天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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一章 悲報、国存続に必須の巫女を召喚3日目で拉致ることに

11話 臨機応変な戦いを

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「うおぅ!?」

 放たれる方向が分かっていたお陰で紙一重で避ける事に成功するも、こちらが落ち着く暇を与えんとばかりに電気での攻撃を繰り返す。

 電気は間違いなく魔法。しかし、今は魔法は封印されているはずなのにどうして・・・。

「魔法を封印する魔法があるように、封印を解除する魔法も存在するよ!」

「それを早く言ってくれよ!」

「その前に倒してくれるかと思って言わなかったんだよ!」

 つまるところ、遅れはしたが臨機応変に対応したのが今目の前にいる魔法騎士みたいだ。

「フェイ!何とかできないのか!?」

「無理だね!封印解除出来たという事はこっちがもう一回封印してもすぐに解除されるって事だから!」

「マジかよ・・・!」

 後ろに大きく跳躍し、円を描くように走り電気を避ける。

「今戦っている者の魔力が切れるまで踏ん張ってくれ!そうしたら君でも倒せるようになる!」

「いや!駄目だ!俺は魔法騎士達を殺したわけじゃない!魔力切れなんて待っていたら全員立ち上がっちまう!」

 円を大きくしていくように走っていき、フェイの元まで滑る様に戻る。

「逃げても無駄だ!ここにきてしまった以上、お前達の死刑は確定している!!」

「ふう・・・魔法ってかなり厄介だな」

「どうするんだい?このままだと僕達はジリジリと潰されていくぞ」

「フェイ、お前もあの騎士団にいたせいで臨機応変な行動が苦手みたいだな。もう少し頭を回転させてみろ。当たらないように避けるんじゃなくて、当たっても良いようにするための方法を」

「成程ね、君頭の回転が速いね。見習わないと・・・『Schützen守れ』」

 雷太の体を見えない魔法の膜で包み上げる。雷太本人は何の魔法をかけられたのかは分かっていない。しかし、フェイを信用して再び魔法騎士の前へと姿を現し、突進していった。

「ふんっ!無駄だと言っただろう!!」

 魔法騎士の電が飛んでくる。しかし、雷太の体に当たっても彼は痛がる素振りを見せずに突進を継続。体がぶつかる直前で制止すると、魔法騎士の顔面を殴り飛ばした。

「ぶへぇ!!」

 拳をモロに喰らった魔法騎士は地面に頭を打って気絶。結果的に雷太は1ミリも傷を負わずに勝利を収める事に成功した。

「・・・よし。フェイ、片づけたぞ」

「ああ、聴こえていたよライタ。さあいよいよだ。僕の妹を助け出そう」

 曲がり角で身を隠していたフェイを再びおんぶし、魔法騎士達が守っていた教会の中へと入っていく。中に入ると普通の礼拝堂があるわけだが、フェイの妹は果たしてどこに幽閉されているのだろうか。

「ドラゴンの像があるだろう?その首を左に捻ってくれ」

 礼拝堂の最奥に設置されている竜の像。メルグーンとかいう竜を模した像だろうか。その像の首を蛇口のように捻ると、像の真後ろにあった壁が開き、隠し扉が姿を現した。

「ライタ、壊してくれ」

「OK・・・ふんっ!」

 指示通り、扉を破壊し中に入ると現れたのは蝋燭の光のみで照らされている薄暗くて何もない部屋。その部屋の隅っこで体育座りをしている人影を見つける。

 慎重に近づいていくとそれは、骨と皮だけと錯覚してしまうくらいやせ細り目に光が灯っていない生きた屍のような少女だった。
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