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最終章 勝利の為なら手段は選ばず
168話 ラファエル
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ガブリエルを倒した途端、機械のように動き、魔王軍を苦しめていたエンデ兵の動きがピタリと止まり、目に生気が宿る。
操られている時の記憶はないようで、混乱しており、その隙に魔王兵によってトドメを刺されてしまう。
形成逆転のチャンスが、一気にピンチへと変わった瞬間である。そんな惨事になりながらも、大天使ラファエルは冷静を保っていた。
冷静という言葉は彼のためにあるのではないのか?と思わせるほどに彼は静かで、何事にも動じていなかった。
「ガブリエル・・・だから言っただろう?この世に善と悪は存在しない。それは、個人の感情に過ぎないと。それに流されたら、お前は負けると・・・」
ラファエルは、ガブリエルの敗北を予期していた。だから、冷静ではなく、常に冷静であるが故に動揺していない。
兵士の7割は既に散ってしまった。そのうち半分は、何がなんだかわからず死んだのだろう。
「勝てる見込みは低い・・・しかし、降参はできない。ニグン様からの命令だからな・・・」
斧を手の中に出現させ、構えると、再び空に向かって飛ぶ。空を飛び回りはせずに、最前線に立った。
「大天使ラファエルだな?」
「そういう貴様は、アスタロトだな?今世で最高のケンタウロス。岩をも砕く一撃を放つ弓手。接近戦はお前の専門外だろう?」
「専門外?何を言っている。戦いのことならば、全て余の専門内だ!」
弓矢を納め、山刀を構える。素晴らしい戦士だ。彼と戦えるだけで、下界に降りてきた意味がある。
「行くぞ・・・!!」
ラファエルの剛腕から振り下ろされる斧。アスタロトはそれを真正面から真剣白刃取りで受け止める。見事な白刃取りだったが、腕力が凄まじく、受け止めたと油断したら、すぐに手から溢れてしまいそうだ。
「ふんっ!!」
巨体を用いたタックルをかまし、ラファエルを後退。落とした山刀を手に取り、ラファエルに打ち込む。ラファエルはそれを斧の柄の部分で全て受け止め、山刀を刃毀れさせた。
「クソッ!こっちも魔族の剣にしておくべきだった!!」
「残念だ。この場が戦争ではなく、試合ならば、新たな武器を貸し与えて、もう一度刃を交えているのだが、生憎今は敵同士。すまないが、殺させてもらう」
「斧が、アスタロトに向かって振り下ろされる。アスタロトは接近戦用の武器が壊れても諦めることはなく、己の首を刎ねようとする斧を避けようとするが──────」
「危ないっ!!」
間一髪で、間に合ったアルのシャドウ・ハンドによって斧は止められた。
「アル!本当に助かった!!」
「アルフォース・ディナス。運命に翻弄された転生者だな?」
「貴方は僕のことを裏切り者とは言わないんだね」
「私はそこまで落ちぶれていないさ」
操られている時の記憶はないようで、混乱しており、その隙に魔王兵によってトドメを刺されてしまう。
形成逆転のチャンスが、一気にピンチへと変わった瞬間である。そんな惨事になりながらも、大天使ラファエルは冷静を保っていた。
冷静という言葉は彼のためにあるのではないのか?と思わせるほどに彼は静かで、何事にも動じていなかった。
「ガブリエル・・・だから言っただろう?この世に善と悪は存在しない。それは、個人の感情に過ぎないと。それに流されたら、お前は負けると・・・」
ラファエルは、ガブリエルの敗北を予期していた。だから、冷静ではなく、常に冷静であるが故に動揺していない。
兵士の7割は既に散ってしまった。そのうち半分は、何がなんだかわからず死んだのだろう。
「勝てる見込みは低い・・・しかし、降参はできない。ニグン様からの命令だからな・・・」
斧を手の中に出現させ、構えると、再び空に向かって飛ぶ。空を飛び回りはせずに、最前線に立った。
「大天使ラファエルだな?」
「そういう貴様は、アスタロトだな?今世で最高のケンタウロス。岩をも砕く一撃を放つ弓手。接近戦はお前の専門外だろう?」
「専門外?何を言っている。戦いのことならば、全て余の専門内だ!」
弓矢を納め、山刀を構える。素晴らしい戦士だ。彼と戦えるだけで、下界に降りてきた意味がある。
「行くぞ・・・!!」
ラファエルの剛腕から振り下ろされる斧。アスタロトはそれを真正面から真剣白刃取りで受け止める。見事な白刃取りだったが、腕力が凄まじく、受け止めたと油断したら、すぐに手から溢れてしまいそうだ。
「ふんっ!!」
巨体を用いたタックルをかまし、ラファエルを後退。落とした山刀を手に取り、ラファエルに打ち込む。ラファエルはそれを斧の柄の部分で全て受け止め、山刀を刃毀れさせた。
「クソッ!こっちも魔族の剣にしておくべきだった!!」
「残念だ。この場が戦争ではなく、試合ならば、新たな武器を貸し与えて、もう一度刃を交えているのだが、生憎今は敵同士。すまないが、殺させてもらう」
「斧が、アスタロトに向かって振り下ろされる。アスタロトは接近戦用の武器が壊れても諦めることはなく、己の首を刎ねようとする斧を避けようとするが──────」
「危ないっ!!」
間一髪で、間に合ったアルのシャドウ・ハンドによって斧は止められた。
「アル!本当に助かった!!」
「アルフォース・ディナス。運命に翻弄された転生者だな?」
「貴方は僕のことを裏切り者とは言わないんだね」
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