42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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1章 投げる冒険者

8話 投げる、討つ

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「!?なっ、ゴブリン!?いや、死んでる?」

「あれ?死んだ・・・?」

 俺の目が正しければ、石はこめかみにぶつかっていた。速度は出ていなかったから、当たりどころが悪くて死んでしまったのだろう。

「ファルコ、お前がやったんだよな・・・?」

 周りには俺と、父さんしかいない。消去法的に俺だと分かるだろう。父さんは驚いた表情で死んだゴブリンと俺を交互にしばらく見つめると、俺の肩に手を置き、少し苦しさを感じるくらい抱きしめた。

「と、父さん?」

「ハハッ・・・ハハハ!!流石は俺の息子だ!まさかその歳でゴブリンとはいえ魔物を倒してしまうとはな!!いやいや驚いた!!そしてありがとう命の恩人よ!お前がゴブリンを殺していなかったら、俺は今頃死んでいた!」

「へへっ、お互い様だよ。父さん」

「それもそうだな!だが、どうやって倒したんだ?武器は持ってないし、魔法も法律的に使えないだろう?」

「足元にあった石を投げたんだ」

「投石で?しかもお前の投石でか?当たりどころが悪かったとはいえ、そんな簡単に殺せるのか?子供の腕力で・・・いやでも、魔力の残滓は感じないし、ファルコが嘘をつくとは思えん・・・」

「投げ方だよ。全身を使うようにして投げれば、普通に投げるよりも遥かに速く投げられるんだ」

 人類が初めて使用した遠距離武器は、人力での投石であった。そこから槍、弓矢、弩、銃と言ったように進化していった。

 これは俺の推測に過ぎないが、人力での投石は様々な面で負担しかない為、短い期間しか使用されず、もっと便利で使いやすい槍が生まれたと思う。

 故に人々は人力での投石は極めなかった。更に、この世界には野球が無く、代わりに魔族との戦争が勃発している。石を投げる練習する暇があるなら、弓矢を作るだろう。

 だから、この世界の人達は球体の物をより速く投げる方法をまだ知らない。現に父さんは首を傾げている。

「ちょっとやってみてくれないか?あの木に向かって」

「分かった・・・ふんっ!!」

 パンッ!と音を立てて木にぶつかる。石は欠けなかったが、木の方はほんの少し凹んだ。

 先程と違ってしっかりと準備してから投げたからか、先程よりも速度が出たような気がする。71キロといった所だろうか?

「全身を使って投げる・・・投擲とはまた違うんだな・・・しかしそんな技術いつ身につけたんだ?」

「えっとね、友達と的当てしてる時にどうやったら速度を出せるかなって思ってさ」

「遊びからか・・・」

 顎に手を添えてしばらく考える父さん。3分ぐらい考えた後、俺の方を見てきた。

「ファルコ、もしかしたらその技術・・・使えるかもしれないぞ」

「・・・え?」

「戦士の戦闘手段として活かせるかもしれない。ちょっと極めてみないか?」

 どうやら前世の俺の武器は、こちらでも通じるみたいだ。
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