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2章 2度目の人生の目標

20話 1番会いたくないヤツ

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「くそっ・・・忌々しい魔族め・・・それに、あのガキ、ヒュームなのに何故あんな蛮族の味方をする?」

「裏切り者めが・・・!!」

「いいや、裏切り者ですらないよ。ヒュームでもなければ、魔族でもない中途半端なバケモノさ」

「どうしますか?。兵士の数も少ない事ですし、一旦引きますか?」

「いいや、引かない!!ぼくのパパの仇がすぐ近くにいるっていうのに、こんな所で逃げてたまるか!それに、ぼくらには秘密兵器があるじゃないか」

「・・・分かりました」


 数はどんどん減ってきている。兵士の士気は下がっている。なのに、何故まだ引かない?そろそろ撤退してもおかしくない数が犠牲になっているのに。

「おう、お前達生きてたのか」

「「カルー将軍!!」」

 返り血を浴びたカルー将軍が、やってきた。臓器がないので、息切れを起こしていないのには、少し羨ましさを感じざるを得ない。

「一体いつになったら、敵襲は止むんですか?」

「恐らくそろそろだ?」

「それは、長年の勘から?」

「いや、違う。敵将らしきヤツが出てきたからだ」

 今回の襲撃のリーダーらしき人物は、見当たらないが、一体どこにいるのだろう?

「それっぽい人は見えないですけど・・・」

「敵を見た目で判断しきるな。あそこにいるだろう?明らかに場違いなが」

 カルー将軍が指差す先には、確かにヒュームの子供がいた。身長から考えるに、12歳くらいだろうか?戦場に出てきて良い年齢ではない。

 倒れる部下を見下し、必死に戦う兵士を顎で使う。見ていてあまり気分の良い人物ではない。

 自分は偉くて、他の者はただの駒でしかない。そんな立ち振る舞いと、その顔に僕はとてもよく見覚えがあった。

「アル?どうしたの?何で、そんな放心した顔で、敵将の方に歩いて行ってるの?」

「アル、止まれ。これは上司からの命令だ。考えなしに向かっていくな・・・!!」

 無意識のうちに足が動いていた。敵兵の死体を避け、歩いていく。

 敵将の少年も僕に気づいて歩いてくる。部下である兵士達をまるで、ゴミのように踏み潰しながら。

 互いに声が聞こえる距離まで近づいた瞬間、互いの愛称を同じタイミングで呼んだ。

「アクア」「おにいちゃん」

 僕は恐らく、かなり険しい顔をしていたのだろう。今にも襲いかかりそうなくらい険しい顔を。

 何故、鏡も見ていないのに分かっただって?弟のアクアがとても愉快そうな笑みを浮かべていたからだ。

「見ない間に大きくなったね、アクア」

「おにいちゃんこそ。すっかり逞しくなったね」

 文字だけ見れば、兄弟の他愛無い会話。しかし、尋常ではない緊張感と殺気を互いに放っている。

 6年ぶりに再会した兄弟。互いに積もり積もった話があるだろう。

 さて、どんな話をしようか?

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 ・・・いや、会話何て必要ないか。

「「殺す!!」」

 互いに抜いた剣が、ぶつかり合う。兄弟の感動的再会は、たった1分で、殺し合いへと発展した。
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