151 / 191
4章 最終防衛戦門
26話 裏切り者
しおりを挟む
「う、裏切り者ってどういう事だよ!リオの門番主任さんよぉ!!」
「そのまんまの意味だよ。ここ2週間、魔物がこの門を集中してるけど、その犯人は誰かって話」
「魔物を門に何者かが誘導していたって事ですか?」
「そういう事」
「その犯人が私達の中にいると?」
「そういう事」
「あり得ねぇ!!」
案の定、怒号が飛ぶ。怒りの叫びをあげたのは、先程から喧嘩を売ってきている短気な門番だった。
「俺らは、今までずっと、命をかけてこの門を守ってきた!金目当ての奴らだけどな、全員がこの仕事にプライドと責任感を持ってる!アンタも門番なら分かるだろ!?」
「凄く共感できるね」
「なら、何故俺らの中に裏切り者がいるとい戯言を言う?疑いはしても、あり得ないと思うだろう!?」
短期な門番の怒りの理由は、先程俺と同じ理由だった。彼はきっと、仲間思いなのだろう。少し前の俺も、彼の味方をするはずだ。しかし、今の俺は、シャープの意見を聞いてしまった。肩入れはできない。
「それに、魔物を操るってのは、先天的な魔物使いの才能が無いと無理なんだろ?しかも、魔物使いの才能は1000万人に1人しかいないって噂だ。その1人に俺達が当てはまっているとでも思うか?もし、いたなら、俺らの仕事はこんなにもっと楽なものになってたはずだ」
「それが、意外と簡単での」
「おい、ジジイ。部外者は話に入るんじゃねぇ」
「そういわれても、門番に裏切り者がいると見抜いたのはわしだからの・・・今回ばかしは部外者ではないんで勘弁してくれ」
「てめぇか!面倒な嘘ついて、バカなリオの門番連れてきたのは!!」
「おいいい加減にしろ!話を最後まで聞かないか!!ご老人、何故魔物の操作が簡単にできるのです?」
「つい最近、ここを襲っている魔物は『末を見る者』という組織が、改造した魔物だという事は知っとるか?」
「はい。本来はあり得ない性能がついているのもその組織が改造したせいだとも聞いています」
「改造は、魔物の性能だけでなくてな。実は、ある機械を持っていれば、主人の命令に従うようなるんだよ」
「そんな機械が・・・いやはや、その組織は最先端を行っていますね」
「そうだの。賢者ルミナという愚か者に信仰しているという点を除けば、優秀かもしれないの」
「え?」
突然始まったリャオさんの賢者ルミナディス。賢者ルミナの事を『あの人』呼びしたり、才能を認めている点から、憎からず思っていると俺は思っていたのだが、リャオさん自身は違かったらしい。
「だって、イカレてるとは思わんか?結果が見たいからという理由で世界を融合しようとするなんて。その先に待っているのは、千年戦争以上の混沌と、人類の滅亡だというのに、あのアバズレは実際に目で見ないと分からないじゃないかという。そんな女をクレイジーという言葉以外でなんと表す?」
「じ、実際分からないものじゃありませんか?もしかしたら、良い事も待っているかも・・・」
「最低でも1つのメリットはあるだろうよ。同時に1000のデメリットもあるがな。果たして、その1つのメリットにどれだけの意味があるのやら・・・わしにも説明してほしかったの。まあ、説明されようが、即座に否定して、魔術をぶっ放すと思うがの」
止まらない悪口。ここで、リャオさんの悪口の理由が分かってきた。リャオさんは別に憎くて悪口を言っているわけではない。信者をあぶりだす為にわざと悪口を言っているんだ。
けれども、集まった計18人のザナの門番は表情1つ変えない。もしかしたら、今日の当番にルミナ信者はいないのではないか?
「それと、もう1つ決定的に駄目な点があるの。一体何か分かるか?」
「い、いえ。全く・・・お教えいただけないでしょうか?」
「信者があまりにも未熟すぎる。魔術の才能や練度の話をしているんじゃない。心の問題だ。現に今、表情を取り繕っている者が8・・・いや、9人おる」
「・・・?皆、いつも通りですが?」
「そうだの。無理矢理表情を取り繕っているにしては、完成度は高いの。わしも、読心魔術が使えなかったら、分からんかったろうよ」
忘れていた。リャオさんは、シュエリさん以上に読心魔術の練度が高い人。いくら表情を取り繕おうが、偽りの言葉を言おうが、心の声が読めるので、全く意味がない。
「今言った9人の中には、勿論君も入っているぞ。愚かなルミナの信者よ」
話していた物腰柔らかな門番に向かって厭らしい笑みを浮かべながら、煽り散らかす。その一言が止めになったのだろう。物腰柔らかな門番は、短剣を抜き、リャオに向かって振り下ろした。
「させるか!!」
短剣を抜いた瞬間、翡翠が抜刀。腕ごと短剣を切り飛ばした。
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!くそ!クソ!クソォォォォ!我らがルミナ様を馬鹿にするだけでなく、俺の腕まで切りやがってぇぇぇぇ!絶対に殺す!絶対に捕まえてルミナ様に献上してやるっ!!」
「お、おい!何言ってんだ!どうしたんだよ!!」
短気な門番は豹変した物腰柔らかな門番に戸惑いを見せる。物腰柔らかな門番は、短気な門番を殴り飛ばすと、後ろにいた門番達に向かって叫んだ。
「もう隠す必要はないぞ!貴様ら!こうなったら、ヤケだ!全員でかかれ!!」
16人のうち、8人の門番が各々の武器を手に取り、仲間のはずの門番に襲い掛かり始める。
「さあ、始めようか!!」
腕を切り落とされた信者は、短剣を残った手で構えると、理性の無い獣のように襲い掛かってきた。
「そのまんまの意味だよ。ここ2週間、魔物がこの門を集中してるけど、その犯人は誰かって話」
「魔物を門に何者かが誘導していたって事ですか?」
「そういう事」
「その犯人が私達の中にいると?」
「そういう事」
「あり得ねぇ!!」
案の定、怒号が飛ぶ。怒りの叫びをあげたのは、先程から喧嘩を売ってきている短気な門番だった。
「俺らは、今までずっと、命をかけてこの門を守ってきた!金目当ての奴らだけどな、全員がこの仕事にプライドと責任感を持ってる!アンタも門番なら分かるだろ!?」
「凄く共感できるね」
「なら、何故俺らの中に裏切り者がいるとい戯言を言う?疑いはしても、あり得ないと思うだろう!?」
短期な門番の怒りの理由は、先程俺と同じ理由だった。彼はきっと、仲間思いなのだろう。少し前の俺も、彼の味方をするはずだ。しかし、今の俺は、シャープの意見を聞いてしまった。肩入れはできない。
「それに、魔物を操るってのは、先天的な魔物使いの才能が無いと無理なんだろ?しかも、魔物使いの才能は1000万人に1人しかいないって噂だ。その1人に俺達が当てはまっているとでも思うか?もし、いたなら、俺らの仕事はこんなにもっと楽なものになってたはずだ」
「それが、意外と簡単での」
「おい、ジジイ。部外者は話に入るんじゃねぇ」
「そういわれても、門番に裏切り者がいると見抜いたのはわしだからの・・・今回ばかしは部外者ではないんで勘弁してくれ」
「てめぇか!面倒な嘘ついて、バカなリオの門番連れてきたのは!!」
「おいいい加減にしろ!話を最後まで聞かないか!!ご老人、何故魔物の操作が簡単にできるのです?」
「つい最近、ここを襲っている魔物は『末を見る者』という組織が、改造した魔物だという事は知っとるか?」
「はい。本来はあり得ない性能がついているのもその組織が改造したせいだとも聞いています」
「改造は、魔物の性能だけでなくてな。実は、ある機械を持っていれば、主人の命令に従うようなるんだよ」
「そんな機械が・・・いやはや、その組織は最先端を行っていますね」
「そうだの。賢者ルミナという愚か者に信仰しているという点を除けば、優秀かもしれないの」
「え?」
突然始まったリャオさんの賢者ルミナディス。賢者ルミナの事を『あの人』呼びしたり、才能を認めている点から、憎からず思っていると俺は思っていたのだが、リャオさん自身は違かったらしい。
「だって、イカレてるとは思わんか?結果が見たいからという理由で世界を融合しようとするなんて。その先に待っているのは、千年戦争以上の混沌と、人類の滅亡だというのに、あのアバズレは実際に目で見ないと分からないじゃないかという。そんな女をクレイジーという言葉以外でなんと表す?」
「じ、実際分からないものじゃありませんか?もしかしたら、良い事も待っているかも・・・」
「最低でも1つのメリットはあるだろうよ。同時に1000のデメリットもあるがな。果たして、その1つのメリットにどれだけの意味があるのやら・・・わしにも説明してほしかったの。まあ、説明されようが、即座に否定して、魔術をぶっ放すと思うがの」
止まらない悪口。ここで、リャオさんの悪口の理由が分かってきた。リャオさんは別に憎くて悪口を言っているわけではない。信者をあぶりだす為にわざと悪口を言っているんだ。
けれども、集まった計18人のザナの門番は表情1つ変えない。もしかしたら、今日の当番にルミナ信者はいないのではないか?
「それと、もう1つ決定的に駄目な点があるの。一体何か分かるか?」
「い、いえ。全く・・・お教えいただけないでしょうか?」
「信者があまりにも未熟すぎる。魔術の才能や練度の話をしているんじゃない。心の問題だ。現に今、表情を取り繕っている者が8・・・いや、9人おる」
「・・・?皆、いつも通りですが?」
「そうだの。無理矢理表情を取り繕っているにしては、完成度は高いの。わしも、読心魔術が使えなかったら、分からんかったろうよ」
忘れていた。リャオさんは、シュエリさん以上に読心魔術の練度が高い人。いくら表情を取り繕おうが、偽りの言葉を言おうが、心の声が読めるので、全く意味がない。
「今言った9人の中には、勿論君も入っているぞ。愚かなルミナの信者よ」
話していた物腰柔らかな門番に向かって厭らしい笑みを浮かべながら、煽り散らかす。その一言が止めになったのだろう。物腰柔らかな門番は、短剣を抜き、リャオに向かって振り下ろした。
「させるか!!」
短剣を抜いた瞬間、翡翠が抜刀。腕ごと短剣を切り飛ばした。
「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!くそ!クソ!クソォォォォ!我らがルミナ様を馬鹿にするだけでなく、俺の腕まで切りやがってぇぇぇぇ!絶対に殺す!絶対に捕まえてルミナ様に献上してやるっ!!」
「お、おい!何言ってんだ!どうしたんだよ!!」
短気な門番は豹変した物腰柔らかな門番に戸惑いを見せる。物腰柔らかな門番は、短気な門番を殴り飛ばすと、後ろにいた門番達に向かって叫んだ。
「もう隠す必要はないぞ!貴様ら!こうなったら、ヤケだ!全員でかかれ!!」
16人のうち、8人の門番が各々の武器を手に取り、仲間のはずの門番に襲い掛かり始める。
「さあ、始めようか!!」
腕を切り落とされた信者は、短剣を残った手で構えると、理性の無い獣のように襲い掛かってきた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
26
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる