天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

文字の大きさ
56 / 192
二章 漂流先は獣の国

55話 骨達の将軍様

しおりを挟む
 正拳突き、裏拳、跳び膝蹴り、後ろ回し蹴り。

 鎧を破壊しながら雷太は技を連発していく。しかし、さすがは異世界版侍というべきだろうか、仲間がどんどん倒されてるというのに全く恐怖せずに雷太に立ち向かっている。

「手強イナ・・・コノママではアノ方に戦ッテモラウ必要ガ出テキテシマウ・・・」

?誰のこと言ってるんだっ!!」

 最後の最後の一体を回し蹴りで破壊。破壊し損ねた首がコロコロと転がる。

「申し訳ゴザイマセン、将軍サマ・・・」

 空っぽの眼窩に灯っていた赤い光が消え去る。どうやら倒してしまったらしい。

 普通のスケルトンよりも少し歯応えがある程度だったが楽しめなかったと言われたら嘘になる。手を合わせ、戦ってくれた事に感謝し、心の底から成仏することを願う。

「よし、これでもう大丈夫・・・皆、出てきて大丈─────」

 口から出かけていた言葉を一瞬で引っ込める。全身の鳥肌が立ち、寒気がする。まるで冬の夜のように冷たい風が首筋を撫でる。

 気温が変わったのかと思ったが違う。足元に生えている小さな白い花は元気に太陽の光を浴びている。

 この寒気は気温の変化からではなく、凄まじい殺意から来ているものだと気づく。

「あの方・・・そうか。スケルトン達のボスか。満を持して登場というわけだ」

 振り返った瞬間、首筋に槍の穂先が突きつけられる。先端が雷太の皮膚を擦り、少量の出血を起こさせる。全力で振った剣で体で受けるだけでボロボロにしてしまう雷太の皮膚に傷つけられるだけでその得物がどれだけ優れた武器なのかが分かる。

 雷太は驚きながらも目線を上に向けると、自分よりも一回り以上大きな体を持ったスケルトンサムライだ。他のスケルトンとは異なり、体を構成している骨の一本一本が腕ぐらい太い。

 鎧は古びていながらも他のスケルトンよりも豪華かつ重量感のある甲冑を身に纏っており、腰にはこれまた立派な太刀が収まっている。

 目玉替わりとなっている眼窩の赤い光はまるで風に晒された炎のように激しく揺れており、俺を必ず頃さんという気概を感じる。

「貴様か、我が軍を沈めたのは」

「向かってきたんだから向かえ打ったまでの事。当たり前の事で復讐心に駆られるようなタマなのか?アンタは」

「腕は一流だが、礼儀で損をしているな若造。年長者は敵でも敬うべきだぞ」

「敬え、ね・・・生憎1つしか知らねぇんだ。その方法で良いか?」

「無論、ハナからそのつもりだ・・・かかって来い」

 詰めた間合いは元に戻さず、そのまま構える。

「いざ・・・勝負っ!!」

 そう言い、槍を振り上げた次の瞬間、スケルトンの首が吹っ飛んでいった。

「・・・はぁ?」

 何が起きているのか雷太には理解できていない模様。しかし、横槍を入れられた事だけは理解したのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...