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1章 就職!異世界の門日本支部!
18話 夜の買い出し
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勤務が終わり、夜勤組の人達と交代。モネさんとくだらない口喧嘩をしながら家に帰る。
仕事から帰ると、まず最初に見るのは漫画本しか入っていない本棚。自宅の自室の本棚には、門番試験用の参考書などが沢山あるが、意味はない為、置いてきた。それに、自宅ならまだ使い道はあるだろうし。
しかし、休みがない為、本棚の漫画は読んでいない上に増えてもいない。ただただ休憩する為の部屋と化している。
お金は確かに稼ぎたいが、しっかりと休みは欲しい。早く入院している先輩達には一刻も早く戻ってきてほしいものだ。
「・・・ペペロンチーノで良いか」
パスタ麺があったことを思い出し、パスタの中でも簡単に作れるペペロンチーノを夕飯に定める。
そのまま居間ではなく、玄関のすぐ横にある台所に直行。冷蔵庫の中を確認する・・・が。
「空っぽ・・・そうか、昨日のお好み焼き・焼きそば・たこ焼きパーティーのせいで野菜とか肉のストックが消えたのか・・・」
シャープとモネさんを誘った日本のB級グルメを作って食べ尽くすパーティー。モネさんが思いの外ハマって大食いしたのは驚いたし、今後もいい思い出として残るだろう。
それはともかく、買い出しに行かなければ。時刻はまだ19時25分。全然スーパーは空いている。気力があるうちに行こう。
スマホとエコバッグだけを持って家を出る。既に5月だが、ちょっと肌寒い気がする。
さっさと買い物を終わらせたい気持ちもだるいという気持ちが合わさって駆け足でスーパーへと向かい、必要最低限の物だけを買う。
キャベツは一玉食べ切る前に腐ってしまうので半玉だけ買って店を出る。行きと同じで駆け足気味で帰宅していると、見覚えのある後ろ姿を見つけたので、疲れていながらも元気よく声をかけてしまった。
「おぉい!シャープ!!」
急に話しかけられて驚いたのか、びくりと肩を振るわせるとこちらを振り向き、笑顔を向けてくる。人違いではなかったようだ。
「シャープも買い出し?」
「うん!そんな感じ!そういうヒスイも買い出し?昨日のパーティーが影響してる?」
「そうなんだよ~。モネさんが食い尽くしちゃったから冷蔵庫の中ぎ空っぽでさ~」
「あれ、美味しかったからね。仕方ないよ!それに、ドワーフは濃い味付けが好きって聞くしね」
「それは初耳。これからは濃い味の食べ物渡したらモネさんも落ち着いてくれるかな?」
「いや、あれはデフォルトだからあんまし効果はないと思うよ。キレてる時にあげたら機嫌が多少は良くなるだろうけど」
「ダメか~そりゃ残念。そういえば、シャープは何買ったの?」
「僕はね・・・布!ただの布!!僕の村に仕送りとして送るんだ!」
「布?ザナだとそんなに高価なの?」
「うん!あっちは、こっちの動植物と違って暴れたり、人に危害加える魔物ばっかだからね」
「そっか・・・」
ザナでは、魔物から良い素材・食材が手に入ることが多いらしい。その為、素材集めはいつも命懸けになることが多い模様。
「そういえば、リオに来た時に最初に驚いたのは安価で手に入る食材とかだったね!ザナもこんなだったらって何度思ったことやら・・・」
魔物という存在から分かる通り、リオと比べて過酷な環境だ。超弱肉強食世界と呼ばれ、法律も、リオと繋がりを持つまではただ存在するだけという酷い有様だったという。
今でもそんな名残が残っており、魔物も現在進行形で強くなっているのだとか。
そんな世界が嫌なのだろう。リオに移住を希望する者が多数存在する。しかし、移住には当然お金がかかる。貧しい者には到底支払えない額のお金がかかってしまう。
だから、不法入国が起きてしまうのだ。
そんな背景を知っているから、追い返す時は辛い。胸が苦しい。だが、そんな不法入国者達を取り締まるのも俺達門番の仕事だ。心を鬼にして追い返さなければならない。
「ヒスイは優しいね。仕事を邪魔してるのに、イライラしてるのに心の中では許してるんだ」
「いや、多分だけど自己投影してるだけだと思う。優しいとか正義感とかはないよ」
これを正義と優しさとか言ったら、正義と優しさからしたらとんでもない風評被害だと思う。
「優しさだと僕は思うけどな~・・・まあ、良いや。それじゃあ、また明日ね」
「おう、また明日」
疲れもある上、食事をとっていない為、足早にその場を去る。会話は楽しかったが、視界が霞み、歪んでいた。あと少し話し続けていたら倒れていたかもしれないな。
シャープと別れ、互いに正反対の場所に位置する自分の自宅に向かって歩き出す。その際、髪が少し揺れるぐらいの風が木屑の匂いと一緒に横切った。
仕事から帰ると、まず最初に見るのは漫画本しか入っていない本棚。自宅の自室の本棚には、門番試験用の参考書などが沢山あるが、意味はない為、置いてきた。それに、自宅ならまだ使い道はあるだろうし。
しかし、休みがない為、本棚の漫画は読んでいない上に増えてもいない。ただただ休憩する為の部屋と化している。
お金は確かに稼ぎたいが、しっかりと休みは欲しい。早く入院している先輩達には一刻も早く戻ってきてほしいものだ。
「・・・ペペロンチーノで良いか」
パスタ麺があったことを思い出し、パスタの中でも簡単に作れるペペロンチーノを夕飯に定める。
そのまま居間ではなく、玄関のすぐ横にある台所に直行。冷蔵庫の中を確認する・・・が。
「空っぽ・・・そうか、昨日のお好み焼き・焼きそば・たこ焼きパーティーのせいで野菜とか肉のストックが消えたのか・・・」
シャープとモネさんを誘った日本のB級グルメを作って食べ尽くすパーティー。モネさんが思いの外ハマって大食いしたのは驚いたし、今後もいい思い出として残るだろう。
それはともかく、買い出しに行かなければ。時刻はまだ19時25分。全然スーパーは空いている。気力があるうちに行こう。
スマホとエコバッグだけを持って家を出る。既に5月だが、ちょっと肌寒い気がする。
さっさと買い物を終わらせたい気持ちもだるいという気持ちが合わさって駆け足でスーパーへと向かい、必要最低限の物だけを買う。
キャベツは一玉食べ切る前に腐ってしまうので半玉だけ買って店を出る。行きと同じで駆け足気味で帰宅していると、見覚えのある後ろ姿を見つけたので、疲れていながらも元気よく声をかけてしまった。
「おぉい!シャープ!!」
急に話しかけられて驚いたのか、びくりと肩を振るわせるとこちらを振り向き、笑顔を向けてくる。人違いではなかったようだ。
「シャープも買い出し?」
「うん!そんな感じ!そういうヒスイも買い出し?昨日のパーティーが影響してる?」
「そうなんだよ~。モネさんが食い尽くしちゃったから冷蔵庫の中ぎ空っぽでさ~」
「あれ、美味しかったからね。仕方ないよ!それに、ドワーフは濃い味付けが好きって聞くしね」
「それは初耳。これからは濃い味の食べ物渡したらモネさんも落ち着いてくれるかな?」
「いや、あれはデフォルトだからあんまし効果はないと思うよ。キレてる時にあげたら機嫌が多少は良くなるだろうけど」
「ダメか~そりゃ残念。そういえば、シャープは何買ったの?」
「僕はね・・・布!ただの布!!僕の村に仕送りとして送るんだ!」
「布?ザナだとそんなに高価なの?」
「うん!あっちは、こっちの動植物と違って暴れたり、人に危害加える魔物ばっかだからね」
「そっか・・・」
ザナでは、魔物から良い素材・食材が手に入ることが多いらしい。その為、素材集めはいつも命懸けになることが多い模様。
「そういえば、リオに来た時に最初に驚いたのは安価で手に入る食材とかだったね!ザナもこんなだったらって何度思ったことやら・・・」
魔物という存在から分かる通り、リオと比べて過酷な環境だ。超弱肉強食世界と呼ばれ、法律も、リオと繋がりを持つまではただ存在するだけという酷い有様だったという。
今でもそんな名残が残っており、魔物も現在進行形で強くなっているのだとか。
そんな世界が嫌なのだろう。リオに移住を希望する者が多数存在する。しかし、移住には当然お金がかかる。貧しい者には到底支払えない額のお金がかかってしまう。
だから、不法入国が起きてしまうのだ。
そんな背景を知っているから、追い返す時は辛い。胸が苦しい。だが、そんな不法入国者達を取り締まるのも俺達門番の仕事だ。心を鬼にして追い返さなければならない。
「ヒスイは優しいね。仕事を邪魔してるのに、イライラしてるのに心の中では許してるんだ」
「いや、多分だけど自己投影してるだけだと思う。優しいとか正義感とかはないよ」
これを正義と優しさとか言ったら、正義と優しさからしたらとんでもない風評被害だと思う。
「優しさだと僕は思うけどな~・・・まあ、良いや。それじゃあ、また明日ね」
「おう、また明日」
疲れもある上、食事をとっていない為、足早にその場を去る。会話は楽しかったが、視界が霞み、歪んでいた。あと少し話し続けていたら倒れていたかもしれないな。
シャープと別れ、互いに正反対の場所に位置する自分の自宅に向かって歩き出す。その際、髪が少し揺れるぐらいの風が木屑の匂いと一緒に横切った。
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