異世界と繋がる不思議な門を警備する仕事に就きしました!

町島航太

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1章 就職!異世界の門日本支部!

17話 1度起きれば、何度も起きる

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 ブラッドべアを用いた不法入国未遂事件が起きてからというもの、それを皮切りに不法入国を試みる者が増え始めた。

 ある者は小さくなって正式に入国しようとしている者の荷物の中に紛れ込み、ある者は別の者になりすまし、ある者は侵入してきた魔物の胃袋に入り込むなど、半ば命を投げ捨てるような方法で入国を試みる者も多数現れた。

 その都度、ザナ側の門番に連絡を取って送り返さなければならないし、協力又は知らずに加担してしまっていた人達の取り調べもしなければならないので、いい加減やめて欲しい。

 主任もザナ側と協力して、不法入国者を減らす為に警戒や見せしめの意味合いが強い逮捕者等も出しているようなのだが、1週間経った現在でも落ち着く様子はなし。

 入国審査に実質的に不法入国者探しという新しい項目が増えてしまった為、効率も著しく悪くなってしまった。モネさんは、効率の悪化で機嫌が悪くなり、逆に笑顔になる始末。

 特にストレスに強いわけではない俺も苛立ちが募るばかり。俺とモネさんがイラつく中、終始笑顔で仕事するのは主任とシャープだけだった。

 俺らよりかはトラブルに慣れている主任が慣れているのは分かる。しかし、俺らと同じ新人であるシャープがストレスを感じさせない自然な笑みを浮かべているのは不思議で仕方なかった。なので、理由を本人に聞いてみたが。

「アハハ、僕の村ではこれほどじゃないけど、小さなトラブルが結構な頻度で起きてたからね。皆よりちょっと慣れてるんだ」

 とのこと。俺も早く慣れないとなと思いながら入国審査を行っていると───

「では、持ち物の中身を全て出して下さい」

「ハイ、これで大丈夫ですか?」

 広げたバッグの中身には不法入国者どころか、持ち込み禁止の物すらない。あるのは、生活必需品とお金だけ。模範的な旅行客と言えるだろう。

「では、ポケット中身も見せて下さい」

「ええ!?な、何でそこまで・・・」

「バッグの中身検査ではなく、ですので」

 強めの口調で言うと、旅行客は観念したのか、ポケットをひっくり返して俺の前にポケットの中身を出して見せた。ポケットの中には、謎の植物の種と、小人もとい魔術で小さくなった男性が入っていた。

「・・・・・・」

「・・・許して♡」

「同情で法律は無くなりません」

 その後、旅行客はザナに送り返された後、違法薬物所持罪で逮捕されたらしい。謎の植物の種はドラッグの原材料であり、旅行客とそのポケットの中に入っていた男性はドラッグの密輸者だったようだ。
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