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2章 2度目の人生の目標
16話 小さな緑の友達
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「はぁ・・・今日も成果なし。バール様に申し訳がない・・・」
失意の中、部屋に戻ってきたアルは、ベッドにダイブする。
「アル、大丈夫か?水飲む?」
落ち込むアルの背中を優しく叩いて心配してくれる小さな手。子供の手だろうか?いや、違う。ゴブリンの緑の手である。
「ありがとう・・・いただくよ」
ゴブリンの名前はゴップ。アルの親友であり、良い相談相手である。
小さい手から運ばれてきたコップの水を飲み、深く息を吐く。
「ふぅ・・・美味しい。ありがとね、ゴップ」
「お安いご用よ!それよりも、今日もダメだったのか?」
「ああ、全然。まるで成長がない。一体僕の何がダメなんだ・・・」
「アルはダメじゃないし、そこまで焦らなくても良いんじゃないかな?バール様も言ってるんでしょ?」
「ああ、ありがたい事にね。それでも、早く魔法が使えるようになりたいという気持ちは変わらないけどね」
「それは、やっぱり戦いに参加したいから?」
「そうだね。僕だけこんな所でぬくぬくと暮らしているわけにはいかないからね」
僕が、バール様に保護されてから早6年。10歳の頃から訓練を繰り返し、既に戦いに迎える適齢期になった。それでも、戦いに参加できないのは、魔法が未だに使えないからだ。
「こんなに良くしてもらってるのに、何にも役に立てないのは、すごく嫌なんだ。もっと、魔族の皆の役に立ちたい」
魔族の目的は、虐げられた挙句、地下へと追いやった他種族への復讐。そして、エンデ王国を魔族の国にする事。
僕は、僕に居場所を作ってくれた人達に居場所を与えたいんだ。
「でも、アルは怖くないの?」
「戦いがかい?そりゃあ、もちろん怖いけど─────」
「違うよ、同じヒュームと戦うのが」
「えっ?・・・・・・考えた事が無かったよ」
「そっか。オイラはすごく辛かったかな。オイラ、喋れるだろ?だから、他のゴブリンにすごく嫌われて、殺されかけて。助かる為に殺した事があるけど、辛かった」
「ゴップを殺そうとしたヤツを殺したのに?」
「それでも辛いよ。嫌いあってたとはいえ、同じ種族だったんだし」
ゴップは、世にも珍しい人語を話す、人と同レベルの知能を持ったゴブリン。
ゴブリンは、メスが存在しない為、人間のメスを孕ませて繁殖するという習性を持つ。
バール城の研究者曰く、人間の遺伝子が混ざり続けた結果、人間と同レベルの知能を手に入れたらしい。
研究者の見解だと、今後もジワジワと増えていくらしい。けど、現在確認されているのはゴップだけだ。
「アルには、この気持ち感じて欲しくないな・・・」
「・・・相変わらず優しいな、ゴップは」
「へへへ///よせやい」
その後、しばらく会話を続けた後、明日も早いので就寝した。けれども、僕はゴップの問いが頭を回って中々夢の世界へ向かう事が出来なかった。
「僕は、人を殺す事が出来るのだろうか?」
戦う意志はあるのに、殺せるか分からない。戦士として、未熟だと、自己嫌悪に陥ってしまった。
失意の中、部屋に戻ってきたアルは、ベッドにダイブする。
「アル、大丈夫か?水飲む?」
落ち込むアルの背中を優しく叩いて心配してくれる小さな手。子供の手だろうか?いや、違う。ゴブリンの緑の手である。
「ありがとう・・・いただくよ」
ゴブリンの名前はゴップ。アルの親友であり、良い相談相手である。
小さい手から運ばれてきたコップの水を飲み、深く息を吐く。
「ふぅ・・・美味しい。ありがとね、ゴップ」
「お安いご用よ!それよりも、今日もダメだったのか?」
「ああ、全然。まるで成長がない。一体僕の何がダメなんだ・・・」
「アルはダメじゃないし、そこまで焦らなくても良いんじゃないかな?バール様も言ってるんでしょ?」
「ああ、ありがたい事にね。それでも、早く魔法が使えるようになりたいという気持ちは変わらないけどね」
「それは、やっぱり戦いに参加したいから?」
「そうだね。僕だけこんな所でぬくぬくと暮らしているわけにはいかないからね」
僕が、バール様に保護されてから早6年。10歳の頃から訓練を繰り返し、既に戦いに迎える適齢期になった。それでも、戦いに参加できないのは、魔法が未だに使えないからだ。
「こんなに良くしてもらってるのに、何にも役に立てないのは、すごく嫌なんだ。もっと、魔族の皆の役に立ちたい」
魔族の目的は、虐げられた挙句、地下へと追いやった他種族への復讐。そして、エンデ王国を魔族の国にする事。
僕は、僕に居場所を作ってくれた人達に居場所を与えたいんだ。
「でも、アルは怖くないの?」
「戦いがかい?そりゃあ、もちろん怖いけど─────」
「違うよ、同じヒュームと戦うのが」
「えっ?・・・・・・考えた事が無かったよ」
「そっか。オイラはすごく辛かったかな。オイラ、喋れるだろ?だから、他のゴブリンにすごく嫌われて、殺されかけて。助かる為に殺した事があるけど、辛かった」
「ゴップを殺そうとしたヤツを殺したのに?」
「それでも辛いよ。嫌いあってたとはいえ、同じ種族だったんだし」
ゴップは、世にも珍しい人語を話す、人と同レベルの知能を持ったゴブリン。
ゴブリンは、メスが存在しない為、人間のメスを孕ませて繁殖するという習性を持つ。
バール城の研究者曰く、人間の遺伝子が混ざり続けた結果、人間と同レベルの知能を手に入れたらしい。
研究者の見解だと、今後もジワジワと増えていくらしい。けど、現在確認されているのはゴップだけだ。
「アルには、この気持ち感じて欲しくないな・・・」
「・・・相変わらず優しいな、ゴップは」
「へへへ///よせやい」
その後、しばらく会話を続けた後、明日も早いので就寝した。けれども、僕はゴップの問いが頭を回って中々夢の世界へ向かう事が出来なかった。
「僕は、人を殺す事が出来るのだろうか?」
戦う意志はあるのに、殺せるか分からない。戦士として、未熟だと、自己嫌悪に陥ってしまった。
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