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アイスドラゴンのゾフィー
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私とリアリさんは地下草原の隣にある森へと入ってきた。
リアリさんの話によると草原や森以外にも砂漠があるらしい。
本当にどうやって作ったのだろうかここは。
「あれ?何処ですかここ?」
ずっと後ろをついてきていたらいつの間にか花が沢山咲いている場所に来ていた。
花はとても美しく咲いており、一瞬だが地下にいるということを忘れさせてくれる。
「綺麗ですね」
「でしょ?結構咲かすのに苦労したんだから・・・ってあれ?ゾフィーがいない」
ゾフィー?誰だろうその人は?
リーベで働いている人だろうか。
「ゾフィー?どこ行ったの?ゾフィー」
まるで何処かにいってしまった小犬を探すかのように大声を出すリアリはそこら辺を歩きまわってゾフィーという人物を探す。
その時だった。
頭上からバサッバサッという羽が空を切る音と共にとても強い風が襲ってくる。
慌てて頭上を見上げてみるとそこには、アイスブルー色の美しい鱗に全身が覆われた巨大なドラゴンがいた。
「あれがアイスドラゴン・・・」
「あ!いたゾフィー!何処言ってたのよ!」
「え!あのドラゴンがゾフィーなんですか?」
てっきり人の名前だと思っていたが、まさかアイスドラゴンの名前だとは思いも寄らなかった。
ゾフィーは私達がいることを確認すると数m前の所で着地し、羽を下ろす。
「紹介するねメイル。この子がジンが育てたアイスドラゴンのゾフィー!」
ゾフィーは人の言葉を理解することが出来るのか、リアリさんか私に紹介されるとぺこりと頭を下げた。
私も思わず頭を下げてしまう。
「どう?初めて見るドラゴンは?」
「とても美しくて言葉では表現出来そうにありません」
絵本でしかドラゴンは見たことがなかったが、絵本の絵そっくりでちょっと嬉しくなる。
それにしてもなんて美しい鱗なのだろう。
宝石とはまた違った美しさだ。
思わず触りたくなってしまうが、ちょっとそれはゾフィーに失礼かなと思ったのでやめておく。
「それじゃあ今からアイスドラゴンについて教えるね。アイスドラゴンは極寒の大陸って大陸出身のドラゴンなの」
「この大陸のではないのに何故ここにいるんですか?」
「ジンが極寒の大陸に言ったときにアイスドラゴンの卵をもって帰ってきたのよ。私は信じてないけど死にかけてたゾフィーの親に育ててくれって頼まれたんだって。ドラゴンにお願い事されるってあり得なくない?」
ゾフィーの親。
つまりゾフィーを生んだ親のアイスドラゴンから頼まれたということだ。
リアリさんの言う通りちょっと信じられない。
あの人は本当に育ててくれとお願いされたのだろうか。
その真実は本人のみが知る事である。
「まあ、それは置いといて私は今の話は信じてないけど、ゾフィーを連れてきたのは正解だと思ってるわ」
「どうしてですか?もしかしてアイスドラゴンに何かあったんですか?」
「ええ、アイスドラゴンは今絶滅の危機なの。今生きている個体はゾフィーを含めて20体しかいないと言われているわ」
「に、20体!?」
あまりにも少なすぎる。
何故そんなにも少なくなってしまったのだろうか。
「少ないでしょ?原因は私達人間なのよ」
とても悲しい顔でリアリさんは話を続ける。
「アイスドラゴンの鱗はとても綺麗でしょ?だからそれを狙って人間はアイスドラゴン狩りをしたの。それで・・・」
「アイスドラゴンは減ってしまった・・・」
人間というのは本当に勝手だ。
自分達の欲の為に他の命まで奪ってしまう。
人さえいなければゾフィーもきっと親と一緒に暮らしていたことであろう。
不幸中の幸いとしてモンスターに優しいジンさんに拾われて良かったなと心の奥でホッとする。
心のない人に拾われていたらどうなっていただろうか、考えただけでもゾッとする。
「じゃあ、もう暗い話は止めて、ドラゴンの事について勉強しましょうか!」
「え!あ、はい!」
いきなりの話の軌道変化に驚くも、ちゃんと返事をする。
「ドラゴンって言うのはね見ての通りとっても大きくてね、子供でも全長5mあるのよ」
「へえーおっきいですねー。ゾフィーはどのぐらいあるんですか?」
「ゾフィーは今4mよ。孵化してから3年でこの大きさはまあまあね」
キラキラとヒカリゴケで照らされているアイスブルーの鱗を撫でながら語るリアリさんの顔はとても嬉しそうだった。
我が子が成長していくのが、嬉しいように赤ちゃんの頃から育ててきたドラゴンが成長するのが嬉しいのだろう。
「大人はどのぐらい大きくなるんですか?」
「うーん、と。多分8mぐらいかな?私も大人のドラゴンは見たことがないから分からない」
つまり、ゾフィーの倍あると言うことだ。
いつかゾフィーも大人になったらそのぐらい大きくなるのか。
いや、もしかしたらそれ以上にもなるかもしれない。
「いや、大人だと大体15mぐらいだな。8m代は14歳ぐらいのドラゴンだな」
「ジンさん!?」
いつの間にか後ろにいたジンさんはゾフィーの元へと歩いて行き、近付くと立派なツノが生えた頭部を優しく撫でる。
ゾフィーはとても気持ち良さそうにジンさんの受け入れた。
ご主人様が来てくれて嬉しいのだろう。
「ちょ、ちょっとあんたお店の準備は?」
「もう終わったよ。後はcloseの看板をopenにするだけだ」
流石は超人店長仕事が早い。
それにしてもゾフィーは本当にジンさんになついている。
まるでご主人様に忠実な犬のようだ。
「まだリアリにはモンスターの説明は早かったみたいだね。変わってあげよう」
「ええー!何でよー!ここで先輩の威厳を見せないとこれからの私の立場が──」
「そんなものいらないよこの店で!もう、何でお前はいつもカッコつけたがるんだ」
プクーと頬を膨らませて拗ねてしまったリアリさんはなんか可愛い。
こういう事をしたら逆に威厳がなくなってしまうのではないのか。
「じゃあ簡単にゾフィーの世話の仕方を教えてあげよう。これは全てのドラゴンに当てはまる事だからよく聞いといてね」
「はい!」
「ドラゴンは肉食系だ、だから牛肉を与えてる。後は、1週間に一度ぐらいに体に洗って上げてくれ。以上がゾフィーのお世話の仕方だ」
「あれ?以外とシンプルなんですね。ドラゴンは珍しいからもっと難しいと思いました」
「いや、そんな事ないよ。多分ガイアリザードの方が難しいと思う。けど絶対に怒らせちゃいけないよ怒らせたら──」
やっぱりニードルラビットにもあったように怒らせたら攻撃されるのだろうか。
羽の風圧で吹き飛ばされるとか。
「口から冷凍ブレス吐いて凍らせちゃうから」
「なにそれー・・・」
やっぱりドラゴンのお世話は難しそうだ。
リアリさんの話によると草原や森以外にも砂漠があるらしい。
本当にどうやって作ったのだろうかここは。
「あれ?何処ですかここ?」
ずっと後ろをついてきていたらいつの間にか花が沢山咲いている場所に来ていた。
花はとても美しく咲いており、一瞬だが地下にいるということを忘れさせてくれる。
「綺麗ですね」
「でしょ?結構咲かすのに苦労したんだから・・・ってあれ?ゾフィーがいない」
ゾフィー?誰だろうその人は?
リーベで働いている人だろうか。
「ゾフィー?どこ行ったの?ゾフィー」
まるで何処かにいってしまった小犬を探すかのように大声を出すリアリはそこら辺を歩きまわってゾフィーという人物を探す。
その時だった。
頭上からバサッバサッという羽が空を切る音と共にとても強い風が襲ってくる。
慌てて頭上を見上げてみるとそこには、アイスブルー色の美しい鱗に全身が覆われた巨大なドラゴンがいた。
「あれがアイスドラゴン・・・」
「あ!いたゾフィー!何処言ってたのよ!」
「え!あのドラゴンがゾフィーなんですか?」
てっきり人の名前だと思っていたが、まさかアイスドラゴンの名前だとは思いも寄らなかった。
ゾフィーは私達がいることを確認すると数m前の所で着地し、羽を下ろす。
「紹介するねメイル。この子がジンが育てたアイスドラゴンのゾフィー!」
ゾフィーは人の言葉を理解することが出来るのか、リアリさんか私に紹介されるとぺこりと頭を下げた。
私も思わず頭を下げてしまう。
「どう?初めて見るドラゴンは?」
「とても美しくて言葉では表現出来そうにありません」
絵本でしかドラゴンは見たことがなかったが、絵本の絵そっくりでちょっと嬉しくなる。
それにしてもなんて美しい鱗なのだろう。
宝石とはまた違った美しさだ。
思わず触りたくなってしまうが、ちょっとそれはゾフィーに失礼かなと思ったのでやめておく。
「それじゃあ今からアイスドラゴンについて教えるね。アイスドラゴンは極寒の大陸って大陸出身のドラゴンなの」
「この大陸のではないのに何故ここにいるんですか?」
「ジンが極寒の大陸に言ったときにアイスドラゴンの卵をもって帰ってきたのよ。私は信じてないけど死にかけてたゾフィーの親に育ててくれって頼まれたんだって。ドラゴンにお願い事されるってあり得なくない?」
ゾフィーの親。
つまりゾフィーを生んだ親のアイスドラゴンから頼まれたということだ。
リアリさんの言う通りちょっと信じられない。
あの人は本当に育ててくれとお願いされたのだろうか。
その真実は本人のみが知る事である。
「まあ、それは置いといて私は今の話は信じてないけど、ゾフィーを連れてきたのは正解だと思ってるわ」
「どうしてですか?もしかしてアイスドラゴンに何かあったんですか?」
「ええ、アイスドラゴンは今絶滅の危機なの。今生きている個体はゾフィーを含めて20体しかいないと言われているわ」
「に、20体!?」
あまりにも少なすぎる。
何故そんなにも少なくなってしまったのだろうか。
「少ないでしょ?原因は私達人間なのよ」
とても悲しい顔でリアリさんは話を続ける。
「アイスドラゴンの鱗はとても綺麗でしょ?だからそれを狙って人間はアイスドラゴン狩りをしたの。それで・・・」
「アイスドラゴンは減ってしまった・・・」
人間というのは本当に勝手だ。
自分達の欲の為に他の命まで奪ってしまう。
人さえいなければゾフィーもきっと親と一緒に暮らしていたことであろう。
不幸中の幸いとしてモンスターに優しいジンさんに拾われて良かったなと心の奥でホッとする。
心のない人に拾われていたらどうなっていただろうか、考えただけでもゾッとする。
「じゃあ、もう暗い話は止めて、ドラゴンの事について勉強しましょうか!」
「え!あ、はい!」
いきなりの話の軌道変化に驚くも、ちゃんと返事をする。
「ドラゴンって言うのはね見ての通りとっても大きくてね、子供でも全長5mあるのよ」
「へえーおっきいですねー。ゾフィーはどのぐらいあるんですか?」
「ゾフィーは今4mよ。孵化してから3年でこの大きさはまあまあね」
キラキラとヒカリゴケで照らされているアイスブルーの鱗を撫でながら語るリアリさんの顔はとても嬉しそうだった。
我が子が成長していくのが、嬉しいように赤ちゃんの頃から育ててきたドラゴンが成長するのが嬉しいのだろう。
「大人はどのぐらい大きくなるんですか?」
「うーん、と。多分8mぐらいかな?私も大人のドラゴンは見たことがないから分からない」
つまり、ゾフィーの倍あると言うことだ。
いつかゾフィーも大人になったらそのぐらい大きくなるのか。
いや、もしかしたらそれ以上にもなるかもしれない。
「いや、大人だと大体15mぐらいだな。8m代は14歳ぐらいのドラゴンだな」
「ジンさん!?」
いつの間にか後ろにいたジンさんはゾフィーの元へと歩いて行き、近付くと立派なツノが生えた頭部を優しく撫でる。
ゾフィーはとても気持ち良さそうにジンさんの受け入れた。
ご主人様が来てくれて嬉しいのだろう。
「ちょ、ちょっとあんたお店の準備は?」
「もう終わったよ。後はcloseの看板をopenにするだけだ」
流石は超人店長仕事が早い。
それにしてもゾフィーは本当にジンさんになついている。
まるでご主人様に忠実な犬のようだ。
「まだリアリにはモンスターの説明は早かったみたいだね。変わってあげよう」
「ええー!何でよー!ここで先輩の威厳を見せないとこれからの私の立場が──」
「そんなものいらないよこの店で!もう、何でお前はいつもカッコつけたがるんだ」
プクーと頬を膨らませて拗ねてしまったリアリさんはなんか可愛い。
こういう事をしたら逆に威厳がなくなってしまうのではないのか。
「じゃあ簡単にゾフィーの世話の仕方を教えてあげよう。これは全てのドラゴンに当てはまる事だからよく聞いといてね」
「はい!」
「ドラゴンは肉食系だ、だから牛肉を与えてる。後は、1週間に一度ぐらいに体に洗って上げてくれ。以上がゾフィーのお世話の仕方だ」
「あれ?以外とシンプルなんですね。ドラゴンは珍しいからもっと難しいと思いました」
「いや、そんな事ないよ。多分ガイアリザードの方が難しいと思う。けど絶対に怒らせちゃいけないよ怒らせたら──」
やっぱりニードルラビットにもあったように怒らせたら攻撃されるのだろうか。
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