42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太

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終章 3年後の平和

331話 クライミング

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 さて、天井を開けることには成功した。後はどうやって上に登って坊ちゃんを引き摺り出すかだ。

「ドゥーク!誰も巻き込んではいないよな!?」

「心配するな!幸い誰もいない草原に出た!思う存分引っこ抜け!私はもう魔力も大量も残っていない!!」

「まずは登らないとな・・・もう一回迷路を戻って地上まで戻るのはあまりにも辛すぎる。壁を登って上を目指す他はないか・・・」

 しかし、上にも問題が存在する。坊ちゃんだ。自分を引っこ抜こうとしている敵をそのままにしているわけがない。根っこで背中から心臓を貫かれたら一貫の終わりだ。

「ちょっと幻を見ててもらうかっ!!」

 ドリームトリップを込めた鉄球を投げる。すると坊ちゃんは根っこで盾を形成し、自分の守りを固める。更に、俺の使用した魔法を把握しているのか、魔法にかからないように盾に使った根っこは自らちぎって本体とのつながりを断ってしまった・・・が、これは想定内だ。

「うそ!?球が曲がった!?」

 俺が今投げたのはストレートではなく、カーブ。ドリームトリップのかかった鉄球は坊ちゃんの本体に掠るように当たった。すると、坊ちゃんの目は睡魔に襲われた子供のようなトロンとしたものとなり、完全に幻を見ている状態となった。

「これだからドリームトリップは止められないな。皆、今のうちに登ろう」

 壁には凹凸があった為とても登りやすかった。その為、坊ちゃんが幻を見ている間の呟きにも耳を傾ける事が出来た。

「父、さん・・・母さんに酷い事はしないでよ・・・おねがい・・・」

 断片的ではあるが、坊ちゃんの家庭環境が分かったような気がする。あまり恵まれた家族関係ではなかったみたいだ。

 ほんの一部分ではあるものの背景の一部分を知った途端、坊ちゃんに同情の念が湧いてくるが、それはそうと彼を止めなければならない。その想い一つで壁を登り終え、地上へと戻ってきた。

 俺達が這い上がってきた穴のど真ん中には小さな白い花がまるで宙に浮くように咲いている。白い花は坊ちゃんに繋がっている。宙に浮いているのではなく、巨大な根っこが支えになっているみたいだ。

「デカい根っこだから巨大な植物が生えていると思ったんだが、普通の花だな」

「擬態の一種か、それともその小さな花をベースに根っこだけを大きくしたのかのどちらかだろうな。ファルコ、ここからどうする?魔法で臨時の縄は作れるとして、俺らだけじゃあんな巨大な根っこを引っこ抜けないぞ」

「そこに関しては問題ないと思う。だってほら、トルネヒロの方見てみてよ」

 そう遠くない位置にあるトルネヒロの方角から多くの陰がこちらの方へと走ってきていた。
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