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2章 亡命者は魔王の娘!?
16話 楽しいお買い物
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モネさんの拳で起きた俺は、外出の服装に着替えると、刀袋に愛刀を入れてリリックと家を出た。
向かうのは門ではなく、最寄りの駅。異門町で唯一一度も魔物に破壊された事がない場所である。
町の中心にある駅に電車がやってくるのは一日に2本だけ。あまりにも暇すぎる結果、駅は2オペで回している。
使用するのは門番になる為にこの町に来た時以来。半年以上前だ。
「それじゃあ、出かけようか!」
貸し与えたサンダルを履くと同時にフードも被る。
「リリック、別にフード被らなくても大丈夫だぞ。一応リオにも魔族はいるらしいから」
「そうなの!?知らなかった!」
俺も知らなかった。今朝、主任から連絡があって初めて知った。リオには現在合計で10人の魔族が存在しており、うち2人は日本にいるらしい。
なので、リリックが魔族だとばれても大パニックにはならない。精々が写真を撮られてインターネットにアップされるだけだろう。
「逆にフードを被ってたら怪しまれるから今日は必要な時以外被らないで」
「うん、分かった」
必要な時とは、敵が襲ってきた時の事である。リリックは理解しているようだ。
「それじゃあ、行こうか」
アパートを出て、数分。魔族としての姿を晒してリリックは歩いたが、見られるだけで何もされなかった。
異門町の人達はザナ人に慣れているのもあるだろうが、俺と一緒に歩いているから何も言ってこないのだろう。
「あら、おはよう。門番さん。今日はお出かけ?」
「ええ。この娘の生活必需品を買いに行くんです」
「そうなの。楽しんでいってらっしゃい」
現在、門番は休みは無いが、魔物から町を人を守る職業から多くの人から認知され、慕われる。今、話しかけてきた主婦の方も会話したのは今回のも含めて3回しかない。
そんな俺が、見慣れない種族を連れていても何か事情があるのだろうなと誰もリリックの詳細は求めて来ない。精々が名前を聞かれる程度だ。
モネさんとシャープが頑張っているのか、単に魔物が出ていないのか、スムーズに道を歩き、駅に到着する事が出来た。
何処か昭和特有のレトロな雰囲気を醸し出す古臭い駅だが、リリックにとっては謎の建物。スーパーの時とまではいかないが、目を輝かせている。
「ヒスイ!なにこの建物は?」
「電車の駅だね。電車っていう電気の力で走る馬車に乗れる場所。俺達だけの乗り物じゃないし、他にも人がいるからあまり騒がないでね」
「電気で走る馬車!?一体どんな姿形をしているのかしら!」
俺は交通系のICカードを持っているが、リリックは当然ながら所持していない。電車が来る10分前に到着したので、さっさと切符を購入してしまう。
改札を若干怖がるリリックに通り方を教えて、駅へと入らせると、電車がやってきた。
馬もいないのに、大地を走る電動の馬車にリリックは大興奮。思わず叫びそうになる彼女の口を塞ぎながら乗車した。
「ごめんなさいヒスイ。つい興奮しちゃって・・・」
「いや、大丈夫。それよりも切符無くさないでね?下りるの面倒になっちゃうから」
今から向かうのは、大都会東京の渋谷!新宿!・・・ではなく、5つ先の駅にある何の変哲もない町。異門町とあまり変わらない町へ向かう。
町の外見は異世界への門が無い異門町そのもの。ただ、魔物がいない為、大型ショッピングモールが建っているのが異門町との違い。
異門町は、魔物が現れる異世界への門がある影響で娯楽施設が皆無。スーパーマーケットやコンビニなどの生活に最低限必要な施設しかなく、ユ○クロやGなUなどの衣服店は無い。
その為、服が欲しい場合は町を出なければならないのだ。主任が半日の休みではなく、1日の休みを与えたのもそれが理由と思われる。
15分の乗車の末、到着した目的の町。異門町と雰囲気は全く変わらない為、リリックのリアクションは無し。ほとぼりが冷めたら大都会東京にでも連れて行ってあげよう。
いや、ほとぼりが冷めたらザナの自分の国に帰るからそれは無理か。
「ねぇねぇ!もしかしてあのデッカイ建物に行くの!?」
町の中心にショッピングモールはあるので、すぐに見つけたようだ。彼女の質問に首を縦に振って答え、早速向かう。
俺がこの町を選んだのにはしっかりと理由がある。異門町よりかは遥かに多いとはいえ、人口が控えめだからだ。
魔族がリオにいるのがおかしい事ではないとは言え、亡命中のリリックの姿を堂々と大勢の前で晒すのは、良くも悪くも話題になるのでよろしくない。
なので、異門町から電車に乗り、5つ先の駅にあるこの町『影野町』へとやって来たのだ。
「早く!ハヤク行こうよ!お店閉まっちゃうよ~~?」
「閉まらないよ。まだ午前11時だよ」
「良いから!早く行こう!!」
リオの日本に来たのに渋谷に行かせる事が出来ないのは非常に残念だが、リリックは大層喜んでいるので良しよしよう。
「すっごぉぉぉぉぉぉい!鉄の塊がいっぱい動いてるぅぅぅぅ!ねぇねぇヒスイ!これは一体どういう事なの!?」
大量の車で興奮している段階なので、渋谷などの大都会に行かせず、田舎のショッピングモールへ連れて行ってリオに慣れさせるのは正解だったかもしれない。
「それはね自動車と言って・・・ちょっと待ってリリック!危ないから!」
何にでも興味を示してしまう童心に、振り回されているし、ね?
向かうのは門ではなく、最寄りの駅。異門町で唯一一度も魔物に破壊された事がない場所である。
町の中心にある駅に電車がやってくるのは一日に2本だけ。あまりにも暇すぎる結果、駅は2オペで回している。
使用するのは門番になる為にこの町に来た時以来。半年以上前だ。
「それじゃあ、出かけようか!」
貸し与えたサンダルを履くと同時にフードも被る。
「リリック、別にフード被らなくても大丈夫だぞ。一応リオにも魔族はいるらしいから」
「そうなの!?知らなかった!」
俺も知らなかった。今朝、主任から連絡があって初めて知った。リオには現在合計で10人の魔族が存在しており、うち2人は日本にいるらしい。
なので、リリックが魔族だとばれても大パニックにはならない。精々が写真を撮られてインターネットにアップされるだけだろう。
「逆にフードを被ってたら怪しまれるから今日は必要な時以外被らないで」
「うん、分かった」
必要な時とは、敵が襲ってきた時の事である。リリックは理解しているようだ。
「それじゃあ、行こうか」
アパートを出て、数分。魔族としての姿を晒してリリックは歩いたが、見られるだけで何もされなかった。
異門町の人達はザナ人に慣れているのもあるだろうが、俺と一緒に歩いているから何も言ってこないのだろう。
「あら、おはよう。門番さん。今日はお出かけ?」
「ええ。この娘の生活必需品を買いに行くんです」
「そうなの。楽しんでいってらっしゃい」
現在、門番は休みは無いが、魔物から町を人を守る職業から多くの人から認知され、慕われる。今、話しかけてきた主婦の方も会話したのは今回のも含めて3回しかない。
そんな俺が、見慣れない種族を連れていても何か事情があるのだろうなと誰もリリックの詳細は求めて来ない。精々が名前を聞かれる程度だ。
モネさんとシャープが頑張っているのか、単に魔物が出ていないのか、スムーズに道を歩き、駅に到着する事が出来た。
何処か昭和特有のレトロな雰囲気を醸し出す古臭い駅だが、リリックにとっては謎の建物。スーパーの時とまではいかないが、目を輝かせている。
「ヒスイ!なにこの建物は?」
「電車の駅だね。電車っていう電気の力で走る馬車に乗れる場所。俺達だけの乗り物じゃないし、他にも人がいるからあまり騒がないでね」
「電気で走る馬車!?一体どんな姿形をしているのかしら!」
俺は交通系のICカードを持っているが、リリックは当然ながら所持していない。電車が来る10分前に到着したので、さっさと切符を購入してしまう。
改札を若干怖がるリリックに通り方を教えて、駅へと入らせると、電車がやってきた。
馬もいないのに、大地を走る電動の馬車にリリックは大興奮。思わず叫びそうになる彼女の口を塞ぎながら乗車した。
「ごめんなさいヒスイ。つい興奮しちゃって・・・」
「いや、大丈夫。それよりも切符無くさないでね?下りるの面倒になっちゃうから」
今から向かうのは、大都会東京の渋谷!新宿!・・・ではなく、5つ先の駅にある何の変哲もない町。異門町とあまり変わらない町へ向かう。
町の外見は異世界への門が無い異門町そのもの。ただ、魔物がいない為、大型ショッピングモールが建っているのが異門町との違い。
異門町は、魔物が現れる異世界への門がある影響で娯楽施設が皆無。スーパーマーケットやコンビニなどの生活に最低限必要な施設しかなく、ユ○クロやGなUなどの衣服店は無い。
その為、服が欲しい場合は町を出なければならないのだ。主任が半日の休みではなく、1日の休みを与えたのもそれが理由と思われる。
15分の乗車の末、到着した目的の町。異門町と雰囲気は全く変わらない為、リリックのリアクションは無し。ほとぼりが冷めたら大都会東京にでも連れて行ってあげよう。
いや、ほとぼりが冷めたらザナの自分の国に帰るからそれは無理か。
「ねぇねぇ!もしかしてあのデッカイ建物に行くの!?」
町の中心にショッピングモールはあるので、すぐに見つけたようだ。彼女の質問に首を縦に振って答え、早速向かう。
俺がこの町を選んだのにはしっかりと理由がある。異門町よりかは遥かに多いとはいえ、人口が控えめだからだ。
魔族がリオにいるのがおかしい事ではないとは言え、亡命中のリリックの姿を堂々と大勢の前で晒すのは、良くも悪くも話題になるのでよろしくない。
なので、異門町から電車に乗り、5つ先の駅にあるこの町『影野町』へとやって来たのだ。
「早く!ハヤク行こうよ!お店閉まっちゃうよ~~?」
「閉まらないよ。まだ午前11時だよ」
「良いから!早く行こう!!」
リオの日本に来たのに渋谷に行かせる事が出来ないのは非常に残念だが、リリックは大層喜んでいるので良しよしよう。
「すっごぉぉぉぉぉぉい!鉄の塊がいっぱい動いてるぅぅぅぅ!ねぇねぇヒスイ!これは一体どういう事なの!?」
大量の車で興奮している段階なので、渋谷などの大都会に行かせず、田舎のショッピングモールへ連れて行ってリオに慣れさせるのは正解だったかもしれない。
「それはね自動車と言って・・・ちょっと待ってリリック!危ないから!」
何にでも興味を示してしまう童心に、振り回されているし、ね?
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