魔法属性が遺伝する異世界で、人間なのに、何故か魔族のみ保有する闇属性だったので魔王サイドに付きたいと思います

町島航太

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6章 アルフォース・ディナスという異端

125話 ルイン領最後の抵抗

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「立派な屋敷だねぇ。まあ、わたしの研究所と比べたら圧倒的に劣るけど」

「門の上に家紋があります。どうやら、貴族の屋敷みたいですね。入ってみましょう」

 門を開け、中庭に足を踏み入れる。すると、頭の中に直接声が語りかけてきた。

『止まれ!!野蛮なる魔族と我々ヒュームの裏切り者よ!!ここは由緒正しきサルース家の屋敷だ!入れば命はない!』

「ほう、テレパシーかぁ。クリアに聞こえるから相当の使い手だね。でも、魔力の痕跡を残しすぎだ。どこにいるのか丸わかりだぞ?」

「落ち着いて下さい!えっと、サルース家の皆さん!戦争はもう終わりました!あなた達が攻撃を仕掛けなければ、命は必ず保証します!ですから─────」

『止まれと言ったのが聞こえなかったのか!!この裏切り者め!!』

「アル!危ないっ!!」

 右の真横から石弓の矢が飛んでくる。まだみれていないが、先に伝わってくる風の感覚で分かる。まもなく、僕のこめかみに刺さるだろう。

 僕が掴まなければ。

「よっと!」

『何ぃ!?馬鹿な!!石弓の一撃を見ずに止めただとぉ!そんな事があって良いのか!?』

「良いから止められたんでしょう?それに、今はそんな事はどうでも良い。今、攻撃しましたね?自動的に作動するトラップとかではなく、確実にあなたの意思で」

『あ、ああ!それの何が悪い!?』

「それはもう、絶対に降参しないという事で良いんですね?」

『勿論だ!我々は最後まで戦うぞ!!ルイン家とは違ってな!!』

「分かりました。では、こちらも全力で行かせてもらいます」

 蛇毒の銀の剣を抜き、構える。優しいアルの目つきは、切れ味の良い鋭い目つきへと変化を遂げた。

「アル、気をつけたまえ?ここは、トラップがかなりあるから」

「ご指示の方を頼めますか?」

「可愛いしもべの為だ。いいよ、やってあげよう」

 慈悲を与える機会を与えた。命も保証すると言った。にも関わらず、矢を飛ばすというのなら、こちらもそれ相応の態度を取らなければならない。

 石弓の矢は右から飛んできた。若干の軌道のブレがあったことから、人の手によって、放たれたと思われる。なので、矢が飛んできた方向に人が射手がいると思われる。なので、銀の剣を投擲した。

「ぐわぁぁぁぁぁ!!」

「良し、ヒット」

 案の定人がいたらしい。刺さりは浅いが、じきに蛇毒で死に至るだろう。不意打ちをしてきたんだから、ゆっくり苦しんで死んでも何も文句は言えまい。

 それにしても、サルース家。何処かで聞いた名前だが、いつ聞いたのか、思い出せない。

 気になるけど、戦いの邪魔になるので、隅に置いておこう。
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