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4章 最終防衛戦門
1話 一命取り留め、また命の危機
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「ダイモンジさん・・・」
「彼はきっと死に場所は探していたのでしょう。味方と共に使命を果たせず、死ぬことすらできず。ずっと苦しんでいたんだと思います。ですから、これは正しい事なのだと信じましょう」
翡翠の体は完全に修復されていた。ボロボロになった内臓は正常な動きをはじめ、内臓を守る胴体や、肉体を支える四肢は、傷1つもない綺麗な状態だ。
一方、全てを翡翠に捧げた大門寺は、ミイラのように干からびており、既に心臓の音も胸から聴こえてこない。完全に死を迎えていた。
死んでしまったが、遺体は何処か満足気に笑っていた。最後に役に立てて嬉しかったのだろう。対して、翡翠はというと────
「はぁ!!はっ!はぁっ!!はっっ!!」
意識が戻っていない中、過呼吸を始めてしまった。肺に酸素を求めるような過呼吸に皆が焦り、彼の呼吸と整えようと試みた。しかし、過呼吸が一向に終わらず、5分が経過。ここでようやく、原因が分かる。
「もしかして毒と呪いがヒスイの体を蝕んでいるのカモ・・・」
「ですが、ヒスイ様はナチュレの宝剣をしっかりと握っています!それ以外の理由があるはずです!!」
ナチュレの宝剣は、害あるモノから持ち主を守る。そういう認識でいた、シュエリはシャープの考えを否定する。
「恐らく、許容範囲を超えたのだろうよ。魔術は便利だが、万能ではない。呪いと毒の元に飛び込んだら誰だってこうなるだろうよ」
激しい口調で否定するシュエリをいさめるように老人は、彼女の肩に手を置き、冷静さを取り戻すように促した。
老人が・・・ん?老人?何でこんな所に老人がいるんだ?魔術師隊の隊員ではないし、そもそもエルフではない。ていうか、見覚えもない。自然と受け入れたが、このちょっといい匂いがする紳士服の老人はダレなの!?
「おじいさん、ダレ?早く答えないと、殺すよ?」
突然現れた怪しい老人。警戒しないわけがなかった。シャープは立ち上がり、ハルバードの穂先を老人に向ける。骨が飛び出る複雑骨折をした右足でしっかりと立って。
あまりにも自然過ぎてシャープは気づいていなかった。気づいたのは、モネに指摘された時である。
「なんだアンタ歩けてるの!?」
「ええ!?ほんとだ!!って、モネも腕が元に戻ってる!」
「あ、ホントだ。いつの間に?リリ、アンタが治したの?」
「ううん。わたしの魔力空っぽ。何かしたくても何もできないよ」
「私も残っていません・・・まさか、ご老人。貴方様が?」
二コリと優しく笑う老人。ありがたいんだけど、いつの間に直したんだろう。治癒魔術で治したんだろうけど、全く痛みが無かっただけでなく、治された事にも気づかないとは。
この人、戦場に紳士服とかいう場違いな恰好してるけど、凄い魔術の才能持ちだ。
ザナが抱える病のような魔物<災害>を倒したタイミングで現れた謎の老人。まさかだと思うがこの人は────
「もしかして、賢者の人ですか?」
「そうだよ。良く分かったね。ご褒美にこれをやろう」
そういって、紳士服のポケットから取り出したのは、謎の小袋。僕の手の平に置くと、未だ過呼吸を止めない翡翠の方を向いた。
中身が気になったけど、開けなくても、少し悪臭がしたので、やめておいた。しばらく悪臭を嗅ぐのは勘弁だ。
「彼はきっと死に場所は探していたのでしょう。味方と共に使命を果たせず、死ぬことすらできず。ずっと苦しんでいたんだと思います。ですから、これは正しい事なのだと信じましょう」
翡翠の体は完全に修復されていた。ボロボロになった内臓は正常な動きをはじめ、内臓を守る胴体や、肉体を支える四肢は、傷1つもない綺麗な状態だ。
一方、全てを翡翠に捧げた大門寺は、ミイラのように干からびており、既に心臓の音も胸から聴こえてこない。完全に死を迎えていた。
死んでしまったが、遺体は何処か満足気に笑っていた。最後に役に立てて嬉しかったのだろう。対して、翡翠はというと────
「はぁ!!はっ!はぁっ!!はっっ!!」
意識が戻っていない中、過呼吸を始めてしまった。肺に酸素を求めるような過呼吸に皆が焦り、彼の呼吸と整えようと試みた。しかし、過呼吸が一向に終わらず、5分が経過。ここでようやく、原因が分かる。
「もしかして毒と呪いがヒスイの体を蝕んでいるのカモ・・・」
「ですが、ヒスイ様はナチュレの宝剣をしっかりと握っています!それ以外の理由があるはずです!!」
ナチュレの宝剣は、害あるモノから持ち主を守る。そういう認識でいた、シュエリはシャープの考えを否定する。
「恐らく、許容範囲を超えたのだろうよ。魔術は便利だが、万能ではない。呪いと毒の元に飛び込んだら誰だってこうなるだろうよ」
激しい口調で否定するシュエリをいさめるように老人は、彼女の肩に手を置き、冷静さを取り戻すように促した。
老人が・・・ん?老人?何でこんな所に老人がいるんだ?魔術師隊の隊員ではないし、そもそもエルフではない。ていうか、見覚えもない。自然と受け入れたが、このちょっといい匂いがする紳士服の老人はダレなの!?
「おじいさん、ダレ?早く答えないと、殺すよ?」
突然現れた怪しい老人。警戒しないわけがなかった。シャープは立ち上がり、ハルバードの穂先を老人に向ける。骨が飛び出る複雑骨折をした右足でしっかりと立って。
あまりにも自然過ぎてシャープは気づいていなかった。気づいたのは、モネに指摘された時である。
「なんだアンタ歩けてるの!?」
「ええ!?ほんとだ!!って、モネも腕が元に戻ってる!」
「あ、ホントだ。いつの間に?リリ、アンタが治したの?」
「ううん。わたしの魔力空っぽ。何かしたくても何もできないよ」
「私も残っていません・・・まさか、ご老人。貴方様が?」
二コリと優しく笑う老人。ありがたいんだけど、いつの間に直したんだろう。治癒魔術で治したんだろうけど、全く痛みが無かっただけでなく、治された事にも気づかないとは。
この人、戦場に紳士服とかいう場違いな恰好してるけど、凄い魔術の才能持ちだ。
ザナが抱える病のような魔物<災害>を倒したタイミングで現れた謎の老人。まさかだと思うがこの人は────
「もしかして、賢者の人ですか?」
「そうだよ。良く分かったね。ご褒美にこれをやろう」
そういって、紳士服のポケットから取り出したのは、謎の小袋。僕の手の平に置くと、未だ過呼吸を止めない翡翠の方を向いた。
中身が気になったけど、開けなくても、少し悪臭がしたので、やめておいた。しばらく悪臭を嗅ぐのは勘弁だ。
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