42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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5章 紛い物の神

215話 グルメな植物

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 ・・・。

 ・・・・。

 ・・・・・遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてくる。聞き覚えのある声だ。この声は・・・。

「父さん?」

「起きろ!ファルコ!!食い殺されるぞ!!」

「・・・え?」

 衝撃の言葉に目が一気に覚める。目を開くと目の前にあったのは父さんの顔ではなく、大きな口だった。

「うわぁっ!!」

 喰われそうになった瞬間、右横から強烈なタックルを喰らわされる。タックルをしたのは、身を挺して助けてくれた父さんだった。

「よし、目を覚ましたな。ならさっさとコイツら倒すぞ」

「コイツは・・・グルメプラント!?」

 俺を食べようとしていたのは、肉食植物の魔物グルメプラント。食虫植物と非常に似ているが、グルメプラントは自ら餌を求めて動く。

「倒した方が良いよね!?ファイ・・・」

「火と爆発の魔法は使うな!森に燃え移る!!」

 危ないところだった。炎の魔法は既に喉の所まで出てきていた。

「じゃあ、どうすれば・・・」

「氷の魔法だ!凍らせて打ち砕け!!」

 体の芯まで凍り付かせて砕き殺す。成る程、温暖な地域に住む魔物に有効な攻撃手段かもしれない。早速─────。

「『アイス』!!」

 凍てつく空気が、グルメプラントを襲う。冷気はたちまちグルメプラントの体を氷漬けにした。

「よしっ!それじゃあ、一球!!・・・『ウィンド』!!」

 体の力だけでなく、魔力も使って球を投げる。投げる瞬間に追い風を受けた鉄球は、凄まじい回転と、164キロの球速をまとってグルメプラントに向かって飛んでいった。

 魔法の力を使ったとはいえ、久しぶりの160キロ台。当たり前ではあるが、やはり150キロ台とはまるで球威が違う。

 バリッ!!という音と共に、凍ったグルメプラントにぶつかる。当たった箇所からヒビが広がっていき、10秒後にはグルメプラントはバラバラの氷となって地面に落ちてきた。

「ふう・・・芯まで凍らせているか不安だったけど・・・杞憂だったみたい・・・」

「いいや、それは多分杞憂ではないと思うぞファルコ。後ろを見ろ」

 父さんが向いている方向を言われた通り見る。バラバラになったグルメプラントが地面に落ちている。その先にあるのは・・・茎?途中でちょん切れた大きな茎だ。

「まじかよ・・・」

 その茎の色と、目で見た質感はグルメプラントそっくりだった事から、グルメプラントの茎だったのだろう。しかし、経験は浅いものの、冒険者だ。それなりに経験はしている。茎の切断面が脈打つように動いている事察するにまだ、グルメプラントは生きている。

 次の瞬間、蠢いていた切断面が急激な成長を遂げる。1分経った頃には、先程砕いたグルメプラントと同じ顔が生えてきていた。
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