魔法属性が遺伝する異世界で、人間なのに、何故か魔族のみ保有する闇属性だったので魔王サイドに付きたいと思います

町島航太

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6章 アルフォース・ディナスという異端

127話 僕は何故闇なの?

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「その顔・・・まさか、マリィの息子!?」

「何ィ!?という事はコイツがワシらの孫なのか?」

 しかも、先程まで刃物で殺し合っていた夫婦は僕の祖父母ときた。何と数奇な運命だろう。

 そして、何と幸運な運命だろう。まさか、こんな所で母親を殺した仇に会えるだなんて・・・。

「貴方達が母さんを殺した・・・そうだな!?」

「闇属性を持ったお前を産んだんだぞ!?殺して当然だ!!」

「あの子を殺さなかったら、私達はどうなっていたと思う?虐殺よ!!虐殺!!仕方のない事だったの!!」

 エンデ王国では、魔族は最も忌み嫌われる存在。そんな種族と同じ特徴を持っている子供を産んだと知られたら、祖母の言う通り、母さんだけでなく、サルース家ごと滅ぼされていただろう。

 そう言われたら、正しい判断だろう。誰もがそうする。僕だってそうするかもしれない。

 しかし、正しい判断というだけで片付けられない感情がある。どんなに正しい判断だったとはいえ、目の前にいる祖父母が僕の母さんを殺したのには変わりない。

 正当な理由で怒りが収まるとは限らない。

「貴方達は、魔王軍に投降する気はないんですよね?ここで、死ぬんですよね?」

「当たり前だ!!」

「けど、お前を生かしては死ねない!絶対にお前を殺してからあの世に行ってやる!!」

「そうですか・・・・・フンッ!!」

 血縁上の祖母の首を刎ねる。怒りに任せて振るったが、一太刀で刎ねる事ができてよかった。

「ひぃぃぃ!!この人殺しめ!!お前には必ず神々の裁きが下るだろう!!」

「戦争中に善悪なんて解かないで下さい。この戦いに善も悪もありません。あるのは勝者だけです。それと、貴方も人殺しですよ」

 前世の言葉で言うならば、ブーメラン刺さってるかな?

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 叫ぶ血縁上の祖父の脳天から真っ直ぐ剣を振り下ろす。祖父の体は左右に裂け、内臓が飛び出し、床は血の池と化した。

「アル・・・君って怒ると本当に凄いねぇ」

「すみません、バール様。見苦しい所をお見せしました」

「構わんよ。むしろ君の別の一面がみれて嬉しい。さて、最後の肉親を殺した感想はあるかい?」

「・・・僕って何なんだろうなって思いました」

「というと?」

「父さんも母さんも水属性なのに、僕は闇属性。弟は水属性。僕は一体誰の子なんだろうなって・・・」

 魔法属性は遺伝する。光の魔法属性を除いて。闇の魔法属性も勿論、遺伝する。

 だけど、どんなに調べてもディナスにもサルースにも闇の魔法属性の人間はいない。僕は一体何で闇の魔法属性を手に入れたんだ?

「気になるなら、調べてみたらどうかな?君に2週間の休みを与える。その間に君自身の正体を見出してきたまえ」

「良いんですか?そんな事したら、バール様の部屋が────」

「大丈夫さ!考えはある。まあ、とりあえず今日のところは休んで明日から自分探しをしてみようじゃないか」

 自分探し。前世でもやった事がない。だが、やる価値はありそうだ。

「はい。ありがとうございます・・・」

 とりあえず、今日は仮拠点に戻って疲れを取ろう。お腹が減って仕方がない。

 アルとバールは馬に乗ってら仮拠点へと戻った。
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