異世界と繋がる不思議な門を警備する仕事に就きしました!

町島航太

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最終章 探究者と門番

17話 アンデッド・ザ・ナイツ

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 死人に口なしと言った所だろうか、屍騎士団は鎧と骨をカタカタと鳴らしながら進軍してくる。

 騎士団の骨格と二足歩行からして、絶対に人間。まず、最初に攻撃を仕掛けてきたのは、剣と盾を装備するスケルトンの騎士。

「何も言わずに攻撃かよっ!!」

 筋肉は既に無いというのに、とても重い一撃。腕にビリビリと重みが伝わってくる。骨のみとなったスケルトンが、体を動かしているのは、筋肉ではなく、魂。魂から放たれるエネルギーが武器握らせているのだという。

「でも、一撃で分かった・・・アンタら、自力発生のアンデッドだな?」

 アンデッドの発生は、ネクロマンサーによる魔術や、呪いによる事が大半だが、ごくまれに未練や怨念によって自力でアンデッドになる者が存在する。そして、一番強いのは、自力発生のアンデッドだ。見分ける方法は、強さだ。

「自力発生のアンデッドが、何で、遺体を守ってるわけ!?」

「恐らく、生前は賢者ルミナに仕えていたのかと思われます」

 それなら辻妻が合う。ルミナの熱狂的な信者ならば、アンデッドになってもおかしくはない。

「おい、シャープ!こいつらめっちゃ強いよ!!本当に笑ってる場合じゃないよ!!」

「笑ってないし、分かってるよ!!」

「いっその事凍らせちゃう!?」

「やっちゃっていいかも!!良いや、やっちゃって!!」

 最大攻撃手段を持っているのに、使わないなんて宝の持ち腐れ。使わなかった結果、死んだなんて笑い話にもならない。それに、制限時間は刻一刻と迫っている。環境への悪影響を考えている暇なんてない。

「じゃあ、また永眠してもらおっか!!『グラシエス』!!」

 冷気が辺りを舞い、屍騎士団を氷漬けにする。氷の中に閉じこめられて、身動きを完全に封じられてしまった。

「よぅし!モネ!一発で破壊しちゃt────」

「待って!様子がおかしい!!」

 モネの注意通り、氷漬けになった屍騎士団の様子がおかしい。騎士団を氷漬けにしている氷塊が熱波に晒されたように溶け始めている。ヒビが入り、割れ始める。

「こんなに気温が低いのに何で!?」

「相手は手練れの元人間・・・氷漬けにされた時の対処もあるって事ね・・・」

「どどどどうする?雷の魔術で焦がしちゃう!?それとも、炎?」

「焦げるものが残ってないでしょ。落ち着きなさいリリック」

「そうだよね。で、でもどうしたら・・・」

「あっ、割れた」

 屍騎士団を封じ込めていた氷が割れる。同時に、炎の魔術が飛んできた。

「あ、やばい!!『アクア』!!」

 咄嗟にリリックが出した水の魔術が、飛んできた炎の魔術とぶつかり、相殺。そうか、死んでも魔術は使えるのか。氷を溶かしたのも、中から炎の魔術を使ったからなのか。

 僕らが、飛ばされてきた炎の魔術の対処に負われている隙に、屍騎士達は、僕らを取り囲み、逃げ道を塞いでしまった。

「「ッッ!!」」

 騎士らしい正々堂々の1対1の勝負は何処にいったのだろうか。シャープに2人同時にきりかかってくる。

「騎士って言ったけど、間違いだったかも。ただのガチガチに武装した蛮族かも」

「好きなモノや、信じているモノには手段を選ばない一番面倒なタイプの奴らだね。どうする?多分だけど、1人1人僕らより下手したら強いよ?」

「純粋な技術面ならね。でも、アンデッドは、魔術師と遭遇した時点で、ほとんど負けるのは確定してるんだよ。なんでか分かるか?」

「浄化魔術があるから?」

「正解」

 浄化魔術は、水や汚染物質を取り除くだけでなく、アンデッドの魂を強制的に成仏する効果がある。確かにそれなら一体ずつ倒せ────

「ばっか、そんなちんたらしてられないよ!!リリック!あたしのモーニングスターに浄化魔術をかけて!全力で!!」

「成程、地面殴って、浄化の衝撃波を作るんだね。浄化魔術は、エンチャントできないタイプの魔術だけど・・・」

「だったら、かけ続ければいいんだよ!魔力は枯渇するけど」

「それじゃあ、行ってみようか!!」

「うん!!・・・はぁぁぁぁ・・・!『プルガーティオ』!!」

 淡い白い光が、モネのモーニングスターにまとわりつく。それを見て、にやりと笑みを浮かべると、思い切り地面をぶっ叩く。

 モネのハンマーに蓄えられた浄化魔術が、衝撃波として走る。屍騎士達は、口から青い炎を出し、苦しみ悶えながら元の屍へと戻っていった。

「・・・ふう。いっちょ上がり!!」

 屍騎士団撃破。敗北理由、浄化魔術。
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