天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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二章 漂流先は獣の国

56話 食後のデザートを奪われた子供のように

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「・・・あれ?倒したのか?」「将軍を倒したのか?」「首がなくなってるし、間違いない!これで、スケルトンに恐怖しなくてすむ元の生活に戻れるぞぉ!」

 建物の中に避難していたサシコテ村の人達が一斉に出てきて狂喜乱舞する。恐怖から解放されたのだから、今日だけは馬鹿になって騒ぎたいのだろう。

 そんな中、雷太は下を俯きながら何も喋ろうとはしなかった。首なしになってしまったスケルトンの将軍の前に立ち尽くしている。

 一方スケルトンの将軍もピクリとも動かない。スケルトンは骨ならばどこにでも魂を宿す事が可能であるため、どこを破壊したら倒した事になるのか分からない魔物である。

 その特性のため、スケルトンのほとんどが魂を頭蓋骨ではなく別の骨に宿している。逆に頭に魂を宿しているスケルトンは勇敢な存在として崇められる。

 スケルトンの将軍はまさにそのタイプだったらしく、残された体はピクリとも動かなかった。

 数分経っても動かない雷太を見かねてシャルロットが俯いている雷太の顔を覗き込む。

「おい、どうした?まさか乗り移られたの・・・か・・・?」

 雷太の表情を見たシャルロットは恐怖した。スケルトンに遭遇した時とは比じゃないくらい怯え、震え上がった。

 下半身・・・特に股間部分があったかくなるのが分かる。失禁してしまったのだろう。22歳だというに。

 しかし、恥ずかしいという感情は一切なかった。いや、感じる余裕が無かったと言った方がいいだろう。

 雷太の顔は充血しているのではないかと疑いたくなるくらい真っ赤になっており、目は血管が何本も見えるくらい血走っていた。

 歯が折れてしまうんじゃないかと思ってしまうくらい歯を噛み締めており、フーッフーッと荒い鼻息を立てている。

「誰だ・・・俺の殺し合いに横槍入れた奴は・・・」

 低くドスと効いた声で呟く。とても小さな声だったが、あまりにも怒気のこもった声にサシコテ村の人々の狂喜乱舞はピタリとやむ。

 上体をぐったりとさせた状態でゾンビのように徘徊しながら、村人達に確認をとり始める。

「あんたか?」

「ち、違うよ!」

「じゃあ、あんたか?」

「そんな事するわけないだろ!」

「じゃあ、あんたか?」

「ああ、俺だ」

 緊迫した状況下で、yesと答える男が1人。その男は狼型のパンジグ人で、腰には打刀を携えている。

「お前が手を出そうとしていたのはスケルトンジェネラル。化け物だ。命を助けてやったんだ感謝ぐらいしろ」

「・・・・・・」

「俺は魔狼将軍ムサシ。この村で発生しているスケルトンを倒しに・・・へぶっ!?」

 雷太の拳が、武蔵と名乗るパンジグ人を脱ぐあげる。

 丸太をも破壊するパンチ力で殴られたムサシは宙で何回転もしながら、地面に倒れた。

「俺の楽しみを邪魔するんじゃねぇ!!」
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