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最終章 勝利の為なら手段は選ばず
175話 神の炎よ、もう一度
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「そう、だったな・・・お前はそのようにしてイヴ・シフォンヌも仕留めたんだったな・・・」
「スパイ活動、それが僕の得意分野だったので」
「我もそうやって騙されたな・・・・・そして、今回はお前だけでなく、魔王と勇者に騙されたわけだ」
「・・・ごめんなさい」
「謝る事はない。全ては勝利の為にやった事。ニグン様の味方であるのにこういう事を言うのは良くないが、お前達の作る国は少なくとも今のエンデよりも遥かにマシだろう。安心して死ねる・・・だが、いつまでも自分が騙される側だと思うなよ?」
「ッッ!!しまっ────」
異変に気が付いたのは、銀の剣に付着していたはずの血が綺麗さっぱりなくなっていた時。気づくのにあまりにも時間をかけすぎてしまった。
「お前が後ろから迫っている事に気づいていないとでも思っていたか?甘いな。不意打ちを狙う事なんて最初から予期している。お前でなくてもな」
ウリエルはアルの横に移動していた。いや、立っていたと言った方が正しいだろうか?
結論を言うと、アルが刺したのは、ウリエルが直前に作り出した幻。触感までもリアルに再現した高品質の偽りのウリエルだった。アルの脇腹に、鋭い痛みが走る。アルの脇腹は、ウリエルの光の剣によって貫かれていた。認識した瞬間、刺された箇所が燃えるように熱くなる。
「あぁ・・・この感覚、懐かしい・・・前世で死んだ時もこんな感じだったっけ」
「お前の前世での死に方までは把握していなかった。すまない、トラウマを思い出させてしまったか?」
「いいや、寧ろ昔の事思い出して黄昏る事ができたから嬉しいかな?忘れかけていた思い出を思い出させてくれてありがとう。それと────」
脇腹を刺されたまま、ウリエルを抱きしめ、拘束する。光の剣が更に深く刺さろうが構わず接近する。
「何をする気だ!まさか、自爆!?」
「自爆?そんなのしませんし、できませんよ!ケルビム!今だ!ウリエルから炎を奪え!!」
ウリエルの操る炎は、神の炎と同質の炎。ならば、神の炎で吸収すれば、一度だけかもしれないが、再び力を取り戻す事が出来る。
「吸収・・・どうやってやればいいかな?」
「分かんない!とにかくやってみて!」
「アルフォースの頼みなら・・・んん・・・!!」
何も分からないながらに、神の炎に念じ始めるケルビム。力の放出が出来るなら、力の吸収もできるはず・・・頼む、神の炎よ、もう一度ケルビムに力を────。
願いが届いたのか、定かではない。けど、神の炎は僕の読み通り、ウリエルの炎の剣から炎を吸収し、フルパワーの時よりかは劣るものの、力を蓄える事に成功した。
「ケルビム!これで最後で良い!!最後の勇者の一撃を放ってくれ!」
「・・・分かった。アル、死なないでね・・・・・・」
大きく振りかぶり、狙いを定める。僕はウリエルが逃げないように掴み続けた。
「覚悟・・・!!」
狙いをしっかりと定めたケルビムは燃え盛る神の炎を振り下ろし、奪った炎をウリエルに向かって解き放つ。
放った瞬間、神の炎は役目を終えたかのように粉々に砕け、光となって空に向かって飛んでいった。
しかし、神の炎が砕けた事なんてどうだっていい。ケルビム達が気になるのはアルとウリエルの生死である。
天使として美しい容姿をしていたウリエルは、黒焦げており、アルは若干服と皮膚を燃やされながらも無事に生還していた。
「ふう・・・熱いね」
「流石アルフォース。絶対に大丈夫だと思った」
ケルビムは彼の胸に飛び込むように抱き着き、空へ飛んでいく神の炎の欠片を見えなくなるまで、じっと見つめ続けた。
「スパイ活動、それが僕の得意分野だったので」
「我もそうやって騙されたな・・・・・そして、今回はお前だけでなく、魔王と勇者に騙されたわけだ」
「・・・ごめんなさい」
「謝る事はない。全ては勝利の為にやった事。ニグン様の味方であるのにこういう事を言うのは良くないが、お前達の作る国は少なくとも今のエンデよりも遥かにマシだろう。安心して死ねる・・・だが、いつまでも自分が騙される側だと思うなよ?」
「ッッ!!しまっ────」
異変に気が付いたのは、銀の剣に付着していたはずの血が綺麗さっぱりなくなっていた時。気づくのにあまりにも時間をかけすぎてしまった。
「お前が後ろから迫っている事に気づいていないとでも思っていたか?甘いな。不意打ちを狙う事なんて最初から予期している。お前でなくてもな」
ウリエルはアルの横に移動していた。いや、立っていたと言った方が正しいだろうか?
結論を言うと、アルが刺したのは、ウリエルが直前に作り出した幻。触感までもリアルに再現した高品質の偽りのウリエルだった。アルの脇腹に、鋭い痛みが走る。アルの脇腹は、ウリエルの光の剣によって貫かれていた。認識した瞬間、刺された箇所が燃えるように熱くなる。
「あぁ・・・この感覚、懐かしい・・・前世で死んだ時もこんな感じだったっけ」
「お前の前世での死に方までは把握していなかった。すまない、トラウマを思い出させてしまったか?」
「いいや、寧ろ昔の事思い出して黄昏る事ができたから嬉しいかな?忘れかけていた思い出を思い出させてくれてありがとう。それと────」
脇腹を刺されたまま、ウリエルを抱きしめ、拘束する。光の剣が更に深く刺さろうが構わず接近する。
「何をする気だ!まさか、自爆!?」
「自爆?そんなのしませんし、できませんよ!ケルビム!今だ!ウリエルから炎を奪え!!」
ウリエルの操る炎は、神の炎と同質の炎。ならば、神の炎で吸収すれば、一度だけかもしれないが、再び力を取り戻す事が出来る。
「吸収・・・どうやってやればいいかな?」
「分かんない!とにかくやってみて!」
「アルフォースの頼みなら・・・んん・・・!!」
何も分からないながらに、神の炎に念じ始めるケルビム。力の放出が出来るなら、力の吸収もできるはず・・・頼む、神の炎よ、もう一度ケルビムに力を────。
願いが届いたのか、定かではない。けど、神の炎は僕の読み通り、ウリエルの炎の剣から炎を吸収し、フルパワーの時よりかは劣るものの、力を蓄える事に成功した。
「ケルビム!これで最後で良い!!最後の勇者の一撃を放ってくれ!」
「・・・分かった。アル、死なないでね・・・・・・」
大きく振りかぶり、狙いを定める。僕はウリエルが逃げないように掴み続けた。
「覚悟・・・!!」
狙いをしっかりと定めたケルビムは燃え盛る神の炎を振り下ろし、奪った炎をウリエルに向かって解き放つ。
放った瞬間、神の炎は役目を終えたかのように粉々に砕け、光となって空に向かって飛んでいった。
しかし、神の炎が砕けた事なんてどうだっていい。ケルビム達が気になるのはアルとウリエルの生死である。
天使として美しい容姿をしていたウリエルは、黒焦げており、アルは若干服と皮膚を燃やされながらも無事に生還していた。
「ふう・・・熱いね」
「流石アルフォース。絶対に大丈夫だと思った」
ケルビムは彼の胸に飛び込むように抱き着き、空へ飛んでいく神の炎の欠片を見えなくなるまで、じっと見つめ続けた。
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