天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

二章 漂流先は獣の国

50話 急所の無い魔物スケルトン

「うおっ！？ゾンビか？」

「いや、スケルトンだ。白骨化した死体に魂が乗り移った姿だ」

「だとすると急所狙いの攻撃が軒並み効かねぇな。まぁ、勝てるけど」

「わ、私はこいつを安全な場所に連れていくという仕事がある！心惜しいがここはお前に任せたぞライタァ！」

「別に無理に言い訳しなくていいから！さっさと安全な場所に行かんかい！」

　ついつい声を荒らげてしまう事に反省しながら構えを取る。すると、茂みからゾロゾロとスケルトンが十数体も現れた。

「白骨だからか、あんまりグロくはないな。元は人間だから少し殺すのに罪悪感はあるけどなっ！！」

　スケルトン達は武器を持っている。その武器に体が傷つけられないように避ける・・・なんてだるい事はせずに拳をぶつけて破壊。そのままの勢いのままにスケルトンの頭蓋骨を破壊。まるで煎餅を破壊するかのように簡単に破壊する事ができてしまった。

「やっぱり肉のある敵じゃないと殴りごたえがないな・・・ん？」

　頭部を破壊したはずのスケルトンが俺に抱きついてくる。頭部を無くしたのに動いている状況に驚いていると、次々と俺にひっついてくる。

　怪力を手に入れた俺も流石に何十体に押さえつけられていると身動きは取れなくなってしまう。

　茂みからさらにスケルトンが出てくる。今度は他の個体よりもはるかに大きい。優に2mは超えているだろう。

　そんな巨大のスケルトンの手にはダンビラが握られており、俺の頭目掛けて振り下ろす。

　俺の頭にぶつかったダンビラはバキンッ！と音を立てながら粉々に崩れ去ってしまった。切れ味にかなりの自信を持っていたのだろうか。巨体のスケルトンは折れたダンビラと俺の頭を交互に見ながら驚いている。

「悪いな、俺は他の人間と比べてちと頑丈みたいでなぁ！！」

　前にいたスケルトンを抱きしめ、破壊する。

　頭だけでなく全身まで粉々になってしまったスケルトンが再び動き出す事はなかった。その姿を見て俺は確信する。

「人間の急所は機能してないけど、不死身ってわけじゃねぇのか。バラバラにして再起不能になるなら話が早ぇ・・・」

　一体倒せた際に生まれた隙間を縫ってスケルトンの拘束から抜け出し、距離を取る。

「全員骨粉になるまでは粉々にしてやんよ！！」

　雷太の目にも止まらぬ速さの連撃が始まる。スケルトン達は応戦しようとするものの、筋肉がないせいで一定速度の攻撃しかする事ができず、雷太に次々と骨を破壊されていく。

　数分後、雷太の周りには肥料として使えそうな骨粉が散乱していた。