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終章 未来へ導く光
178話 全てが繋がる
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「メルグーンの頭は弱点じゃなかったのか?」
こんな事が前にもあったような気がする。そう、初めてコンパスに来た頃。悪魔という存在を知った時に見たことがあった。
殺した体を悪魔が乗っ取るという現象。契約の履行だ。
ぽっかりと空いていた頭の穴を黒い膿のような物体が保護するように覆う。俺が潰した目も黒い膿で保護され、新しい目となっていく。
「ふぅ、とりあえずこれで良いかな?」
先程の壮大な喋り方はどこへ行ったのやら。メルグーンは流暢に喋り始めた。そしてその喋り方には覚えがある。
「まさか、リーか?」
メルグーンはニヤリといやらしく笑う。
「やあ、さっきぶりだねライタ・イガラシ。数時間ぶりの感動の再会のところ申し訳ないんだけど、僕の名前はリーではないんだ。本当の名前はリヴァ。悪魔さ」
アスモの時と同じ現象。そしてデジャブを感じさせる展開からなんとなく察していた。その為、あまり驚くことができなかった。
「ん?あんまし驚かないねぇ。もしかして初めてじゃない?」
「ああ、実は1ヶ月前にアスモっていう悪魔と出会っててな。あんまり新鮮じゃないんだ。ただ、俺の読みが外れて少し悔しいってぐらいさ」
俺達はメルグーンは悪魔だと推測していた。しかし、答えは非常に近かったが異なっていた。メルグーンは悪魔ではなく、悪魔と契約を交わした竜だったのだ。
「メルグーンは非常に見栄っ張りでナルシストな性格でね。僕のスキル『眷属』を上手く使って真実を大きく捻じ曲げたのさ」
「メルグーンが悪魔を倒してゴルムに平和をもたらしたという話か?」
「そう!それそれ!アイツも本当に腹立つ事してくれるよねぇ。本当は負けた癖に」
「負けた!?メルグーンは悪魔に負けたのか!?」
「ああ、負けたさ。それはもうボコボコにね。実際、メルグーンはあまり強くはなかっただろう?巫女の力を使ったとは言え、君でも殺せたんだから」
リヴァの言う通り、メルグーンは弱かった。俺の成長もあるのかもしれないが、脂肪に弾き飛ばされた時以外命の危機を感じた事は無かった。こんな竜が、ゴルムが強い竜なのかと疑問に思ったくらいだ。
恐らく、浄化の光を使わなくても倒せただろう。なんなら、ニアやムサシでも簡単に勝てたはずだ。
「負けたメルグーンは悪魔に懇願した。命だけはどうか助けてくれとさっきの死に様よりもより情けない姿で命乞いをしたんだ。笑えるだろ?そしたら悪魔はなんて言ったと思う?」
この話の流れ、事の顛末から察する事ができる。
「その顔!分かってるって顔だねぇ!その通りさ!悪魔は契約を交わさせた!『これより生まれてくる巫女を20年ごとに欠かさず食べる事。食べるのを怠った場合、肉体を譲渡する』って契約をね!僕と!したのさぁ!!」
リヴァは両前足を大きく広げて高らかに白状した。自分がゴルムのスパイラルを生み出した張本人である事を。
次の瞬間、俺の拳と足に光が宿る。ティナが悪魔を倒せと祈りを捧げる。
俺らの間に言葉なんか要らなかった。目を閉じていても分かる。やれば良いんだろ?ティナ。
「話が早くて助かるよ。それじゃあ、殺し合おうかぁ!!」
最後の戦いが幕を開ける・・・。
こんな事が前にもあったような気がする。そう、初めてコンパスに来た頃。悪魔という存在を知った時に見たことがあった。
殺した体を悪魔が乗っ取るという現象。契約の履行だ。
ぽっかりと空いていた頭の穴を黒い膿のような物体が保護するように覆う。俺が潰した目も黒い膿で保護され、新しい目となっていく。
「ふぅ、とりあえずこれで良いかな?」
先程の壮大な喋り方はどこへ行ったのやら。メルグーンは流暢に喋り始めた。そしてその喋り方には覚えがある。
「まさか、リーか?」
メルグーンはニヤリといやらしく笑う。
「やあ、さっきぶりだねライタ・イガラシ。数時間ぶりの感動の再会のところ申し訳ないんだけど、僕の名前はリーではないんだ。本当の名前はリヴァ。悪魔さ」
アスモの時と同じ現象。そしてデジャブを感じさせる展開からなんとなく察していた。その為、あまり驚くことができなかった。
「ん?あんまし驚かないねぇ。もしかして初めてじゃない?」
「ああ、実は1ヶ月前にアスモっていう悪魔と出会っててな。あんまり新鮮じゃないんだ。ただ、俺の読みが外れて少し悔しいってぐらいさ」
俺達はメルグーンは悪魔だと推測していた。しかし、答えは非常に近かったが異なっていた。メルグーンは悪魔ではなく、悪魔と契約を交わした竜だったのだ。
「メルグーンは非常に見栄っ張りでナルシストな性格でね。僕のスキル『眷属』を上手く使って真実を大きく捻じ曲げたのさ」
「メルグーンが悪魔を倒してゴルムに平和をもたらしたという話か?」
「そう!それそれ!アイツも本当に腹立つ事してくれるよねぇ。本当は負けた癖に」
「負けた!?メルグーンは悪魔に負けたのか!?」
「ああ、負けたさ。それはもうボコボコにね。実際、メルグーンはあまり強くはなかっただろう?巫女の力を使ったとは言え、君でも殺せたんだから」
リヴァの言う通り、メルグーンは弱かった。俺の成長もあるのかもしれないが、脂肪に弾き飛ばされた時以外命の危機を感じた事は無かった。こんな竜が、ゴルムが強い竜なのかと疑問に思ったくらいだ。
恐らく、浄化の光を使わなくても倒せただろう。なんなら、ニアやムサシでも簡単に勝てたはずだ。
「負けたメルグーンは悪魔に懇願した。命だけはどうか助けてくれとさっきの死に様よりもより情けない姿で命乞いをしたんだ。笑えるだろ?そしたら悪魔はなんて言ったと思う?」
この話の流れ、事の顛末から察する事ができる。
「その顔!分かってるって顔だねぇ!その通りさ!悪魔は契約を交わさせた!『これより生まれてくる巫女を20年ごとに欠かさず食べる事。食べるのを怠った場合、肉体を譲渡する』って契約をね!僕と!したのさぁ!!」
リヴァは両前足を大きく広げて高らかに白状した。自分がゴルムのスパイラルを生み出した張本人である事を。
次の瞬間、俺の拳と足に光が宿る。ティナが悪魔を倒せと祈りを捧げる。
俺らの間に言葉なんか要らなかった。目を閉じていても分かる。やれば良いんだろ?ティナ。
「話が早くて助かるよ。それじゃあ、殺し合おうかぁ!!」
最後の戦いが幕を開ける・・・。
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