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四章 魔族との和平交渉
第三話 ちょっとおかしなフランさん
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「ただいま戻りました~~!」
元気よく明るい帰宅の挨拶をしながら幸助の手を引き、受付へと向かうのはステゴロ魔術師ことメアリー・メイフェザーである。入団した直後こそ、言う事を聞かない上に連携も取れない暴れ馬そのものだったが、コウスケ・イズミという名騎手が現れた事によって、コントロールが可能になった今となってはギルドでもトップに君臨する冒険者である。
「ちょい、ちょい!早い!早い!もう少しスピード落として!スピード!!」
現在、彼女に手を引っ張られている男の名前はコウスケ・イズミ。メアリーの手綱を握る男であり、新人ながらワイバーンともしっかりと戦える実力者。何者かに復讐する為に冒険者をやっているとの事だが、復讐対象は頑なに教えては貰えず。主な武器は剣、サブはナイフと魔術と言った典型的な冒険者。かなり強力な冒険者なのは間違いないのだが、レベルが上がりづらく半年経ってもレベルが10のままらしい。
「おい、何やってんだ。新人1号ちゃん!」
「ひゃあぁぁ!!ト、トーマさん・・・」
「もうそろそろ依頼に行きますから2号さんも起こして下さい。僕とトーマは門の前で待ってますから」
小柄な魔術師の青年とガタイの良い斧の戦士は、言う事だけ言うと、ギルドを出ていってしまった。幸助とメアリーの事についてメモをしていた新人冒険者の少女は横で寝ているもう1人の新人冒険者の少年を起こすと、急いでギルドを出ていった。
「ん?何だ、あの子達・・・」
「トーマさんとジューペさんで面倒見てる新人の冒険者達でしたよ。この前話したので知ってます」
「新人か。ついこの間までギルドは終わりだなんやら言われてたのに、持ち返したもんだな」
「それもこれもコウスケさんのお陰ですよ」
「ピンチになったのも俺が原因なんだけどね」
フラム城下町冒険者ギルドは狂気に染まったアモーラ声騎士団逮捕に協力したことで再び地位を得る事に成功した。代わりに優しかったアモーラ教神父様を失ったが。
「受付嬢さん!依頼達成したので、報酬お願いしまーす!」
「はいはい。今日もメアリーさんはお元気ですね。では、こちら報酬の5万アモと、追加報酬の1万アモです」
2つの袋を手渡される。大きな袋には5万アモに匹敵する硬貨が、小さな袋には1万アモに匹敵する金貨が入っていた。
「2人で3万アモです!やりましたね!コウスケさん!」
「ああ、そうだな。上手いシチューも食えたし、大満足だ」
報酬を分ける為に、酒場の椅子に座り、テーブルに硬貨をばら撒く。
「ええっと、銀は10枚で金だから──────」
落とさないように丁寧に分ける幸助とメアリー。真面目に作業をしている2人に迫ってくる1つの巨大な影。気づいたのはメアリーだった。
「あれ?フランさん?」
「やあ、メアリー君。それにコウスケ。元気そうだね」
話しかけてきたのはおしゃれ坊主のベテラン冒険者フラン・キスカだった。いつもは笑顔なのに対し、今日は難しい顔をしている事から、何か問題があるのだろうと幸助は察し、立ち上がる。
「どうしたんですか?フランさん」
「流石はコウスケだな。俺の表情にすぐに気づくなんて・・・実はお前にちょっと頼みがあるんだ」
「頼み・・・?」
依頼か?と思い、手元を見るが、依頼書は握られていない。依頼でなければ一体何が目的だ?金?俺より稼いでいるのに?駄目だ、思い浮かばない。
「少し俺について来てもらう事は出来るか?」
「フランさんに?何で?」
「それは後で話す。何なら武器も全然持ってきて良いからついて来てくれ。メアリー君も」
「わ、分かりました。とりあえず、お金数えてからでいいですか?」
「構わない。時間はそこそこあるので急がなくていい」
急がなくても良いとは言われたが、後ろから感じるフランさんの圧が強くて自然と硬貨を移動させる手と頭の回転が速くなる。結果、想像してた時間よりも3分も早く終わった。
★
見ているだけで吸い込まれてしまいそうな、そんなあるはずのない魔力を草原の上に乗っかる雪に感じながら冷たい冷気を放つ雪の上を歩く。既に歩いてから10分は経過。城下町からはかなり離れ、魔物が出てもおかしくない場所までやってきた。
何処まで行くのか聞いても「良いからついて来てくれ」の一点張り。信頼のあるフランさんだからこそ、ついて来ているが、彼じゃなかったらすぐに帰っているだろう。
更に5分歩くと、小さな小屋へと辿り着いた。依頼に出る際に何度か見た事のある小屋だ。魔物に破壊されても、雪や風に壊されてもおかしくないくらい小さくて単純な作りの小屋だと言うのに、壊れていないのは奇跡に等しいだろう。
「着いたぞ。コウスケ、メアリー君、不安だというのについて来てくれてありがとう。本当なら、あの場で説明して話したかったんだが、説明は連れてきてからとあの方に言われていたんで、する事が出来なかった」
「あの方・・・?フランさんが俺らを呼んだんじゃないんですか?」
「いいや、俺ではない。2人を呼んだのはこの小屋の下にいる」
「「下?」」
フランさんは、ポケットから小さな鍵を取り出すと、小屋の鍵穴に差し込む。どうやら鍵は小屋の物だったようで、ガチャリと鍵の開く音が聴こえてくる。キィィという錆びた金属音を鳴らして開いた扉の先には穴が開いており、梯子が掛けられていた。穴はかなり下まで掘られており、落ちないように慎重に梯子を下りていく。順番で言うと、フラン、幸助、メアリーの順番で下りている。
「コウスケさん、別に上を見上げても良いんですからね」
「縞々でしょ?さっき見た」
「なっ・・・!!」
顔を茹蛸のように真っ赤にするメアリーを無視し、どんどん下へと降りていく。2分程、梯子を下りていると、当たり前だが、最深部に到着する。最深部の下には石が敷き詰められており、掘って作られた部屋も中々広い。天井も高いので、戦う事になっても窮屈な思いをする事はなさそうだ。
秘密の地下室に感動していると、部屋の奥から爽快感のある笑い声が聞こえてきた。まるでアニメの熱血キャラのいような笑い方だ。気になって、部屋を覗いてみると、そこには──────
「やあ!待っていたよ!!イズミ・コウスケ!!神に復讐しようと試みる挑戦者よ!!」
腰布と剣だけを身につけた筋骨隆々の変態が立っていた。
元気よく明るい帰宅の挨拶をしながら幸助の手を引き、受付へと向かうのはステゴロ魔術師ことメアリー・メイフェザーである。入団した直後こそ、言う事を聞かない上に連携も取れない暴れ馬そのものだったが、コウスケ・イズミという名騎手が現れた事によって、コントロールが可能になった今となってはギルドでもトップに君臨する冒険者である。
「ちょい、ちょい!早い!早い!もう少しスピード落として!スピード!!」
現在、彼女に手を引っ張られている男の名前はコウスケ・イズミ。メアリーの手綱を握る男であり、新人ながらワイバーンともしっかりと戦える実力者。何者かに復讐する為に冒険者をやっているとの事だが、復讐対象は頑なに教えては貰えず。主な武器は剣、サブはナイフと魔術と言った典型的な冒険者。かなり強力な冒険者なのは間違いないのだが、レベルが上がりづらく半年経ってもレベルが10のままらしい。
「おい、何やってんだ。新人1号ちゃん!」
「ひゃあぁぁ!!ト、トーマさん・・・」
「もうそろそろ依頼に行きますから2号さんも起こして下さい。僕とトーマは門の前で待ってますから」
小柄な魔術師の青年とガタイの良い斧の戦士は、言う事だけ言うと、ギルドを出ていってしまった。幸助とメアリーの事についてメモをしていた新人冒険者の少女は横で寝ているもう1人の新人冒険者の少年を起こすと、急いでギルドを出ていった。
「ん?何だ、あの子達・・・」
「トーマさんとジューペさんで面倒見てる新人の冒険者達でしたよ。この前話したので知ってます」
「新人か。ついこの間までギルドは終わりだなんやら言われてたのに、持ち返したもんだな」
「それもこれもコウスケさんのお陰ですよ」
「ピンチになったのも俺が原因なんだけどね」
フラム城下町冒険者ギルドは狂気に染まったアモーラ声騎士団逮捕に協力したことで再び地位を得る事に成功した。代わりに優しかったアモーラ教神父様を失ったが。
「受付嬢さん!依頼達成したので、報酬お願いしまーす!」
「はいはい。今日もメアリーさんはお元気ですね。では、こちら報酬の5万アモと、追加報酬の1万アモです」
2つの袋を手渡される。大きな袋には5万アモに匹敵する硬貨が、小さな袋には1万アモに匹敵する金貨が入っていた。
「2人で3万アモです!やりましたね!コウスケさん!」
「ああ、そうだな。上手いシチューも食えたし、大満足だ」
報酬を分ける為に、酒場の椅子に座り、テーブルに硬貨をばら撒く。
「ええっと、銀は10枚で金だから──────」
落とさないように丁寧に分ける幸助とメアリー。真面目に作業をしている2人に迫ってくる1つの巨大な影。気づいたのはメアリーだった。
「あれ?フランさん?」
「やあ、メアリー君。それにコウスケ。元気そうだね」
話しかけてきたのはおしゃれ坊主のベテラン冒険者フラン・キスカだった。いつもは笑顔なのに対し、今日は難しい顔をしている事から、何か問題があるのだろうと幸助は察し、立ち上がる。
「どうしたんですか?フランさん」
「流石はコウスケだな。俺の表情にすぐに気づくなんて・・・実はお前にちょっと頼みがあるんだ」
「頼み・・・?」
依頼か?と思い、手元を見るが、依頼書は握られていない。依頼でなければ一体何が目的だ?金?俺より稼いでいるのに?駄目だ、思い浮かばない。
「少し俺について来てもらう事は出来るか?」
「フランさんに?何で?」
「それは後で話す。何なら武器も全然持ってきて良いからついて来てくれ。メアリー君も」
「わ、分かりました。とりあえず、お金数えてからでいいですか?」
「構わない。時間はそこそこあるので急がなくていい」
急がなくても良いとは言われたが、後ろから感じるフランさんの圧が強くて自然と硬貨を移動させる手と頭の回転が速くなる。結果、想像してた時間よりも3分も早く終わった。
★
見ているだけで吸い込まれてしまいそうな、そんなあるはずのない魔力を草原の上に乗っかる雪に感じながら冷たい冷気を放つ雪の上を歩く。既に歩いてから10分は経過。城下町からはかなり離れ、魔物が出てもおかしくない場所までやってきた。
何処まで行くのか聞いても「良いからついて来てくれ」の一点張り。信頼のあるフランさんだからこそ、ついて来ているが、彼じゃなかったらすぐに帰っているだろう。
更に5分歩くと、小さな小屋へと辿り着いた。依頼に出る際に何度か見た事のある小屋だ。魔物に破壊されても、雪や風に壊されてもおかしくないくらい小さくて単純な作りの小屋だと言うのに、壊れていないのは奇跡に等しいだろう。
「着いたぞ。コウスケ、メアリー君、不安だというのについて来てくれてありがとう。本当なら、あの場で説明して話したかったんだが、説明は連れてきてからとあの方に言われていたんで、する事が出来なかった」
「あの方・・・?フランさんが俺らを呼んだんじゃないんですか?」
「いいや、俺ではない。2人を呼んだのはこの小屋の下にいる」
「「下?」」
フランさんは、ポケットから小さな鍵を取り出すと、小屋の鍵穴に差し込む。どうやら鍵は小屋の物だったようで、ガチャリと鍵の開く音が聴こえてくる。キィィという錆びた金属音を鳴らして開いた扉の先には穴が開いており、梯子が掛けられていた。穴はかなり下まで掘られており、落ちないように慎重に梯子を下りていく。順番で言うと、フラン、幸助、メアリーの順番で下りている。
「コウスケさん、別に上を見上げても良いんですからね」
「縞々でしょ?さっき見た」
「なっ・・・!!」
顔を茹蛸のように真っ赤にするメアリーを無視し、どんどん下へと降りていく。2分程、梯子を下りていると、当たり前だが、最深部に到着する。最深部の下には石が敷き詰められており、掘って作られた部屋も中々広い。天井も高いので、戦う事になっても窮屈な思いをする事はなさそうだ。
秘密の地下室に感動していると、部屋の奥から爽快感のある笑い声が聞こえてきた。まるでアニメの熱血キャラのいような笑い方だ。気になって、部屋を覗いてみると、そこには──────
「やあ!待っていたよ!!イズミ・コウスケ!!神に復讐しようと試みる挑戦者よ!!」
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