大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太

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四章 魔族との和平交渉

第十一話 奇妙な洞窟

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「随分と長い洞窟ですね・・・いつになったら魔界に辿り着くんでしょうか?」

「さあな。頼りになるピエールは死んじまったし・・・こりゃあ帰ったらピエールを殺したか疑われるぞ。まあ、すぐに無実だって証明されるだろうが」

 犯罪を疑われても、真実の神の力ですぐに判決が下されるがこの世界の良い所だ。

 残された5人は黙々と洞窟を奥へと進む。ぐるぐると左回りに降りていく。まるで螺旋階段を降りているようだ。

「魔物は・・・出ませんね」

「確かに気配は無いな。だが、ガーゴイルの時も姿を現すまで気づく事は出来なかった。そもそも生命体ではない魔物が潜んでいてもおかしくはないから気をつけろ」

「ていうか、ガーゴイルって飛ぶタイプの魔物ですよね?どうしてこんな洞窟に?」

「さあな。俺はガーゴイルじゃねえから分からねぇ」

 ここにガーゴイルがいた理由はガーゴイルのみぞ知るという事だ。

 周りに魔物が隠れているか確認しながらぐるぐると地下へと進んで行く。螺旋の道は永遠ではなく、やがて真っ直ぐの道に戻る。いつも行くような洞窟になって幸助は少し心に安心を取り戻した・・・・・・のも束の間、数秒後に現れる光景に幸助の脳を刺激した。

「な、なんだ・・・これ・・・長い曲がりくねった石の橋か?こんなものどうやって作ってんだ?」

 真っ直ぐに続く洞窟の先に待っていたのは広く底が視界では確認できないくらい深い空洞と、底に向かって作られた歪な形の石の橋だった。石の橋には間隔を入れて松明で照らされており、足元を外す心配はなさそうだ。

「人口・・・いや、天然か?自然の不思議だな」

「コウスケさん・・・」

「はいよ」

 落ちるのを恐れたのか、メアリーは幸助の手を握る。

「落ちたら即死だな」

「私のエンチャントで身体を頑丈にします?」

「それでも完璧に守れるかも分からんな・・・」

 とにかく落ちないように慎重に歩いていく。神経を使いながら下へと進んでいかないといけないので、普通に歩いているよりも体力を消耗する。

 ところどころで欠けた剣や折れた槍が落ちているのが、ここでの戦いを物語っている。横幅3mほどしかないのに、どうしてこんな所で戦ったのだろうか?

 歪な天然の橋を下り続けて数十分。終着点の底が見え始めた頃、先輩冒険者が幸助の肩を叩き、注目させた。

「おい、あれ見えるか?異世界人」

「どれです?」

「底の端でうずくまっているだろう?あの鎧だ」

 目を凝らして確認する。すると、暗闇のせいで岩に見えていた物が、頭を抱え、蹲った鎧だという事に気づく事ができた。鎧は小刻みに震えており、中に生きた何者かが入っているのが分かる。その何者が人間なのか、はたまたゾンビなのかほ分からない。

 5人は武器を手に取り、いつでも戦えるように警戒しながら橋を下りて、底に足をつく。すると、鎧の中身は幸助達の気配に気がついたのか、頭を抱えるのを止め立ち上がり、地面に落ちていた刃が波打っている剣を握り、振り向く。

「うぅぅぅぅぅ・・・あぁぁぁぁぁぁ・・・!」

 腹の底から出したようなうめき声が鎧の中から出てくる。引きずるように歩く様はまさにゾンビだ。

「ゾンビのようだが・・・腐臭がしないな」

「生きているんじゃないですかね?」

「歩き方と言い、うめき声と言い、どうみてもゾンビですが・・・」

 ゾンビか生者か判断に困る5人。謎の鎧はそんな事は知ったことではなく、容赦なく波打つ剣を振るい、襲いかかってくる。

「うぁぁぁぁゔあ!!」

「剣筋が鋭い上に素早いな・・・ゾンビにしてはな!!」

 先輩冒険者を筆頭とした3人の冒険者が幸助とメアリーを自分の後ろへと追いやり、武器を構える。

 顔には笑みを浮かべているが、決して油断しているわけではなく、未知に敵に対しての恐怖を誤魔化す為の見栄の笑みだ。

 確かに謎の鎧は素早い。しかし、それ以上に先輩冒険者達が素早くそして強い。身体能力だけを見るなら、半年前の蘭丸と互角ぐらいの実力だ。

 3人は息の合った見事なコンビネーションを発揮し、あっという間に地面に押し倒し、拘束に成功。鎧も外され、剥き出しの胴体が完全に無防備になってしまった。

 現れた素肌は非常に痩せ細っており、骨に皮が張りついているように見える。しかし、ゾンビのように身体が腐っているわけではなく、しっかりと血が通っており、生きている事が分かる。乳房が無いところを見るに、どうやら男のようだ。

「ゾンビじゃ無かったのか。だが、俺達に襲い掛かってきたのは事実!このまま見逃して背中を刺されたらたまったもんじゃないからなっと!!」

 罪悪感を感じながらも、剣を胸に突き刺す。鎧の男は痛みのあまり暴れ回るが、先輩冒険者の仲間によって動きを封じられてしまう。

「あ、ああ・・・」

「すまないな」

 鎧の男の腕の力が抜けているのを確認し、先輩冒険者は血が溢れている胸から剣を引き抜き、血を拭い、鞘に納める。

 殺し切ったかを全く確認せずに。

「がぁ!!」

 死んだと思い切っていた鎧に男の腕が動き、押さえつけていた2人の冒険者の腕に触れる。最後の力を振り絞ったかのような動きだ。

「おい!まだ生きてるぞ!」

「何っ!!」

 殺したと思っていた先輩冒険者は急いで剣を抜きながら、後ろを振り向く。しかし、既に倒れていた場所に鎧の男はおらず、代わりにミイラのような姿に変わり果てた2人の仲間冒険者が倒れており、既にこと切れていた。

「なっ!!・・・お、お前ら!どうしたんだ!何故、身体が干し肉のように干からびているんだ!!おい!返事をしろ!おい!!」

 突然の仲間の死に脳内がパニックになってしまっている。そう思っている幸助の頭もパニックを起こしており、冷静な判断が出来ないでいた。

 だが、何が起きたのかは見ていた。鎧の男が2人に触った途端、ストローで飲み物を飲み干すように身体の水分が男に吸い上げられていったのだ。

 そして、男は立ち上がり、先輩冒険者によって外された鎧を装備していた。

 仲間の死に混乱し、悲しむ先輩冒険者は、立ち上がり、鋭い目つきで鎧の男を睨みつけた。

「貴様かぁ・・・おのれ許さん・・・許さんぞぉぉぉぉ!!」

 仲間の仇に怒り、先輩冒険者は剣を構えた。





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