天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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三章 辿り着いた先は闇

80話 昂る気持ち 前編

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 ゲオルグ・アプト。今年で45歳のベテランの騎士である。先程言っていた通り、ただただ歳を重ねてきたわけではない。

 彼が騎士の称号を得たのは18歳の頃だった。そして、戦争に駆り出されたのは称号を得た3ヶ月後だった。

 戦争を仕掛けた国の戦闘力が意外にも高く、人員不足となってしまったのだ。経験不足を理解している若きゲオルグは拒否・・・なんて事はしなかった。むしろ、自分から志願していった。

 周りの騎士達が若死にすることに同情する中、ゲオルグはその戦争の数少ない生還者となった。

 あまりにも凄惨すぎる戦争であった為、記録はほとんど残されていない。当然、ゲオルグがどれだけ活躍したのかも。

 しかし、戦争に行って無事に帰還したという経験が彼を確かに強くした。戦いの中で強くなる喜びを知ったゲオルグは戦争に参加し続けた。

 記録として残っている参加数は驚異の26回。数えられていない戦争もあるので、実際はもっと多いのだろう。

 その勇敢さと、強さを讃えられたゲオルグは満場一致で28歳で騎士団長になった。誰も彼に文句を言うものはいなかった。

 そんな戦争によって生み出された化け物と雷太は今、拳と刃を交えている。

 先制攻撃を仕掛けた雷太は現在、ゲオルグの猛攻に防戦一方だった。

「は、速い・・・!!」

「その若さで私の攻撃を防ぎ切るか。素晴らしい」

「年齢言ってないだろ!」

「生意気な言動、そして声の高さから察するに18かそこらだろう?今まで何人の若造を見てきたと思っている?」

「さぁね、でもその若造達の中で俺は何番目に強い?」

「三番目だな・・・

「マジかよ・・・!!」

 雷太はニヤリと笑みをこぼす。すると、ゲオルグの斧槍捌きの速度がさらに上昇。1秒につき3回速度で雷太に斬りかかる。

「中年の動きとは到底思えないねぇ・・・!!」

「貴様こそその避け方、若さからくる感覚によるものではないな?しっかりと軌道を見て避けている。貴様のような戦士が異世界にいるとはな・・・!」

 最初は殺意を持って戦っていたゲオルグに変化が見え始める。戦いの最中だと言うのに笑みを浮かべて見せたのだ。

「はぁっ!!」

 雷太の渾身の踏み込みが地面を凹ませる。およそ50センチ程凹んだだろうか。接近して戦っていたゲオルグも急に生まれた小さなクレーターによって体勢を大きく崩す。

「隙ありっ!!」

 一気に間合いを詰め、渾身の正拳突きを放つ。しかし、正拳突きはゲオルグの斧槍の石突で防がれてしまった。
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