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3章 異世界旅行録
14話 ここで1つカミングアウト!
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「おお!偶然の一致!こりゃあ、探す手間が省けそうだ!!」
「ん?それは魔力探知機ですか?随分と小型ですね」
「試作品段階の最新型らしいですよ」
「成る程・・・それで誰を探しているんですか?」
「先輩門番。ザナに強力な魔物を倒しに行ってから1年も帰ってこないからついでに探してこいと主任に頼まれまして」
「あの若い強者にですか。確かにナチュレにいてもおかしくはないですね。ナチュレは別に鎖国していたわけではないのですから」
シャイ団長とコンパスに従って歩き出す。途中、巨大なムカデや、金色に輝く子供の姿をしたエレメントなどの魔物を見かけたが、どれもこちらを見てくるだけで何もしてはこなかった。
いや、何もする気力が無かったとでも言った方が良いだろうか。
無駄な体力を消費したくないこちらからしたらありがたいの一言だが、何だか不気味さを感じる。
俺達を油断させて、襲おうとしているのではないのか?と。
そんな不安も杞憂だったようで、歩き続けた結果、町が見えてきた。
町と言っても、先程のグレイシャのような石造の町ではなく、元からあった木をその形のまま人が住めるようにした家で構成された町。
規模で言うと、日本の田舎町ぐらいだろうか?国としては規模が小さいように見えるかもしれないが、樹の家は最小で4階建てとなっており、1階毎に1家族が住んでいる様子。
町の規模こそ少ないが、人口は東京の府中市ぐらいの人口はありそうな雰囲気。
この町こそが、俺達が目指していた国の城下町。ナチュレの城下町だ。
「どうです?美しい町でしょう」
自然の形を限界まで残した町作り。美しくないわけがない。
「ここで母さんが生まれたのか・・・」
「はい。あなたのお母様が生まれたのはあの町で5番目に大きい大木の家。あそこに住んでいるベテランの助産師が手伝ってくれたのです」
俺を気遣ってか、丁寧な説明をしてくれるシャイ団長。顔すら見た事ない母親だが、何だか感慨深いものが心の底から込み上げてくる。
「それと、ハーフドワーフ。ここの住民は皆戦いどころか喧嘩に慣れていない。決して問題は起こさないように」
今回1番問題を起こしそうなモネさんをあらかじめ釘を刺しておく。しかし、当の本人は既にリリの横におらず、エルフの酔っ払いと殴り合いの喧嘩をしていた。
「テメェ!今アタシの事何て言いやがったーー!」
「血の気が多すぎるだろぉぉぉ!!」
モネさんの喧嘩っ早さにはシャイ団長もキャラを忘れたかのように大声を上げて止めにかかる。
最終的にはリリがニーブラする形で静止する事に成功した。
喧嘩を止めてホッと息をついていると、商人らしき男性エルフが話しかけてくる。
「よお!シャイの旦那!お帰りなさい!!今日はキャルベスが安いよ!!」
「それは残念だ。今日は仕事があるので、失礼する」
「ありゃ、そりゃあ残念。仕事って言うのはそこの旅人の案内かい?・・・あれ?そこのアンタうちの国の王女様とちょっと似てるね。他人の空似だろうけど」
王女?母さんの事を言っているのだろうか?だとしたら、王女の前に『元』がつくはずだが。
「それもそうだろう。この方はニルヴァーナ様のご子息なのだから」
「え・・・」
突然放たれた衝撃の事実に野菜売りのエルフは硬直。彼らからしたら行方不明になった王女の知られていない息子なのだから、当然の反応といえる。
「公的な発表は王族が国の象徴となる明日行う。是非、城前に来てほしい」
「あ、はい・・・」
放心状態の野菜売りに軽く会釈し、その場を立ち去った。
「俺の事、国の人達に伝えていなかったんですか?」
「はい。ヒスイ王子がナチュレの王族だと気づいたのはつい2週間前。しかも、まだ確定していなかったので、話しておらず、明日の式にて発表を行う事にしました」
「やっぱり、王族が権力を国民に与えるわけだから、結構格式ある感じになるんすか?」
「はい。ですが、ご安心を。ヒスイ王子には王族であるという証明と、権力返上の許可書へのサインをしてもらうだけですので。服もこちらで用意するのでご安心を」
用意してきた服にスーツはなかったので、それを聞いて安心した。
「・・ねぇ、ちょっと質問良いかナ?シャイさん」
「どうしたシャープ・フリップ。君達の正装もしっかりと用意してあるぞ。勿論ハーフドワーフの分も」
「それでダサいのだったら、ただじゃおかないからね」
モネさんの言葉に不適に笑うシャイ団長。国の今後が決まる式でドワーフを馬鹿にするような事をしたら、国際問題になりかねないので、恐らくはしないだろう。
「違う違う!そこじゃなくて、今のエルフのお兄さんが、ヒスイが王女に似てるって言ってたけど、その王女ってヒスイのお母さんの事ではないよね?」
俺が気になっていた事を聞いてくれるシャープ。やはり、彼も気になっていたようだ。
「そういえば、言ってなかったな。実はだな、ロット2世には娘がいるんだ」
「えっ!?娘!?あのクソ野郎に?ていう事はヒスイの────」
「従姉になります。実年齢は遥かにかけ離れていますが」
ここで、ついでに程度で教えられた新情報。娘がいるなら、何故俺が呼ばれたのだろうか?それは後で本人に聞く事にしよう。ロット2世の娘本人に・・・。
「ん?それは魔力探知機ですか?随分と小型ですね」
「試作品段階の最新型らしいですよ」
「成る程・・・それで誰を探しているんですか?」
「先輩門番。ザナに強力な魔物を倒しに行ってから1年も帰ってこないからついでに探してこいと主任に頼まれまして」
「あの若い強者にですか。確かにナチュレにいてもおかしくはないですね。ナチュレは別に鎖国していたわけではないのですから」
シャイ団長とコンパスに従って歩き出す。途中、巨大なムカデや、金色に輝く子供の姿をしたエレメントなどの魔物を見かけたが、どれもこちらを見てくるだけで何もしてはこなかった。
いや、何もする気力が無かったとでも言った方が良いだろうか。
無駄な体力を消費したくないこちらからしたらありがたいの一言だが、何だか不気味さを感じる。
俺達を油断させて、襲おうとしているのではないのか?と。
そんな不安も杞憂だったようで、歩き続けた結果、町が見えてきた。
町と言っても、先程のグレイシャのような石造の町ではなく、元からあった木をその形のまま人が住めるようにした家で構成された町。
規模で言うと、日本の田舎町ぐらいだろうか?国としては規模が小さいように見えるかもしれないが、樹の家は最小で4階建てとなっており、1階毎に1家族が住んでいる様子。
町の規模こそ少ないが、人口は東京の府中市ぐらいの人口はありそうな雰囲気。
この町こそが、俺達が目指していた国の城下町。ナチュレの城下町だ。
「どうです?美しい町でしょう」
自然の形を限界まで残した町作り。美しくないわけがない。
「ここで母さんが生まれたのか・・・」
「はい。あなたのお母様が生まれたのはあの町で5番目に大きい大木の家。あそこに住んでいるベテランの助産師が手伝ってくれたのです」
俺を気遣ってか、丁寧な説明をしてくれるシャイ団長。顔すら見た事ない母親だが、何だか感慨深いものが心の底から込み上げてくる。
「それと、ハーフドワーフ。ここの住民は皆戦いどころか喧嘩に慣れていない。決して問題は起こさないように」
今回1番問題を起こしそうなモネさんをあらかじめ釘を刺しておく。しかし、当の本人は既にリリの横におらず、エルフの酔っ払いと殴り合いの喧嘩をしていた。
「テメェ!今アタシの事何て言いやがったーー!」
「血の気が多すぎるだろぉぉぉ!!」
モネさんの喧嘩っ早さにはシャイ団長もキャラを忘れたかのように大声を上げて止めにかかる。
最終的にはリリがニーブラする形で静止する事に成功した。
喧嘩を止めてホッと息をついていると、商人らしき男性エルフが話しかけてくる。
「よお!シャイの旦那!お帰りなさい!!今日はキャルベスが安いよ!!」
「それは残念だ。今日は仕事があるので、失礼する」
「ありゃ、そりゃあ残念。仕事って言うのはそこの旅人の案内かい?・・・あれ?そこのアンタうちの国の王女様とちょっと似てるね。他人の空似だろうけど」
王女?母さんの事を言っているのだろうか?だとしたら、王女の前に『元』がつくはずだが。
「それもそうだろう。この方はニルヴァーナ様のご子息なのだから」
「え・・・」
突然放たれた衝撃の事実に野菜売りのエルフは硬直。彼らからしたら行方不明になった王女の知られていない息子なのだから、当然の反応といえる。
「公的な発表は王族が国の象徴となる明日行う。是非、城前に来てほしい」
「あ、はい・・・」
放心状態の野菜売りに軽く会釈し、その場を立ち去った。
「俺の事、国の人達に伝えていなかったんですか?」
「はい。ヒスイ王子がナチュレの王族だと気づいたのはつい2週間前。しかも、まだ確定していなかったので、話しておらず、明日の式にて発表を行う事にしました」
「やっぱり、王族が権力を国民に与えるわけだから、結構格式ある感じになるんすか?」
「はい。ですが、ご安心を。ヒスイ王子には王族であるという証明と、権力返上の許可書へのサインをしてもらうだけですので。服もこちらで用意するのでご安心を」
用意してきた服にスーツはなかったので、それを聞いて安心した。
「・・ねぇ、ちょっと質問良いかナ?シャイさん」
「どうしたシャープ・フリップ。君達の正装もしっかりと用意してあるぞ。勿論ハーフドワーフの分も」
「それでダサいのだったら、ただじゃおかないからね」
モネさんの言葉に不適に笑うシャイ団長。国の今後が決まる式でドワーフを馬鹿にするような事をしたら、国際問題になりかねないので、恐らくはしないだろう。
「違う違う!そこじゃなくて、今のエルフのお兄さんが、ヒスイが王女に似てるって言ってたけど、その王女ってヒスイのお母さんの事ではないよね?」
俺が気になっていた事を聞いてくれるシャープ。やはり、彼も気になっていたようだ。
「そういえば、言ってなかったな。実はだな、ロット2世には娘がいるんだ」
「えっ!?娘!?あのクソ野郎に?ていう事はヒスイの────」
「従姉になります。実年齢は遥かにかけ離れていますが」
ここで、ついでに程度で教えられた新情報。娘がいるなら、何故俺が呼ばれたのだろうか?それは後で本人に聞く事にしよう。ロット2世の娘本人に・・・。
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