42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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終章 3年後の平和

267話 幸せな生活

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 まだ寝ているというのに、顔面に光が差し込んでくる。目蓋を閉じているというのに、眩しいのは何故だろう。俺は思わず布団に顔を隠した。

「もう、何してんの。もう朝なんだから早く起きなさい」

 しかし、そんな抵抗も虚しく布団をひっぺ剥がされてしまう。剥がしてきたのは、あろう事か俺の頬に触れるようにキスをしてきた。

「起きてファルコ。朝ごはんはできてるからね?」

「マジか・・・おはよう、ヘリナ」

 起こしてきた者の正体は俺の嫁ヘリナだった。

 朝ごはんができたとの事で、仕方なくリビングまで行くと、ヘリナは席に座って俺が座るのを待っていた。

 パンに、うさぎ肉のスープに、牛乳。最高の食事だ。

「いただきます」

「ふふ、相変わらず前世のくせが抜けてないね。確か、食前の挨拶だっけ?」

「うん、食べられる事と血肉になってくれる食材に感謝をしないとやっぱり嫌なんだよ。やっぱり変かな?」

「うん、変だね。けど、そのままで良いと思うよ」

「そっか、それなら良いや」

 朝ごはんを食べ終えると、外に出て生のお日様の光を浴びる。これが気持ちよくてたまらない。

「これの為に生きてるって言っても過言じゃ無いかも」

「大袈裟ね、それじゃ今日もお仕事頑張ってね」

「うん、行ってきます」

 斧を手に取り、行ってきますのキスを行う。互いに愛し合っているのは理解しているはずなのに、キスをするのは何故なんだろう。自分でしておいて不思議で仕方がない。

 斧を手に、森へと向かう。森には魔物・・・はおらず、鹿の親子が仲睦まじく身を寄せ合っている。

 終戦してから早3年。まさか、こんなにも生活が大きく一変するとは思ってもいなかった。

 ある日を境に魔物は現れなくなり、代わりに温厚な動物のみが生息するようになった。

 犯罪者と魔物の討伐を生業とする冒険者業は一気に衰退。終戦から1年後にギルドは解体されてしまった。

 最初はとても悲しかったが、もう人々が魔物に襲われずに済むと思うと、決して悪くはない話と思えるようになった。

 そして、今は木こりとしての収入と終戦功労者としての謝礼を元に妻と共に穏やかな隠居生活を送っている。

 とても平和でとても幸せな毎日。しかし、何故だろう。

「物足りないなぁ・・・」

 何か大事なモノがすっぽ抜けてしまったような気がする。俺の大事なモノ・・・俺を形成する大事なモノ。

 しかし、それが思い出せない。喉のところすらも来ていない。

 毎日そのナニカを思い出そうとしながら、斧を振るう。すると、無意識に斜めに切ってしまうのだった。
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