天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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二章 漂流先は獣の国

48話 ゴルムという国の危うさ

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「メルグーンは別名暴食竜とも呼ばれている。その所以は一度に取り込む食事の量から来ている」

「そんなに食うのか?」

「一回の食事で100人分の食料が消える。しかも、朝昼晩の3回食べるから一日に消費される食事量は300人分だ。だから、民は飢えている。ゴルムでの死因の4割が餓死だとも言われている」

「その打撃を受けているのは主に貧民って感じかな?」

「そうだ。私は幸運にも裕福な家庭に生まれる事ができたから食事に困った事が無かったな」

 フェイとティナが痩せていたのは酷い仕打ちが原因かと思っていたが、どうやら違ったみたいだ。安心すると共に、ゴルムという国の貧富の差の激しさを悟る。

「異世界人、今お前倒せば良いのでは?と思っただろう?」

「ああ、少し思った。けど、無理なんだろ?」

「無理というよりも今のゴルムはメルグーンにたてつく牙を抜かれてしまっている状態だ。私が産まれるよりも遥か昔に凶作が発生してしまって、メルグーンに食事を提供する事ができなくなってしまった時があったみたいだが、その時メルグーンはあまりの空腹に耐えきることが出来ずに暴れ回った」

「空腹で癇癪を起したわけか」

「3日間暴れ回って、死者は114万人。当時のゴルム王国の5分の1の人口に当たる数だ。その3日を空腹の悲劇と呼んでいる」

「その時のメルグーンが原因で、誰も歯向かう事ができなくなったのか。まるでゴルムはメルグーンの奴隷だな」

「ムカつく言い方だが、まさにその通りだ。今でこそ発展しているが、それがいつまで続くのかは分からない。発展が停滞した時がゴルムの終わりだろうな」

「・・・思ったより深刻な問題抱えてるんだな。ゴルムって」

「ああ。はっきり言って国としては終わっていると思う」

「でも益々、ティナのスキルを覚醒させたいと思ってきた。これはあくまで俺の推測に過ぎないんだが、メルグーンは巫女を恐れている。だから覚醒する前に食べているんだと俺は予想している」

「その為にもまずは巫女を探さないとな」

「良いのか?俺は敵だぞ?協力しても問題ないのか?」

「・・・・勿論分かっているさ」

「いや今の言い方は忘れてただろ」

「忘れていないし、お前への恨みも忘れていない。今は一時的な共闘状態だ。私は貴様を利用してもう一度出世街道を歩んで見せる」

「どうやって利用するんだ?お前じゃ俺を殺せないぞ」

「他の方法を考える。殺すよりも簡単な方法をな」

 そういってシャルロットは可愛らしい顔で厭らしい笑みを浮かべた。

「覚悟していろ、ライタ」

「やっと名前で呼んだな」

「いつまでも異世界人って呼び方じゃ面倒だからな。あくまで効率化の為だ。勘違いするなよ」

 雷太に念入りに釘を刺してから、ティナ捜索を開始した。
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