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1章 就職!異世界の門日本支部!
20話 同情故の裏切り
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これは同情だ。優しさではなく、エゴに従った自己満足の最低行為だ。
もし、何かが違かったら自分もああなっていたかもしれない。ならば、助けてあげたい。
自分と同等の生活までとは行かなくても、今よりかはマシな生活を送らせてあげたいという思いから犯してしまった過ちだ。
僕の村の土地は、僕が15歳の時に干からびた。唯一の栄養源と言っても過言ではない芋が全く取れなくなった。
村の男達は外に仕事を求めた。炭鉱夫、運搬業、傭兵と言った死の危険がある仕事だ。そんな大人達を見ていたからか、僕も役に立ちたいと思い、門番になる事を決意した。
そんな時、とある商人達と出会った。その中にはリオ人がいた。彼に門番になりたいと打ち解けると、リオ側の門番になれるようにリオの言葉の1つであるニホンゴを教えてもらった。
ニホンゴはとても難しかった。文構成が全く異なる為、苦戦したが、門番になるという思いが支えてくれてニホンゴで冗談を言えるくらいには上達した。
商人達は僕の村が気に入ったのか、定期的にやってきた。そして、やってくる都度僕にお願いしてきた。
「もし、リオ側の門番になれたなら、俺達の活動を手伝っちゃくれねぇか?」
僕は快諾した。仲も良かったし、言語を教えてもらった恩もある。必ず手伝うと約束した・・・活動内容を聞かずに。
そして、僕は門番の試験に合格した。150倍という倍率から見事選出された。選ばれたと同時に、彼らの活動内容を聞かされた。
彼らは貧しい者達を違法に入国させる活動を行っていたのだ。勿論、そんな事してるだなんて知らなかったし、知る由も無かった。
最初は断ろうとした。だけど、違法入国を望む貧しい人達を見た瞬間、助けてあげたいと思ってしまった。思った次の瞬間には、彼らの手を握り、活動に参加する事になってしまった。
けれども、商人達の違法入国させる活動はまだ始まったばかりで、固定された方法がまだ無く、既に何度も行われているが、全て失敗に終わっていた。
僕が門番になってリオ側からバレずに手伝っても、失敗し続けた。
何度も何度も何度も失敗し続けた。でも、諦めずに実行し続けた。そして、その結果25人の違法入国に成功した。
夜勤組との交代時間という1番警戒が緩む時間を利用して、一気に25人もの入国に成功した。
飛び跳ねたくなるほど、成功に喜んだが、問題はここから。どうやって異門町から抜け出させるかだ。
その先を考えていなかった。門前は門番が守っているが、町は警察が守っている。しかも、少人数の門番とは違い、大人数でだ。
透明マントで隠れてはいるものの、不自然さが100%消えたわけではない。途中にすれ違ったヒスイにバレなかったのはほぼ奇跡だろう。
考えに考えたが、良い案が思い浮かばない。このまま外で考えていても、警察に不審者扱いされるだけなので、僕の部屋に連れて行く事に決め、ヒスイと別れてすぐに家へと向かった。
家と言っても何十人もの人が住むマンションな上、借りている部屋は8階にあったので、住民にばれないようにゆっくりと自分の部屋へとたどり着き、難民を中に入れ、一旦落ち着く事にした。
「どうしようか・・・」
部屋に入った所でなるべく小さな声で点呼をとったが、人員に欠けはなし。しっかりと25人部屋にいる。
ひと段落ついたと思ったのだろか、大きなため息が出ると同時に、罪悪感が生まれる。
この行動は難民にとっては救いなのだろう。しかし、門番の仲間から見たら明らかな裏切り行為だ。
あんなに優しくしてくれた主任やヒスイ、モネの事を脳裏に浮かべると胸が苦しくなる。
何とか落ち着かせようと水道の水を飲み、ほっと胸を撫で、作戦を考えようときたその時、インターホンが鳴った。
「な、なんでこの時間に・・・?」
この時間に配達はお願いしていないはず。なのに何故インターホンが鳴る?
隣人だろうか?やはり、25人で一気に行動は無理があったのだろうか。
難民に透明マントを被るように指示し、ドアスコープから外を覗く。
丸い小さな覗き窓から見えるのは、見覚えのある顔だった。
「悪い、シャープ。ちょっと話良いか?」
そこに立っていたのは、先程道で別れたばかりの友人、モリモトヒスイだった。
手を後ろに組んでいる彼の表情は、少し悲しそうで、今にも泣きそうなくらい緑色の美しい目が潤っていた。
もし、何かが違かったら自分もああなっていたかもしれない。ならば、助けてあげたい。
自分と同等の生活までとは行かなくても、今よりかはマシな生活を送らせてあげたいという思いから犯してしまった過ちだ。
僕の村の土地は、僕が15歳の時に干からびた。唯一の栄養源と言っても過言ではない芋が全く取れなくなった。
村の男達は外に仕事を求めた。炭鉱夫、運搬業、傭兵と言った死の危険がある仕事だ。そんな大人達を見ていたからか、僕も役に立ちたいと思い、門番になる事を決意した。
そんな時、とある商人達と出会った。その中にはリオ人がいた。彼に門番になりたいと打ち解けると、リオ側の門番になれるようにリオの言葉の1つであるニホンゴを教えてもらった。
ニホンゴはとても難しかった。文構成が全く異なる為、苦戦したが、門番になるという思いが支えてくれてニホンゴで冗談を言えるくらいには上達した。
商人達は僕の村が気に入ったのか、定期的にやってきた。そして、やってくる都度僕にお願いしてきた。
「もし、リオ側の門番になれたなら、俺達の活動を手伝っちゃくれねぇか?」
僕は快諾した。仲も良かったし、言語を教えてもらった恩もある。必ず手伝うと約束した・・・活動内容を聞かずに。
そして、僕は門番の試験に合格した。150倍という倍率から見事選出された。選ばれたと同時に、彼らの活動内容を聞かされた。
彼らは貧しい者達を違法に入国させる活動を行っていたのだ。勿論、そんな事してるだなんて知らなかったし、知る由も無かった。
最初は断ろうとした。だけど、違法入国を望む貧しい人達を見た瞬間、助けてあげたいと思ってしまった。思った次の瞬間には、彼らの手を握り、活動に参加する事になってしまった。
けれども、商人達の違法入国させる活動はまだ始まったばかりで、固定された方法がまだ無く、既に何度も行われているが、全て失敗に終わっていた。
僕が門番になってリオ側からバレずに手伝っても、失敗し続けた。
何度も何度も何度も失敗し続けた。でも、諦めずに実行し続けた。そして、その結果25人の違法入国に成功した。
夜勤組との交代時間という1番警戒が緩む時間を利用して、一気に25人もの入国に成功した。
飛び跳ねたくなるほど、成功に喜んだが、問題はここから。どうやって異門町から抜け出させるかだ。
その先を考えていなかった。門前は門番が守っているが、町は警察が守っている。しかも、少人数の門番とは違い、大人数でだ。
透明マントで隠れてはいるものの、不自然さが100%消えたわけではない。途中にすれ違ったヒスイにバレなかったのはほぼ奇跡だろう。
考えに考えたが、良い案が思い浮かばない。このまま外で考えていても、警察に不審者扱いされるだけなので、僕の部屋に連れて行く事に決め、ヒスイと別れてすぐに家へと向かった。
家と言っても何十人もの人が住むマンションな上、借りている部屋は8階にあったので、住民にばれないようにゆっくりと自分の部屋へとたどり着き、難民を中に入れ、一旦落ち着く事にした。
「どうしようか・・・」
部屋に入った所でなるべく小さな声で点呼をとったが、人員に欠けはなし。しっかりと25人部屋にいる。
ひと段落ついたと思ったのだろか、大きなため息が出ると同時に、罪悪感が生まれる。
この行動は難民にとっては救いなのだろう。しかし、門番の仲間から見たら明らかな裏切り行為だ。
あんなに優しくしてくれた主任やヒスイ、モネの事を脳裏に浮かべると胸が苦しくなる。
何とか落ち着かせようと水道の水を飲み、ほっと胸を撫で、作戦を考えようときたその時、インターホンが鳴った。
「な、なんでこの時間に・・・?」
この時間に配達はお願いしていないはず。なのに何故インターホンが鳴る?
隣人だろうか?やはり、25人で一気に行動は無理があったのだろうか。
難民に透明マントを被るように指示し、ドアスコープから外を覗く。
丸い小さな覗き窓から見えるのは、見覚えのある顔だった。
「悪い、シャープ。ちょっと話良いか?」
そこに立っていたのは、先程道で別れたばかりの友人、モリモトヒスイだった。
手を後ろに組んでいる彼の表情は、少し悲しそうで、今にも泣きそうなくらい緑色の美しい目が潤っていた。
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