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4章 魔王の肩書きを持つ少女

80話 ミカエルの慈悲

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「・・・貴方は自分の人生を呪った事はないのですか?」

「ありますよ。地下牢に閉じ込められてた時はずっとね。それ以降は全く無いけど!」

「・・・幸せの感じ方は人それぞれ。それを否定する事はできませんね」

「流石、大天使ミカエル。話が分かるじゃないですか・・・」

「ですが、何事にも例外は存在します。概念の大きさに比例して例外も多くなります。DVや架空宗教信仰など、間違った幸せも存在します」

「・・・つまり、魔族が幸せになるのは間違ってると?」

「例外の中の例外といえますね」

「じゃあ、その例外、僕が変えてみせますよ・・・」

 何故、天使はここまで魔族を憎むのか。創造主であり管理者自体がそのような方針を貫いているのだろうか?

 分からないが、ただ言える事は、エゴの塊をぶち殺す。

「死ねぇ!!」

 初手はまず大振りな一撃。試しの攻撃は、何の苦も無く避けられる。

「死にません。死ねません」

「死なない?それは嘘ですね!!階級は違うとはいえ、貴女と同族であるエンジは毒も効いたし、死にました。それとも、例外だというのですか?」

「いいえ、違います。天使は死にません。この世で命を失ったとしても、魂は天へと戻ります」

「それを死ぬって言うんですよっ!!」

「解釈の違いです」

 まるで、僕と思考が違う。話していてイライラが積もっていくのが分かる。

「焼けるばかりじゃ、不利になるだけですよ!?」

「いいえ、それは違います。貴方の使っている銀の剣は地上の有機物生命体を簡単に屠る事ができます。それに、不利になっているのは貴方では?」

 その通り。一方的に攻撃しているせいで、体力がガリガリと削れている。あと数分もしないうちに体力切れで攻撃の精度がガタ落ちするだろう。

「アルフォースッッ!!」

「アスタロト様!?」

 アスタロト様の大弓から放たれた大矢が、ミカエルめがけて飛んでいく。

 ゴウッ!という音で風を切りながら飛んでいく大矢は、ミカエルの4枚ある翼のうち1枚を貫き、壁にめり込ませた。

「不快。矢で私の翼を固定し、行動を制限するとは・・・流石は魔王軍の幹部ですね」

「この程度で終わらん!!土固めれば、石より硬し『ランド・インパクト』」

 会議室の壁を壊しながら、大きな土の塊がミカエルに向かって飛んでいく。土の塊は、会議室を破壊しながら、ミカエルに激突した。

「なっ!!妾の城がぁ!!」

「そんな事言ってる場合じゃないだろう!わたし達も加勢するんだ!!」

 ランド・インパクトは見事に命中した。しかし、あの程度で死んだとはまるで思えない。

「また不快。素晴らしい二連撃でしたね。ですが、それでは私を滅ぼす事はできません」

 やはり、ミカエルは死んでいなかった。少し翼と衣が汚れただけだった。
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