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終章 3年後の平和
335話 痛々しい姿
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分断された地面側の根っこはいまだに残ってはいるが、ゆっくりと分解されて栄養は再び大地に戻っていくだろう。
これで『オール・イン・ザ・ハンド』の阻止とブラッドの撃退に成功した。
「やったねファルコ」
「はい、お疲れ様です先輩」
トドメを指したヘリナ先輩と熱い握手をかます。すると、俺とヘリナ先輩の間に一本の光る縄がぶら下がってくる。魔力で作った縄だ。上を見上げると、みんなが手を振っている。
「それに掴まれ!引き上げてやる!」
「ありがとうございます!ナックル」
「はい!」
少し遠くにいたナックルも呼んで縄に捕まり、引き上げられる。ブルドーさんの力で引き上げられた為、壁をよじ登った時とは比べ物にならない速さで地上まで戻る事ができた。
「よくやったな、ファルコ、ナックル、ヘリナちゃん。俺達は引っ張るのに必死でそんな簡単な事すらも考えられなかった。ありがとうな」
何もない草原に、大木のように太い根っこが転がっている。戦っている時は何とも思っていなかったが、俺達はこんなにも大きな根っこを相手にしていたのか。
「今回の勝因は、ブラッド・ペピトーンの単純なる戦闘経験不足だな。コイツが戦士ではなくて本当に良かったと思っているよ」
確かに攻撃の仕方が若干ぎこちなかったような気がする。根っこで貫かれたのもセバスチャンだけだったし。
「ところで、ブラッドは死んだんですか?」
根っこが転がっているだけで、本体であるブラッドは死んでいない可能性がある。元は人間なのだから根っこが死んでもまだ生きているはできるはずだ。
「・・・ファルコ、正解だよ。彼はまだ生きている」
「やっぱりか・・・ってオーナー!近づきすぎです!殺されますよ!」
「心配はない。大地からの接続が切れると同時に戦意も失ったようだからね。それに今もほら、涎を垂らしながらぶつぶつと言葉を呟いているだけだ」
アダムオーナーが立っている位置まで行くと、ブラッドの顔がそこにはあった。オーナーの言う通り最早戦意喪失しているようだが、何だか様子がおかしい。
「かあさぁん・・・ぼくを置いていかないでぇ・・・かあさぁん・・・」
どうやら走馬灯を見ているようだ。既に亡き母を呼んでいる姿が何とも痛々しい。これ以上辛い思いをさせない為にも介錯をしてあげた方が良いのだろうが、どうやってすれば良いんだろうか。
首らしき首は見つからないし、燃やしたらさらに苦しみそうだ。こうなったら露出している顔を引きちぎるか?
「・・・せいだ」
「ん?」
独り言がガラリと変わった。なんて言っているんだ?
「父さんの、せいだ・・・!!」
母を求める声から父をに憎む声へと変化していた。
これで『オール・イン・ザ・ハンド』の阻止とブラッドの撃退に成功した。
「やったねファルコ」
「はい、お疲れ様です先輩」
トドメを指したヘリナ先輩と熱い握手をかます。すると、俺とヘリナ先輩の間に一本の光る縄がぶら下がってくる。魔力で作った縄だ。上を見上げると、みんなが手を振っている。
「それに掴まれ!引き上げてやる!」
「ありがとうございます!ナックル」
「はい!」
少し遠くにいたナックルも呼んで縄に捕まり、引き上げられる。ブルドーさんの力で引き上げられた為、壁をよじ登った時とは比べ物にならない速さで地上まで戻る事ができた。
「よくやったな、ファルコ、ナックル、ヘリナちゃん。俺達は引っ張るのに必死でそんな簡単な事すらも考えられなかった。ありがとうな」
何もない草原に、大木のように太い根っこが転がっている。戦っている時は何とも思っていなかったが、俺達はこんなにも大きな根っこを相手にしていたのか。
「今回の勝因は、ブラッド・ペピトーンの単純なる戦闘経験不足だな。コイツが戦士ではなくて本当に良かったと思っているよ」
確かに攻撃の仕方が若干ぎこちなかったような気がする。根っこで貫かれたのもセバスチャンだけだったし。
「ところで、ブラッドは死んだんですか?」
根っこが転がっているだけで、本体であるブラッドは死んでいない可能性がある。元は人間なのだから根っこが死んでもまだ生きているはできるはずだ。
「・・・ファルコ、正解だよ。彼はまだ生きている」
「やっぱりか・・・ってオーナー!近づきすぎです!殺されますよ!」
「心配はない。大地からの接続が切れると同時に戦意も失ったようだからね。それに今もほら、涎を垂らしながらぶつぶつと言葉を呟いているだけだ」
アダムオーナーが立っている位置まで行くと、ブラッドの顔がそこにはあった。オーナーの言う通り最早戦意喪失しているようだが、何だか様子がおかしい。
「かあさぁん・・・ぼくを置いていかないでぇ・・・かあさぁん・・・」
どうやら走馬灯を見ているようだ。既に亡き母を呼んでいる姿が何とも痛々しい。これ以上辛い思いをさせない為にも介錯をしてあげた方が良いのだろうが、どうやってすれば良いんだろうか。
首らしき首は見つからないし、燃やしたらさらに苦しみそうだ。こうなったら露出している顔を引きちぎるか?
「・・・せいだ」
「ん?」
独り言がガラリと変わった。なんて言っているんだ?
「父さんの、せいだ・・・!!」
母を求める声から父をに憎む声へと変化していた。
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