雨の日のお伽噺

雨月 千疾

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雨の人

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雨が降り出した
いつにも増して大雨だった
雨が降り続けて川ができた
川の向こうに女の人が居た
雨に濡れながらも僕を見ている
『こっちにおいで』
遠くにいるはずなのに
耳元で囁かれたように聞こえた
川の向こうの人はとても綺麗な人だった
どこか懐かしい人でもあった
川を渡ろうと足元を見た
『君は変わったね』
小さな声が大きく響いた
顔をあげると女の人は居なくなっているのに
声だけが残っていた
『前の君が好きだったよ』
僕はいつまでも僕だよ
『一緒に雨を眺めた日はいい日だったね』
うん
僕に人と雨を眺めた記憶はないのに
いい日だったと思う
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