天才武闘家は異世界に転移しても持ち前の強さとスキル「一撃必殺」で無双を続けるそうです

町島航太

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四章 一騎当千の拳

149話 宣戦布告

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 今回の戦争に使われた時間は僅か2時間。ゴルムとコンパスの人員合わせて5万人の戦いから考えるとあまりにも短い時間で終わった戦争だ。

 結果だけ見るなら辛勝。コンパス軍も壊滅寸前まで追い詰める事が出来たが、コンパス軍からもかなり犠牲が生まれてしまった。

「とりあえず、第一の難関は何とか乗り越えましたわね」

「ああ、これからが本番だ。血の海が出来上がるぞ」

 その日の夕方、突然の防衛戦の説明を国民から求められた秘密裏にしていた王配誘拐の話を国民に話した。国民の中には察していた者がかなりの数いたようで、驚きというよりもやはりかというリアクションをする者が多くみられた。

「今回ゴルムが攻めてきた理由は圧倒的力と技術を見せつけ、従属をスムーズに進める為の戦争だと私は考えている」

 今度は嘘を伝える。イリス女王には既に進軍してきた理由を話している。ティナが批判の的にされない為にそれらしい嘘をついてくれた。そして、次の発言をするための布石でもある。

「何とか平穏に我が夫を取り戻そうとしたが、こんな事をされてはもう我慢の限界だ。国の面子だけでなく、其方たちの生活を脅かすのなら平和的解決なんて望めない!よって、これよりゴルムに宣戦布告する!必ず王配を取り戻し!元の誰も怯える事のない平和な暮らしを取り戻そうではないか!!」

「「「「「「おおおおぉぉぉぉぉ!!イリス様バンザイ!!」」」」」」

 堂々とした開戦宣言。先程の嘘を布石にした事によって、怒りに震えていた国民達は狂喜乱舞する。平和を脅かす敵を自分から殲滅する事を約束してくれたのだから喜ぶのも納得だ。

 そして、その日の夜ゴルム進軍による作戦会議が開かれた。各部門のトップを招集した大会議である。俺とシャルロット、そしてティナは特別枠として参加することとなった。

「今動かせる戦闘員は合計で何人だ?」

「4万人ですわ」

「ううむ、半分か・・・余裕の勝利は見込めなさそうだな。しかし、問題はそこではない。問題は移動手段だ」

「普通なら船・・・ですが、移動魔法なんてモノ見せられたらねぇ」

 船で進軍している隙に移動魔法でがら空きになった王都を攻め落とされたら元も子もない。よって、今回の進軍には移動魔法かそれ以上の移動手段が求められる。そこで魔法部隊長が手を上げた。

「現在、あの移動魔法の研究を進めております」

「どのぐらいで終わる?」

「一週間ですかね。よりよい魔法を望むのであれば二週間かかります」

「二週間やる。兵士達にも休憩が必要だろうからな。魔法部隊は他の比べて大変だろうが頑張ってほしい」

「はっ!!」

 イリス女王の的確な指示でどんどん今後の展開が決まっていく中で、視線が俺達に向けられた。
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