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四章 魔族との和平交渉
第十話 鋼の身体は伊達ではないが、欠陥だらけ?
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「おい!コウスケ!!お前いつの間にエンチャント覚えやがったんだ!エンチャントはアタシの特権だろう!?」
「エンチャントじゃないよ、炎の手の平に乗せてるだけさ!───こうする為にね!!」
炎を握っている手を引き、足を高く上げ大きく振りかぶると、遠心力を利用し、炎を野球球に見立てて投げる。岩を砕く腕力で投げられた火球。しかし、鋼の前では少し凹ませる事しか出来なかった。
「ふんっ!やっぱり魔術だとアタシに勝てないな!コウスケ!仕方ねぇ!『サンダーエンチャント』!!」
幸助とメアリーの拳に雷が宿る。人体に触れたら、感電するはずだが、エンチャントで感電する事はない。なので、何も心配することなく、拳を作る。
「「はぁぁぁぁぁぁ!!」
ガーゴイルの槍攻撃を紙一重で避けて、鋼の胴体に一撃を入れる。手に伝わる感覚から分かる。電気が鋼に通っている。しかし、ガーゴイルは痺れる事はなく、槍を振り回してきた。
「うぉぅ!?」
「ちょっ!何でだ!?今、電気通ったじゃねえか!」
「感電する中身が無いんだよ!ガーゴイルは金属だけで形成されてる魔物だから、電気は効かないんだ!!」
痺れる生身が無ければ、電気は一方通行で抜けていくのみ。つまりは電気ではダメージを負わせることができないという事だ。
「くっ・・・!メアリー!水のエンチャントだ!なるべく鋭くしてくれ!」
「分かった!───『ウォーターエンチャント』!」
予備の武器として持ってきていたナイフの上に被さるように水が纏わりつく。ただ水がまとわりついただけでなく、時計回りで水が回転している為、切れ味もしっかりとある上に刃の欠けを防いでくれるのだ。
「リーチ短いけど、剣が折れるよりかはマシだ。メアリー!下がってろ!!」
水のエンチャントをかけたナイフを手に再び向かっていく。しかし、鋼に硬度に勝てるはずがなく、数回表面に傷をつけた所でエンチャントが解除、ナイフは折れてしまう。
「クソっ!ダメか!!」
「おい!コウスケ!避けろ!!」
攻撃に集中しすぎてガーゴイルの全体図が見えていなかったのだろうか、振り回された尻尾によって、幸助は洞窟の端の壁に叩きつけられてしまった。
「ぐぅ・・・!!」
「Gooooonn・・・」
直前に気づいて盾で狙われた腹部を守れたが、圧迫された影響で吐きそうだ。
「クッソ・・・使うしかねぇか、闘士の剣!」
ファイトールの加護が宿った剣を手に握る。重さも握り心地は変わっていない。変わったのは外見のみ。魔界の門に辿り着くまでに何度か使ったが、切れ味は中々のものだった。しかし、この剣で鋼を斬った事はないし、どうなるかも分からない。
「行くぞぉぉぉぉぉ!!」
絶対に斬るを心に決め、突き進む。その時だった─────。
「良し!完成だ!2人共!避けてくれ!!」
先輩冒険者の方を見ると、手には茶色の不気味な光が集まっており、冒険者はその光を投げようと構えている。幸助は見たことのない光に首を傾げたが、見たことのあるメアリーは急いでコウスケの手を引っ張り、その場から離れた。
「コウスケ!あれは当たったらダメだ!折角の武器防具が無駄になる!」
「ど、どういう意味だ?」
「そりゃあ、アタシが話すよりも見た方が分かりやすいから!早く!!」
メアリーに言われるがまま、ガーゴイルの槍を避けて先輩冒険者の後ろへと走る。当然、戦いを放棄した俺の方へと走ってくるが、先輩は特に表情を変えることなく、魔術が当たるように角度調整を行い、そして─────。
「いけ!!─────『ラスト』!!」
茶色の巨大な光が先輩によって投げられ、見事ガーゴイルの身体へと命中する。さあ、何が起こるのだろうか?・・・と、期待はしたが。
「Goooooon・・・」
魔術が当たったガーゴイルは崩壊も溶解もせずに槍を構え、突進してくるではないか。
魔術失敗だと考えた幸助は、先輩冒険者の顔を見る。先輩冒険者は、ガーゴイルが迫ってきているというのに、全く動じる事はなく、腕を組んで成功の笑みを浮かべていた。
やがて、槍が届く範囲まで到達したガーゴイルは、先輩冒険者に向かって槍を放つ。冷たい風を切って進んで行くが、ピタリと喉まで残り1センチの地点で槍が止まった。
「えっ・・・」
まるで、時が止まったかのように急に止まったので、鋼のガーゴイルの方を見てみると、魔術が当たった胴体を中心にして広がるように錆びていっているではないか。
「ラスト・・・Rust・・・そうか!錆びか!今、撃ったのは攻撃系の魔術じゃなくて、金属を錆びさせる魔術だったんですね!」
先輩は横目を流して俺にサムズアップしてみせる。
錆びの魔術、ボニーさんが使えると言っていたが、一度も見た事が無かったが、まさかこんなにも便利な魔術だったとは思ってもいなかった。
「GoGoGoGooooooonnn・・・」
錆びるガーゴイルは槍を捨て、手を伸ばし、先輩冒険者を掴もうとするが、またもや残り数センチの所でピタリと止まってしまう。どうやら、錆びが全身に回って、動けなくなってしまったようだ。
「よし、最後にとどめだ。拳骨魔術師、背中の中心辺りを炎の熱で溶かしてくれ。ゆっくりで良いから」
「おう。任せておけ」
炎のエンチャントで拳を燃やすと、ガーゴイルの錆びた鋼の背中に付ける。鋼の融点は非常に高く、溶けるのに時間がかかったが、錆びたガーゴイルは動くどころか、叫びを上げる事もなかった(金属だからだろうか)。
しばらく溶かしていると、金属ではない青い水晶玉が姿を現した。ほんのりと光っており、ほのかにエネルギーを感じる。
「それが、核だ。高く売れると思うから、壊さないように取り外してくれよ」
「はいよ。山分けだよな?」
「勿論」
周りの邪魔な鋼を溶かし、水晶玉を取り出すと、鋼のガーゴイルの目から光が消え、ただの鋼像と化した。
「さて、傭兵とピエールの死体はどうする?」
「家族に死を伝えられそうな物を一つずつ取って焼いちゃいましょう。ゾンビになられたらたまりませんからね」
戦場の近くは魂が多くうろついており、ゾンビが発生しやすいという。魔界の門前は戦場だったので、き洞窟にもいておかしくないだろう。
少し申し訳ない気持ちはあるが、その気持ちのせいで背中を刺されたら笑い話にもならない。幸助とメアリーと先輩冒険者は協力して4人の死体を焼くのであった。
「エンチャントじゃないよ、炎の手の平に乗せてるだけさ!───こうする為にね!!」
炎を握っている手を引き、足を高く上げ大きく振りかぶると、遠心力を利用し、炎を野球球に見立てて投げる。岩を砕く腕力で投げられた火球。しかし、鋼の前では少し凹ませる事しか出来なかった。
「ふんっ!やっぱり魔術だとアタシに勝てないな!コウスケ!仕方ねぇ!『サンダーエンチャント』!!」
幸助とメアリーの拳に雷が宿る。人体に触れたら、感電するはずだが、エンチャントで感電する事はない。なので、何も心配することなく、拳を作る。
「「はぁぁぁぁぁぁ!!」
ガーゴイルの槍攻撃を紙一重で避けて、鋼の胴体に一撃を入れる。手に伝わる感覚から分かる。電気が鋼に通っている。しかし、ガーゴイルは痺れる事はなく、槍を振り回してきた。
「うぉぅ!?」
「ちょっ!何でだ!?今、電気通ったじゃねえか!」
「感電する中身が無いんだよ!ガーゴイルは金属だけで形成されてる魔物だから、電気は効かないんだ!!」
痺れる生身が無ければ、電気は一方通行で抜けていくのみ。つまりは電気ではダメージを負わせることができないという事だ。
「くっ・・・!メアリー!水のエンチャントだ!なるべく鋭くしてくれ!」
「分かった!───『ウォーターエンチャント』!」
予備の武器として持ってきていたナイフの上に被さるように水が纏わりつく。ただ水がまとわりついただけでなく、時計回りで水が回転している為、切れ味もしっかりとある上に刃の欠けを防いでくれるのだ。
「リーチ短いけど、剣が折れるよりかはマシだ。メアリー!下がってろ!!」
水のエンチャントをかけたナイフを手に再び向かっていく。しかし、鋼に硬度に勝てるはずがなく、数回表面に傷をつけた所でエンチャントが解除、ナイフは折れてしまう。
「クソっ!ダメか!!」
「おい!コウスケ!避けろ!!」
攻撃に集中しすぎてガーゴイルの全体図が見えていなかったのだろうか、振り回された尻尾によって、幸助は洞窟の端の壁に叩きつけられてしまった。
「ぐぅ・・・!!」
「Gooooonn・・・」
直前に気づいて盾で狙われた腹部を守れたが、圧迫された影響で吐きそうだ。
「クッソ・・・使うしかねぇか、闘士の剣!」
ファイトールの加護が宿った剣を手に握る。重さも握り心地は変わっていない。変わったのは外見のみ。魔界の門に辿り着くまでに何度か使ったが、切れ味は中々のものだった。しかし、この剣で鋼を斬った事はないし、どうなるかも分からない。
「行くぞぉぉぉぉぉ!!」
絶対に斬るを心に決め、突き進む。その時だった─────。
「良し!完成だ!2人共!避けてくれ!!」
先輩冒険者の方を見ると、手には茶色の不気味な光が集まっており、冒険者はその光を投げようと構えている。幸助は見たことのない光に首を傾げたが、見たことのあるメアリーは急いでコウスケの手を引っ張り、その場から離れた。
「コウスケ!あれは当たったらダメだ!折角の武器防具が無駄になる!」
「ど、どういう意味だ?」
「そりゃあ、アタシが話すよりも見た方が分かりやすいから!早く!!」
メアリーに言われるがまま、ガーゴイルの槍を避けて先輩冒険者の後ろへと走る。当然、戦いを放棄した俺の方へと走ってくるが、先輩は特に表情を変えることなく、魔術が当たるように角度調整を行い、そして─────。
「いけ!!─────『ラスト』!!」
茶色の巨大な光が先輩によって投げられ、見事ガーゴイルの身体へと命中する。さあ、何が起こるのだろうか?・・・と、期待はしたが。
「Goooooon・・・」
魔術が当たったガーゴイルは崩壊も溶解もせずに槍を構え、突進してくるではないか。
魔術失敗だと考えた幸助は、先輩冒険者の顔を見る。先輩冒険者は、ガーゴイルが迫ってきているというのに、全く動じる事はなく、腕を組んで成功の笑みを浮かべていた。
やがて、槍が届く範囲まで到達したガーゴイルは、先輩冒険者に向かって槍を放つ。冷たい風を切って進んで行くが、ピタリと喉まで残り1センチの地点で槍が止まった。
「えっ・・・」
まるで、時が止まったかのように急に止まったので、鋼のガーゴイルの方を見てみると、魔術が当たった胴体を中心にして広がるように錆びていっているではないか。
「ラスト・・・Rust・・・そうか!錆びか!今、撃ったのは攻撃系の魔術じゃなくて、金属を錆びさせる魔術だったんですね!」
先輩は横目を流して俺にサムズアップしてみせる。
錆びの魔術、ボニーさんが使えると言っていたが、一度も見た事が無かったが、まさかこんなにも便利な魔術だったとは思ってもいなかった。
「GoGoGoGooooooonnn・・・」
錆びるガーゴイルは槍を捨て、手を伸ばし、先輩冒険者を掴もうとするが、またもや残り数センチの所でピタリと止まってしまう。どうやら、錆びが全身に回って、動けなくなってしまったようだ。
「よし、最後にとどめだ。拳骨魔術師、背中の中心辺りを炎の熱で溶かしてくれ。ゆっくりで良いから」
「おう。任せておけ」
炎のエンチャントで拳を燃やすと、ガーゴイルの錆びた鋼の背中に付ける。鋼の融点は非常に高く、溶けるのに時間がかかったが、錆びたガーゴイルは動くどころか、叫びを上げる事もなかった(金属だからだろうか)。
しばらく溶かしていると、金属ではない青い水晶玉が姿を現した。ほんのりと光っており、ほのかにエネルギーを感じる。
「それが、核だ。高く売れると思うから、壊さないように取り外してくれよ」
「はいよ。山分けだよな?」
「勿論」
周りの邪魔な鋼を溶かし、水晶玉を取り出すと、鋼のガーゴイルの目から光が消え、ただの鋼像と化した。
「さて、傭兵とピエールの死体はどうする?」
「家族に死を伝えられそうな物を一つずつ取って焼いちゃいましょう。ゾンビになられたらたまりませんからね」
戦場の近くは魂が多くうろついており、ゾンビが発生しやすいという。魔界の門前は戦場だったので、き洞窟にもいておかしくないだろう。
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