異世界と繋がる不思議な門を警備する仕事に就きしました!

町島航太

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1章 就職!異世界の門日本支部!

21話 対立

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「ど、どうしたの?こんな夜中に?何かあった?」

「ああ、ちょっとね・・・悪いんだけど、中に入れてもらえないかな?」

 難民25人は一応透明マントで姿を隠しているが、気配が消えるわけでもなければ、物理的に消えるわけではない。密集状態の場合、すぐにバレてしまう。

 しかし、ここで中に入れなければ怪しまれるだけだ。それ以前にどうしてヒスイはここに来たんだ?もしかして、バレていたのか?

「ちょっと部屋が散らかってるから、玄関前なら良いよ」

「・・・うん、ありがとう」

 ヒスイの目的は部屋に入る事ではなく、あくまでも話をする事らしい。僕は胸を撫で下ろし、扉を開けた。

「それで?なんの用かな?電話じゃなくて、直接会いに来るぐらいなんだから、かなり重要な事なんでしょう?」

「そうなんだよ。今、主任から電話がかかってきてね。どうやら、俺達の勤務時間中に違法に入国した者がいるらしいんだ」

 案の定、主任にはバレてしまったようだ。色々な面で有能な彼の事だから、些細な違和感で気づいたのだろう。

 それは大した問題ではない。いずれバレていたのだろうから。問題は、その連絡が僕の方には来ていない事だ。

「だとしたら、大変だけど・・・僕の方には連絡が来てないよ?」

「そりゃそうだ。俺にしか連絡してないらしいからな。1人で秘密裏に済ませてほしいらしいんだ」

 良かった、バレた訳では無さそうだ・・・ん?なら何故僕のところに来た?

「だとしたらその事を僕に教えちゃまずいんじゃないのかな?1人でやれって言われてんでしょ?」

「うん。でも、俺だけじゃ無理だ。難民は合計で25人。そんな数、俺には到底捕まえきれない」

「それで僕に手伝いを要請しにきたの?」

「そんな所だ。頼めるか?」

「・・・分かった!この前のB急グルメの恩もあるしね!勿論手伝うよ!待ってて、今剣持ってくるから!」

 剣は居間に置いてある。取りに行くと同時に難民に待機しているように頼もう。

 体を180度回転させて、居間へと向かう。しかし、それをヒスイが阻止してきた。

「何故、武器を持ってくる必要があるんだい?」

「え?だって、そりゃあ、難民の中には危険な奴や、戦闘技術を持った奴だっているだろうし、最低限の武装はしていった方が良いだろう?」

「そんな必要はないさ」

 何を言っているんだ?ヒスイは?

「君がこの部屋で匿っている難民をこちらに渡してくれれば済む話だろう?」

 この発言が耳に入った瞬間、背筋が凍った感覚に襲われる。脳みそが危険と察知したのだろう。体は指示もしていないのに、ヒスイの手を振り払い、居間へと走り出していた。



 シャープと別れてから数分後、家の前に着いた時に、主任から電話がかかってきた。こんな夜更けにどうしたのだろう?と思いながらも、重要な任務の可能性があった為、すぐに出た。

 結論から言うと、とても重要な話だった。難民の不法入国を許してしまったという。夜勤の門番の人達は持ち場を離れることができない為、俺に連絡が行ったという。

 だが、見つけようにも場所がわからない。その旨を話すと、主任は低い声で言ってきた。

「シャープだ、シャープの家に行け。そこに残りの24人がいる」

 意味が分からなかった。何で彼の家にいる?不法入国者を許してはいけない職に就く彼の家に何故不法入国者がいる?

 そもそも、何故侵入を許してしまった?俺達と夜勤組の人達が入れ替わるタイミングで侵入したと主任は言っている。確かにその時間は1番警戒が薄くなっている時間だ。しかし、警戒を怠ってはいない。あの時、確かにシャープが監視を──────

「あ────」

 点と点が繋がった。信じたくはない。たった1ヶ月しか共に仕事をしていないが、冗談が言い合える友を疑いたくはない。しかし、彼が誘導していた場合、難民は簡単に不法入国ができるのでは?という考えがよぎってしまう。

 シャープはとても優しい男だ。とっくの昔に枯れ果てた門付近の草木を見て悲しむ程に慈悲深い男だ。彼はきっと、同情してしまったのだろう。自分と似た境遇にいる難民達に。

 手を差し伸べたいと思ってしまったのだろう。俺だって、門番という立場でなければそうしてしまうかもしれない。

 だが!俺は門番だ。難民に救いの手を述べる者ではなく、リオに住む者の平穏を守る門番だ。

 主任の話が本当だった場合、俺は彼の蛮行を止めなければならない。

 決意を固めた俺は、唾を一度飲み、主任に返答した。

「分かりました・・・すぐに向かいます」

「オレも警察を要請してからすぐに向かう。それまで持ち堪えてくれ。友人と対立するのは精神的に辛いと思う。けど、平和的解決をするには、友人である翡翠の力が必要だ・・・頼む」

「はい、勿論です。俺もそれを望んでいますので」
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