運命を刻む者たち

ペルシャ猫

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死を望む者2

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 ビリブは外で戦いを探すのを諦め、元いた王宮へと帰って来ていた。
(やっぱり駄目だったか。誰か敵が中にいて私のことを殺してくれたらな)
 ビリブは自分が目的を持って行動すると絶対に成功しないことを自らの経験から学んでいた。どんなに簡単なことでもやりたいと思うと出来ないのだった。そこでビリブは何もしないようにした。ただ、運命に身を任せたのだった。【運命の輪】の由来もそこから来たものだった
「なんでこんなに死ねないもんかね……」
 昔から自殺を図っても毎回失敗している。これもやはり死ぬ、という目的を持ったことが悪いのかとビリブは自分自身に呆れていた。
 王宮の広間に戻った時、視界の端に何か動くものを見つけた。何かと思いその場まで行くと、そこでは死んだはずのデストロイの肉体が動いていたのだった。状況は把握できなかったが、これから何が起きるのかはなんとなく察することができた。
「まさか……あの死んだはずの【死神】が生き返るのか。やった…やったぞ! 」
 ビリブがその動く自体を見ていると首までもが蛇のように動き出し身体へと向かっていった。そして、身体の側まで近づくと首から触手なようなものが生え、元々首のあった場所に繋がった。
 ビリブの顔には満面の笑みが浮かんでいた。そして、全身を歓喜に震わせながらビリブはその命を散らした。
 この戦場にまた死神が舞い降りた。

「まじかよ、俺の軍が半分以上殺られちまったよ。これは俺が行くしかないな」
 暗闇で真っ黒な瞳に真っ黒な髪を結った男が窓から外を覗いていた。
 パペスキル王国の隊長が動き出す。

 デストロイが復活したことにより残り、11人。

 No.10 【運命の輪】 ビリブ・トゥー DEAD
 Ability:なし
 Main Image 
正位置:運命、幸運
逆位置:不運、不幸
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