139 / 191
4章 最終防衛戦門
14話 今日はもう寝よう
しおりを挟む
冷蔵庫に入っていた食材だけで作ったペペロンチーノだったが、パスタ麺を少し多めに茹でた事でそこそこ満腹。
疲れは先程よりも遥かにマシになっていたが、それでも睡眠を取らなくて良いというレベルではない。
食材を洗い場で洗う。その隙に、リリとシュエリを風呂に入れた。互いに2人で入る事には抵抗がなかったようで、すんなりと入ってくれた。
洗い物を終え、ナチュレの侍女から渡された薄緑のパジャマと、リリのお気に入りのパジャマを2人が取りやすい位置に置いておく。
数分後、少し髪を濡らした2人が浴室から出てきた。庶民の家は初めてなシュエリさんが困惑するか心配だったが、よろけるような表情から察するに満足したようだ。
「リオの一般家庭にはシャワーがあるんですね。進歩の違いを感じさせます」
ザナのシャワーは今の所、ごく一部の貴族や王族のみが使う事ができる貴重品。そんな認識の物が、ただのボロアパートにあったら、驚くのも納得だ。
「それじゃあ、俺入ってくるから」
「でしたら、私がお背中を─────」
「いやいや、大丈夫ですから」
「そうなのですか?私が読んだ本には、そうしろと・・・」
「「絶対エロ本読んだだろ」」
誰だ。勉強用の本にエロ本紛れ込ませたのは。
「へぇ~~・・・意外とおませさんなんですねぇ~~エルフの王族って言うのは」
「おませと言われる程幼くはありません。それに、素直になれなくて、何もできないハーフドワーフの炭鉱夫にだけは言われたくありません」
「まじで風呂入ってる時に喧嘩しないでくれよ?」
「勿論です!」「するわけねーじゃん」
「何かあったら、わたしが止めるから!」
リリに任せて風呂に入る。砂と土で汚れた体を、シャワーで洗い流す。体の汚れが洗い流されたからか、心に余裕が生まれ、考え事が出来るようになった。
「大門寺さんにお別れ言う事、できなかったな・・・」
たった数分間の関係だったとはいえ、死んでほしくは無かった。死ぬとしても、最後に別れの言葉が言いたかった。
頭を洗い終え、体をボディーソープで洗い始める。体を洗っていると、家に帰ってきた感じが一気に感じられる。
「体が俺の言う事を聞かなかったけど、病院行った方が良いかな?もしかしたら、毒か呪いの後遺症の可能性もあるし・・・」
湯舟に入ると、心底日本に生まれて良かったと思うのは何故だろうか。後遺症の問題は大きい上に大変なのに、どうでもよくなってしまうのは、風呂のせいなのか、それとも俺の危機管理能力の低さのせいなのか。
「まあ、明日考えるか・・・」
難しい事は後回し。今の所、戦闘に体が勝手に向かってしまうだけだし、日常生活に問題はない。もし、普通に生活するのに、問題が生じたら呪術師か医者に相談しに行こう。
「あっ、シュエリ王女・・・シュエリさんの布団どうしよう・・・」
リオに来る事があまりにも急に決まった事なので、ホテルを用意する暇もなく、仕方なく俺の家に泊まる事になったが、寝る為に必要かつ肝心な布団又はベッドがない。
今家にあるのは、リリ用の布団だけ。我慢して、2人仲良く布団で寝てもらうほかない・・・・。
★
「成程・・・私の寝る所が無いと・・・確かに急な事でしたものね」
「はい。本当すみません」
「ヒスイ様が謝る事ではありません。それに、解決できない問題ではないではありませんか」
流石、王女。理解が早い。申し訳ないが、リリと仲良く布団を────
「ヒスイ様と同じベッドで寝れば済む話ですから・・・ネ?」
やばい爆弾を投下してきたね~。リリの視線が痛いよ。
「それはダメだよーシュエリ~。ヒスイのお隣はわたしなんだからさ。新参はしっかりとあの布団で下積みをしてからだよ?」
「下積みって何?寝るのに下積みなんてあるの?」
「ヒスイ様の戸惑いっぷりから察するに・・・嘘、ですね?そんなルールはございませんよね?リリックさんが今勝手に急造したルールと見受けられますが・・・」
「勘の良いエルフは嫌い・・・いや、別に嫌いではないな。でも、寝取られだけは勘弁だし」
「別に恋人じゃないでしょ」
「一緒の墓に入るから良いじゃん」
「いきなり重いな」
そんな話聞いてないよ。
「それでは、3人で同じベッドに寝るのはどうでしょう?それなら、安心では?」
「良いね!確かに安心だし!2人とも満足だね!」
「俺は全然安心じゃないけどね」
家主の俺に拒否権は無かった。
疲れは先程よりも遥かにマシになっていたが、それでも睡眠を取らなくて良いというレベルではない。
食材を洗い場で洗う。その隙に、リリとシュエリを風呂に入れた。互いに2人で入る事には抵抗がなかったようで、すんなりと入ってくれた。
洗い物を終え、ナチュレの侍女から渡された薄緑のパジャマと、リリのお気に入りのパジャマを2人が取りやすい位置に置いておく。
数分後、少し髪を濡らした2人が浴室から出てきた。庶民の家は初めてなシュエリさんが困惑するか心配だったが、よろけるような表情から察するに満足したようだ。
「リオの一般家庭にはシャワーがあるんですね。進歩の違いを感じさせます」
ザナのシャワーは今の所、ごく一部の貴族や王族のみが使う事ができる貴重品。そんな認識の物が、ただのボロアパートにあったら、驚くのも納得だ。
「それじゃあ、俺入ってくるから」
「でしたら、私がお背中を─────」
「いやいや、大丈夫ですから」
「そうなのですか?私が読んだ本には、そうしろと・・・」
「「絶対エロ本読んだだろ」」
誰だ。勉強用の本にエロ本紛れ込ませたのは。
「へぇ~~・・・意外とおませさんなんですねぇ~~エルフの王族って言うのは」
「おませと言われる程幼くはありません。それに、素直になれなくて、何もできないハーフドワーフの炭鉱夫にだけは言われたくありません」
「まじで風呂入ってる時に喧嘩しないでくれよ?」
「勿論です!」「するわけねーじゃん」
「何かあったら、わたしが止めるから!」
リリに任せて風呂に入る。砂と土で汚れた体を、シャワーで洗い流す。体の汚れが洗い流されたからか、心に余裕が生まれ、考え事が出来るようになった。
「大門寺さんにお別れ言う事、できなかったな・・・」
たった数分間の関係だったとはいえ、死んでほしくは無かった。死ぬとしても、最後に別れの言葉が言いたかった。
頭を洗い終え、体をボディーソープで洗い始める。体を洗っていると、家に帰ってきた感じが一気に感じられる。
「体が俺の言う事を聞かなかったけど、病院行った方が良いかな?もしかしたら、毒か呪いの後遺症の可能性もあるし・・・」
湯舟に入ると、心底日本に生まれて良かったと思うのは何故だろうか。後遺症の問題は大きい上に大変なのに、どうでもよくなってしまうのは、風呂のせいなのか、それとも俺の危機管理能力の低さのせいなのか。
「まあ、明日考えるか・・・」
難しい事は後回し。今の所、戦闘に体が勝手に向かってしまうだけだし、日常生活に問題はない。もし、普通に生活するのに、問題が生じたら呪術師か医者に相談しに行こう。
「あっ、シュエリ王女・・・シュエリさんの布団どうしよう・・・」
リオに来る事があまりにも急に決まった事なので、ホテルを用意する暇もなく、仕方なく俺の家に泊まる事になったが、寝る為に必要かつ肝心な布団又はベッドがない。
今家にあるのは、リリ用の布団だけ。我慢して、2人仲良く布団で寝てもらうほかない・・・・。
★
「成程・・・私の寝る所が無いと・・・確かに急な事でしたものね」
「はい。本当すみません」
「ヒスイ様が謝る事ではありません。それに、解決できない問題ではないではありませんか」
流石、王女。理解が早い。申し訳ないが、リリと仲良く布団を────
「ヒスイ様と同じベッドで寝れば済む話ですから・・・ネ?」
やばい爆弾を投下してきたね~。リリの視線が痛いよ。
「それはダメだよーシュエリ~。ヒスイのお隣はわたしなんだからさ。新参はしっかりとあの布団で下積みをしてからだよ?」
「下積みって何?寝るのに下積みなんてあるの?」
「ヒスイ様の戸惑いっぷりから察するに・・・嘘、ですね?そんなルールはございませんよね?リリックさんが今勝手に急造したルールと見受けられますが・・・」
「勘の良いエルフは嫌い・・・いや、別に嫌いではないな。でも、寝取られだけは勘弁だし」
「別に恋人じゃないでしょ」
「一緒の墓に入るから良いじゃん」
「いきなり重いな」
そんな話聞いてないよ。
「それでは、3人で同じベッドに寝るのはどうでしょう?それなら、安心では?」
「良いね!確かに安心だし!2人とも満足だね!」
「俺は全然安心じゃないけどね」
家主の俺に拒否権は無かった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる