異世界と繋がる不思議な門を警備する仕事に就きしました!

町島航太

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4章 最終防衛戦門

エピローグ

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 門番内に潜んでいたルミナ信者の裏切り者は、ハヤブサの敗北により、勢いが弱くなり、一気に形勢逆転。全員のの始末に成功した。

 後日、その日にいなかったザナの門番の中にルミナ信者がいないかの確認が始まる。賢者リャオが使った方法で、あぶり出す。結果、合計で25人もの裏切り者が見つかった。

 別の日に見つかった裏切り者はさほど強くはなかった。というよりも、なんだかやる気を感じられなかった。恐らく、ハヤブサが彼らの最高戦力であり、そのハヤブサが敗れたのを知って自分らが勝てるわけないと思ったのだろう。

 けど、抵抗はしてきたので、しっかりと仕留めさせてもらった。捕まえる事も出来たが、主任からの命令は、始末。牢屋に入れた結果、囚人の間にルミナの危険な思想が広まるのを避けたらしい。

 更に後日、あの短気な門番と会う機会があった。仲間に裏切り者がいたショックからまだ、抜け出せないようで、心がどこか上の空。1日も早く彼の心の傷が癒える事を祈る。

 ザナの門番から、裏切り者がいなくなった事で、侵入してくる魔物は通常通りとなり、俺達にもまた、休日が与えられるようになった。

 休日の復活に喜んでいる時に、主任が俺に呟いた「院長に感謝しなさいよ~」という言葉の意味はなんだったのかは未だに理解できないが。

 休日の復活に喜ぶと同時に不安も発生。まだ、ルミナは世界融合の為のピースであるリリ又はシュエリさんを手に入れていないにも関わらず、全く動く様子がないのだ。

 魔物も、改造されたわけでもない野良の魔物。野良の魔物は戦うのが久しかったので、弱点や攻略方法をちょっと間違えた。ルミナ信者は襲っては来ず、代わりに違法入国者の処分をする事となった。勢いで殺しそうになった時は本当に危なかった。

 リリは、諦めたんでしょと言っていたが、そんな事はないと思う。今でも、賢者ルミナは2人を狙っているはず。・・・いや、もしくは2人とは別に、新たな人材を見つけたのかも。

 待て待て。だとしたら、何故世界の融合が始まっていない?残りのピースが埋まったんだ。すぐに始めるはずだろう?だとしたら、まだ埋まっていないと捉えて良いだろう。

 リャオさんからの更なる情報を待つ事にして、約3週間が経過。この日のシフトは、俺とモネさんとシャープ。侵入してきた爆発岩の処理をしていると、激しい地震が俺達を襲った。

 本当に酷い揺れだった。震度5強はあったんじゃないか?

「凄い揺れだね!!この国にきてから何度か地震はあったけど、こんなに強いのは初めてかもしれない!!」

「俺も久しぶりだわ!しかもこの地震長い!このまま続いたら、町の建物とかが崩壊しちゃう!!」

 日本の建物は多少は地震への耐性を持っているとは言え、無敵というわけではない。何分も強力な地震が続けば、建物は崩壊し、死者が出る早めの収まりを願うが・・・全然収まらない。

 3分が過ぎた頃だろうか?地震によるダメージは、俺の目の前で発生した。事務所が崩れた?否。壁が崩れた?否。門が倒れてきた?否。地面が割れた。

「ヒスイ!!」

 シャープとモネさんから俺を遠ざけるように地面の亀裂は大きくなっていき、ついには跳躍で、2人の所まで飛べない距離まで離されてしまった。

 2人の身体能力を考えたら、亀裂に落ちる心配はないが、心配なのは、家に残してきたリリとシュエリさん。ここで、大地が割れているんだから、どこかで割れていてもおかしくないはず。

 電話して安否を確認しようとしたが、電話が繋がらない。どうしたものかと困っていると、目の前の亀裂に新たな変化が現れた。劇的な変化だ。思わず言葉を数秒失ってしまった。

「嘘だろ・・・何でザナの大地が亀裂に?」

 大きくなった亀裂を埋めるように、光と共に、ザナの大地が現れたのだ。何故、ザナの大地だって分かったのか?だって?ナチュレに向かう際に見た巨大なゼンマイのような植物が生えていたからだ。

「幻・・・じゃない」

 確かめる為に、足で踏んで確かめたが、しっかりと踏む事が出来た。不安定感もなくしっかりと踏めた。真ん中まで行って、飛んでも、崩れる事は無かった。

「ヒスイ!大丈夫?」

「ちょっと!ナニコレ!?よく見たら、事務所の真ん前にも変な土地が出来てるんだけど!!」

 指さす先は、事務所。モネさんの言う通り、事務所の前にも、俺が今足を踏み入れている土地とは違う別の土地が亀裂を埋めていた。

「ヒスイ!町の方見て!すんごい事になってる!!」


「・・・マジかよ」

 やはり、門前だけに発生したわけではないようだ。目の前の異門町でも起きている。寧ろ、町の方が酷いかもしれない。

 状況を理解しながらも、原因が分からず、茫然と立ち尽くしていると、事務所から、真剣な表情の主任が腰に剣を帯びながら、歩いてきた。

 戦闘時と同じ表情に、3人は緊張感を覚える。彼が目の前に来た途端。一言でこの状況を説明してくれた。

「皆、落ち着いて聞いてほしい。たった今、世界の融合が始まった」

 その一言で、俺の頭は真っ白になった。
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