172 / 191
最終章 探究者と門番
17話 アンデッド・ザ・ナイツ
しおりを挟む
死人に口なしと言った所だろうか、屍騎士団は鎧と骨をカタカタと鳴らしながら進軍してくる。
騎士団の骨格と二足歩行からして、絶対に人間。まず、最初に攻撃を仕掛けてきたのは、剣と盾を装備するスケルトンの騎士。
「何も言わずに攻撃かよっ!!」
筋肉は既に無いというのに、とても重い一撃。腕にビリビリと重みが伝わってくる。骨のみとなったスケルトンが、体を動かしているのは、筋肉ではなく、魂。魂から放たれるエネルギーが武器握らせているのだという。
「でも、一撃で分かった・・・アンタら、自力発生のアンデッドだな?」
アンデッドの発生は、ネクロマンサーによる魔術や、呪いによる事が大半だが、ごくまれに未練や怨念によって自力でアンデッドになる者が存在する。そして、一番強いのは、自力発生のアンデッドだ。見分ける方法は、強さだ。
「自力発生のアンデッドが、何で、遺体を守ってるわけ!?」
「恐らく、生前は賢者ルミナに仕えていたのかと思われます」
それなら辻妻が合う。ルミナの熱狂的な信者ならば、アンデッドになってもおかしくはない。
「おい、シャープ!こいつらめっちゃ強いよ!!本当に笑ってる場合じゃないよ!!」
「笑ってないし、分かってるよ!!」
「いっその事凍らせちゃう!?」
「やっちゃっていいかも!!良いや、やっちゃって!!」
最大攻撃手段を持っているのに、使わないなんて宝の持ち腐れ。使わなかった結果、死んだなんて笑い話にもならない。それに、制限時間は刻一刻と迫っている。環境への悪影響を考えている暇なんてない。
「じゃあ、また永眠してもらおっか!!『グラシエス』!!」
冷気が辺りを舞い、屍騎士団を氷漬けにする。氷の中に閉じこめられて、身動きを完全に封じられてしまった。
「よぅし!モネ!一発で破壊しちゃt────」
「待って!様子がおかしい!!」
モネの注意通り、氷漬けになった屍騎士団の様子がおかしい。騎士団を氷漬けにしている氷塊が熱波に晒されたように溶け始めている。ヒビが入り、割れ始める。
「こんなに気温が低いのに何で!?」
「相手は手練れの元人間・・・氷漬けにされた時の対処もあるって事ね・・・」
「どどどどうする?雷の魔術で焦がしちゃう!?それとも、炎?」
「焦げるものが残ってないでしょ。落ち着きなさいリリック」
「そうだよね。で、でもどうしたら・・・」
「あっ、割れた」
屍騎士団を封じ込めていた氷が割れる。同時に、炎の魔術が飛んできた。
「あ、やばい!!『アクア』!!」
咄嗟にリリックが出した水の魔術が、飛んできた炎の魔術とぶつかり、相殺。そうか、死んでも魔術は使えるのか。氷を溶かしたのも、中から炎の魔術を使ったからなのか。
僕らが、飛ばされてきた炎の魔術の対処に負われている隙に、屍騎士達は、僕らを取り囲み、逃げ道を塞いでしまった。
「「ッッ!!」」
騎士らしい正々堂々の1対1の勝負は何処にいったのだろうか。シャープに2人同時にきりかかってくる。
「騎士って言ったけど、間違いだったかも。ただのガチガチに武装した蛮族かも」
「好きなモノや、信じているモノには手段を選ばない一番面倒なタイプの奴らだね。どうする?多分だけど、1人1人僕らより下手したら強いよ?」
「純粋な技術面ならね。でも、アンデッドは、魔術師と遭遇した時点で、ほとんど負けるのは確定してるんだよ。なんでか分かるか?」
「浄化魔術があるから?」
「正解」
浄化魔術は、水や汚染物質を取り除くだけでなく、アンデッドの魂を強制的に成仏する効果がある。確かにそれなら一体ずつ倒せ────
「ばっか、そんなちんたらしてられないよ!!リリック!あたしのモーニングスターに浄化魔術をかけて!全力で!!」
「成程、地面殴って、浄化の衝撃波を作るんだね。浄化魔術は、エンチャントできないタイプの魔術だけど・・・」
「だったら、かけ続ければいいんだよ!魔力は枯渇するけど」
「それじゃあ、行ってみようか!!」
「うん!!・・・はぁぁぁぁ・・・!『プルガーティオ』!!」
淡い白い光が、モネのモーニングスターにまとわりつく。それを見て、にやりと笑みを浮かべると、思い切り地面をぶっ叩く。
モネのハンマーに蓄えられた浄化魔術が、衝撃波として走る。屍騎士達は、口から青い炎を出し、苦しみ悶えながら元の屍へと戻っていった。
「・・・ふう。いっちょ上がり!!」
屍騎士団撃破。敗北理由、浄化魔術。
騎士団の骨格と二足歩行からして、絶対に人間。まず、最初に攻撃を仕掛けてきたのは、剣と盾を装備するスケルトンの騎士。
「何も言わずに攻撃かよっ!!」
筋肉は既に無いというのに、とても重い一撃。腕にビリビリと重みが伝わってくる。骨のみとなったスケルトンが、体を動かしているのは、筋肉ではなく、魂。魂から放たれるエネルギーが武器握らせているのだという。
「でも、一撃で分かった・・・アンタら、自力発生のアンデッドだな?」
アンデッドの発生は、ネクロマンサーによる魔術や、呪いによる事が大半だが、ごくまれに未練や怨念によって自力でアンデッドになる者が存在する。そして、一番強いのは、自力発生のアンデッドだ。見分ける方法は、強さだ。
「自力発生のアンデッドが、何で、遺体を守ってるわけ!?」
「恐らく、生前は賢者ルミナに仕えていたのかと思われます」
それなら辻妻が合う。ルミナの熱狂的な信者ならば、アンデッドになってもおかしくはない。
「おい、シャープ!こいつらめっちゃ強いよ!!本当に笑ってる場合じゃないよ!!」
「笑ってないし、分かってるよ!!」
「いっその事凍らせちゃう!?」
「やっちゃっていいかも!!良いや、やっちゃって!!」
最大攻撃手段を持っているのに、使わないなんて宝の持ち腐れ。使わなかった結果、死んだなんて笑い話にもならない。それに、制限時間は刻一刻と迫っている。環境への悪影響を考えている暇なんてない。
「じゃあ、また永眠してもらおっか!!『グラシエス』!!」
冷気が辺りを舞い、屍騎士団を氷漬けにする。氷の中に閉じこめられて、身動きを完全に封じられてしまった。
「よぅし!モネ!一発で破壊しちゃt────」
「待って!様子がおかしい!!」
モネの注意通り、氷漬けになった屍騎士団の様子がおかしい。騎士団を氷漬けにしている氷塊が熱波に晒されたように溶け始めている。ヒビが入り、割れ始める。
「こんなに気温が低いのに何で!?」
「相手は手練れの元人間・・・氷漬けにされた時の対処もあるって事ね・・・」
「どどどどうする?雷の魔術で焦がしちゃう!?それとも、炎?」
「焦げるものが残ってないでしょ。落ち着きなさいリリック」
「そうだよね。で、でもどうしたら・・・」
「あっ、割れた」
屍騎士団を封じ込めていた氷が割れる。同時に、炎の魔術が飛んできた。
「あ、やばい!!『アクア』!!」
咄嗟にリリックが出した水の魔術が、飛んできた炎の魔術とぶつかり、相殺。そうか、死んでも魔術は使えるのか。氷を溶かしたのも、中から炎の魔術を使ったからなのか。
僕らが、飛ばされてきた炎の魔術の対処に負われている隙に、屍騎士達は、僕らを取り囲み、逃げ道を塞いでしまった。
「「ッッ!!」」
騎士らしい正々堂々の1対1の勝負は何処にいったのだろうか。シャープに2人同時にきりかかってくる。
「騎士って言ったけど、間違いだったかも。ただのガチガチに武装した蛮族かも」
「好きなモノや、信じているモノには手段を選ばない一番面倒なタイプの奴らだね。どうする?多分だけど、1人1人僕らより下手したら強いよ?」
「純粋な技術面ならね。でも、アンデッドは、魔術師と遭遇した時点で、ほとんど負けるのは確定してるんだよ。なんでか分かるか?」
「浄化魔術があるから?」
「正解」
浄化魔術は、水や汚染物質を取り除くだけでなく、アンデッドの魂を強制的に成仏する効果がある。確かにそれなら一体ずつ倒せ────
「ばっか、そんなちんたらしてられないよ!!リリック!あたしのモーニングスターに浄化魔術をかけて!全力で!!」
「成程、地面殴って、浄化の衝撃波を作るんだね。浄化魔術は、エンチャントできないタイプの魔術だけど・・・」
「だったら、かけ続ければいいんだよ!魔力は枯渇するけど」
「それじゃあ、行ってみようか!!」
「うん!!・・・はぁぁぁぁ・・・!『プルガーティオ』!!」
淡い白い光が、モネのモーニングスターにまとわりつく。それを見て、にやりと笑みを浮かべると、思い切り地面をぶっ叩く。
モネのハンマーに蓄えられた浄化魔術が、衝撃波として走る。屍騎士達は、口から青い炎を出し、苦しみ悶えながら元の屍へと戻っていった。
「・・・ふう。いっちょ上がり!!」
屍騎士団撃破。敗北理由、浄化魔術。
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!
ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる