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4章 魔王の肩書きを持つ少女
73話 まさかの再会
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「う~~ん・・・この程度の魔力じゃあ、ちょっと特定できないねぇ・・・」
その後、すぐに槍を持ってバール様の元へと直行。槍に含まれていた魔力を抽出してもらう事には成功したけど、量が少なすぎて、不可能だったみたいだ。
槍自体に魔力を注いでいるわけではないから、当然だろう。雀の涙程度しか試験管には入っていない。
「それよりも大丈夫かい?穴は塞がったかい?骨や内臓には何も不具合はないかい?」
「はい・・・大丈夫ですけど、何でそんなに気を使ってるんです?」
「いやぁ、無いみたいで良かった。よくやってくれたね、カルーの娘。ファインプレーだよ」
「いえ、私は当然の事をしたまでです」
「それはそうと、アスタロト。君は何という体たらくなんだ。もう少し幹部らしい活躍をしたらどうだい?奇襲程度で怪我とは・・・幹部の名が汚れるぞ?」
「なんだと・・・!!」
「2人共、喧嘩しないでください。今はそれよりもこの抽出した魔力が自然消滅する前に早く特定しないと・・・」
魔力は自然へと帰る性質を持つ。槍から抽出出来た量が少ないのはそれが原因だ。今は試験管に入れているお陰で消滅は抑えられているが、完璧というわけではなく、ゆっくりになっているだけである。
「なら、余の従者なら役に立つかもしれないな。不快な奴だが、才能は確かだ」
「へぇ・・・わたしを差し置いて天才とは・・・随分と頭がよろしいようで。それで?そいつの代表的な研究成果は?」
対抗意識を燃やすバール様。最近のバール様は感情豊かだな・・・。
「血液の抽出による魔法属性の判別だ。魔王様にディナス領を貰ったさいについてきた頭がいいだけのイラつく奴だ」
昨日会ったフードを深く被った人だろう。知り合いではないと言っていたけど、アスタロト様が提示した情報で確信した。あの人だ。
「既にゴップに頼んで連れてきている。入れ、クアンタ」
「は、はい・・・失礼、します・・・フヒヒ・・・」
ぼさぼさの髪の毛に汚い服。最初に出会ってから既に14年くらい経っているので、かなり老けているけど、面影は残っている。僕の魔法属性をした人・・・結果論に過ぎないが、僕が地下牢生活をするきっかけを作った人だ。
「やっぱり貴方だったんですね・・・」
「フヒヒ・・・大きくなっていて良かったです、アルフォース君・・・そして、ごめんなさい」
昨日の態度は罪悪感から来たものだったのだろう。別に僕はそれほど恨んでいないのにどうか気にしないでほしい。
「あれから研究が進みましてね・・・少量の魔力からでも、魔法属性が分かるようになったんです」
「この魔力の持ち主が誰かは特定できないのか?」
「この量ですと・・・魔法属性のみとなりますね」
「ちっ・・・まあ良い。さっさと始めろ」
何も得られないよりかはマシだ。準備はしてきたみたいで、持ってきた透明な液体入りの試験管に、抽出した魔力を注ぐと、変色が始める。
14年前に見た光景と同じだ。唯一違う点を挙げるなら、試験管に入れているのは血液ではなく、魔力そのものだという点のみ。
変色が完了した試験管の中の液体はレモン汁のような透明な黄色になっていた。見た事のない色なので、気になってみていると、淡く光り出した。
「光の魔法属性・・・!?どうして、この属性が!?」
闇の魔法属性と対を成す魔法属性。この世で最も珍しい魔法属性であり、天使又は勇者にのみ与えられる属性。つまり僕達を襲ったのは────。
「天使か勇者・・・」
魔王様の予知夢は、新魔王軍にとって、最悪の形で実現しかけているのかもしれない。
その後、すぐに槍を持ってバール様の元へと直行。槍に含まれていた魔力を抽出してもらう事には成功したけど、量が少なすぎて、不可能だったみたいだ。
槍自体に魔力を注いでいるわけではないから、当然だろう。雀の涙程度しか試験管には入っていない。
「それよりも大丈夫かい?穴は塞がったかい?骨や内臓には何も不具合はないかい?」
「はい・・・大丈夫ですけど、何でそんなに気を使ってるんです?」
「いやぁ、無いみたいで良かった。よくやってくれたね、カルーの娘。ファインプレーだよ」
「いえ、私は当然の事をしたまでです」
「それはそうと、アスタロト。君は何という体たらくなんだ。もう少し幹部らしい活躍をしたらどうだい?奇襲程度で怪我とは・・・幹部の名が汚れるぞ?」
「なんだと・・・!!」
「2人共、喧嘩しないでください。今はそれよりもこの抽出した魔力が自然消滅する前に早く特定しないと・・・」
魔力は自然へと帰る性質を持つ。槍から抽出出来た量が少ないのはそれが原因だ。今は試験管に入れているお陰で消滅は抑えられているが、完璧というわけではなく、ゆっくりになっているだけである。
「なら、余の従者なら役に立つかもしれないな。不快な奴だが、才能は確かだ」
「へぇ・・・わたしを差し置いて天才とは・・・随分と頭がよろしいようで。それで?そいつの代表的な研究成果は?」
対抗意識を燃やすバール様。最近のバール様は感情豊かだな・・・。
「血液の抽出による魔法属性の判別だ。魔王様にディナス領を貰ったさいについてきた頭がいいだけのイラつく奴だ」
昨日会ったフードを深く被った人だろう。知り合いではないと言っていたけど、アスタロト様が提示した情報で確信した。あの人だ。
「既にゴップに頼んで連れてきている。入れ、クアンタ」
「は、はい・・・失礼、します・・・フヒヒ・・・」
ぼさぼさの髪の毛に汚い服。最初に出会ってから既に14年くらい経っているので、かなり老けているけど、面影は残っている。僕の魔法属性をした人・・・結果論に過ぎないが、僕が地下牢生活をするきっかけを作った人だ。
「やっぱり貴方だったんですね・・・」
「フヒヒ・・・大きくなっていて良かったです、アルフォース君・・・そして、ごめんなさい」
昨日の態度は罪悪感から来たものだったのだろう。別に僕はそれほど恨んでいないのにどうか気にしないでほしい。
「あれから研究が進みましてね・・・少量の魔力からでも、魔法属性が分かるようになったんです」
「この魔力の持ち主が誰かは特定できないのか?」
「この量ですと・・・魔法属性のみとなりますね」
「ちっ・・・まあ良い。さっさと始めろ」
何も得られないよりかはマシだ。準備はしてきたみたいで、持ってきた透明な液体入りの試験管に、抽出した魔力を注ぐと、変色が始める。
14年前に見た光景と同じだ。唯一違う点を挙げるなら、試験管に入れているのは血液ではなく、魔力そのものだという点のみ。
変色が完了した試験管の中の液体はレモン汁のような透明な黄色になっていた。見た事のない色なので、気になってみていると、淡く光り出した。
「光の魔法属性・・・!?どうして、この属性が!?」
闇の魔法属性と対を成す魔法属性。この世で最も珍しい魔法属性であり、天使又は勇者にのみ与えられる属性。つまり僕達を襲ったのは────。
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