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2章 2度目の人生の目標

19話 最高のコンビネーション

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 僕は、1人殺したのを皮切りに、戦いに参加した。敵の数は僅か100人程度。何故、この数でディナス領を滅ぼしたバール軍に喧嘩を売ったのか分からない。

 尖兵だろうか?それにしては強い気がする。

「死ねぇ!忌まわしきゴブリンめ!!」

「そっちが死ね!この野郎!!」

ゴップのナイフが、敵兵の首に刺さる。鎧は関節が弱点。矮躯な彼が、武装した敵を殺せる数少ない方法である。

「ゴブリンめ!よくも仲間を!!」

 ゴップの背後にいた敵兵。怒り心頭で剣を振り下ろす。素早いゴップでも、反応できないと判断した僕は、不意打ちを狙う敵兵を蹴って転ばした。

「ごめん!ありがとう!!」

「気にしないで!!それよりも自分の事気にして!!」

 転ぶ敵兵の首にナイフを落とす。敵だとしても、中途半端に刺したら、死ぬ時に苦しいことには変わりないと思うので、しっかりと差し込んで一思いに殺す。

「アル、大丈夫?」

「ああ、問題ないよ。怪我すらしてない。体力も有り余ってる。魔法は使えないけど」

「違うよ、君の心だよ。問題ない?」

 ゴップは心配していた。同胞を殺す苦しみを親友が感じていないか。

 だが、アルは生き物を殺すことに関して抵抗は感じつつも、同じ種族であるヒュームを殺すことにはあまり抵抗を感じていなかった。

「それも問題ない。気にしてくれてありがとうね」

「うん・・・!!あっ!アル、後ろ!!」

「ん?やばっ・・・!!」

 油断していた。後ろに敵兵が迫ってきていた。致命傷は回避できるかもしれないが、怪我は確定だ。

「生命を焦がす炎よ、我が手の中に生まれろ!!『ファイア』!」

 目の前にいるゴップの手の平に、小さな火の玉が発生。火の玉は僕の右頬を掠めるように通過し、迫る敵兵にぶつかった。

 形の定まっていない火は、敵兵の鎧の中へと難なく侵入し、中身を燃やし始めた。

「あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 僕を殺そうとしたが、そんな場合ではない。着火した火を消そうと地面を転がりまわるが、そもそも、鎧を着ている為、全然消えない。

 流石に可哀想と思ったので、首を刎ねて楽にしてあげた。

「どうよ!オイラの炎の魔法は!!」

「ああ、助かったよ」

 魔法属性は、人間だけの特権ではない。生物全てが有している。ゴップの属性は炎。四元素の中で1番殺傷能力が高い属性だ。

「このまま、倒していくよ!!」

「勿論!!」

 勢い付いた2人は、破竹の勢いで敵兵を倒していく。100以上はいた、鎧兵達はあっという間に数えられるほどまで数を減らしていた。
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