構える村なのだ。
「こんにちは、ラコルト神」
「どうもこんにちは、メアリーさん」
メアリーも幸助の紹介によって知り、神としても認識している。基本的に神に対しては無頓着な彼女だが、ラコルトの神格に少し心が惹かれたようだ。
「ラコルト様も食べましょう。美味しいですよ」
「いえ、私は大丈夫です。私の分まで皆さんが食べて下さい。私は信仰心で既にお腹いっぱいなので・・・」
神は食べ物ではなく、人々からの信仰心によって栄養を補給する。故に味覚はあるが、食べる必要はないのだ。ラコルトが近づいてきた理由は食べるためではなく、幸助と話をする為である。
「コウスケさん、ランマルさんはまだ戻ってきていないんですか?」
「はい。半年前にこの世界にあるはずの日本に似た国を捜しにいってから帰ってこないですね。もしかしたら漂流して別の国に下りちゃったのかも」
「その可能性も十分にありますね。まだこの世界の航海術はコウスケさんの世界と安定していませんしね」
「あれ?いつの間に俺の元居た世界をのぞき見出来るようになったんですか?前まで出来ませんでしたよね?」
「はい!最近になって戻って来た力なんです!!」
こちらの世界の神は本を読む感覚で幸助の元居た世界の過去未来を見る事が出来る。勿論終焉も。しかし、自分らが生きている世界の過去は見れても未来は見れないらしい。
「どうして自分の世界の未来は見えないんですか?」
「う~~ん・・・説明が難しいな・・・無理矢理説明すると、相手の顔は見れても、自分の顔は自力では見えない・・・いや、それよりも本の結末とかは知れても自分の結末は分からないと言った方が良いか・・・」
「ええと、つまりは無理という事ですね」
「・・・はい、そういう事になりますね。因みに逆も然りで、あちらの世界の神はこちらの過去未来終焉を見る事ができます」
「それじゃあ、互いに教え合えれば世界は良い方向に行くかもしれませんね」
「因みに別世界の神同士がコミュニケーションを取るのは禁止とされています」
「流石に考えが甘すぎたか・・・」
世界もそこまで甘くないという事だ。再びシチューを食べる事に集中する。
「しかし、蘭丸さんとボニーさんが旅立ってから半年が経つけど、ピピンとカール以来、一度もアモーラの使いは現れねぇな・・・」
幸助の言った通り、ここ半年程幸助の命を狙うアモーラ信者は一人も現れていない。半年前の騒動によって信者は激減したが、それはフラム内での話であり、他の国にはまだアモーラ信者は残っており、狂信者も存在すると思われる。それなのに襲ってこないのだ。神に命を狙われないのは、とても喜ばしい事なのに幸助は何故か不安そうな表情を浮かべていた。
「どうしたんです?コウスケさん。襲われない事は良い事じゃないですか」
「いや、そうなんだが・・・何か嫌な予感がしてな」
「嫌な予感?」
「ああ、こんなにも長い期間を開けてるんだから何か準備していてもおかしくないなって。俺を殺す為の準備をね──────」
幸助の考える事も一理ある。期間が長ければ長い程、準備は完璧になり、より完成度の高い物が出来上がる。神が半年もかけたらそれはもう凄い力を持った刺客が現れてもおかしくはない。しかし、幸助の予感は幸運な事に外れる事となる。現在、女神アモーラは刺客を作る時間なんて無いのだから・・・。
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