悪役令嬢は5分で婚約破棄をする

dessy

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曇り空の雲間から

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「今日はいつも以上に機嫌が良くないね。悪夢を見たせいかな?」

「うるさい!」

ドンドンと荒い足音を響かせながら、宮殿の廊下を歩くキャサリンとその3歩ほど後ろから追いかけるパトリックとジョセフィーヌ。

「これからエデン王国の国王との会食なの!邪魔だからついてこないで!!」

「…それなら仕方がない。さぁ、ジョセフィーヌ、暫く僕と遊ぼうか。」

ワンワン!と楽しそうにパトリックの周りを跳ね回るジョセフィーヌ。

その光景がより一層、キャサリンをイラつかせた。








国王との会食が終わり、自室の椅子に溶けるように座るキャサリン。

そこへ、パトリックとジョセフィーヌがやってくる。

ジョセフィーヌはやっと遊んでくれると彼女の膝の上まで駆け登り、一生懸命に体を伸ばして彼女の顔を舐めた。

「…ごめんなさいね。今日はもう疲れちゃったの…」

若干イラついたように言い放つ。

いつもと違う主人の様子を見てクゥーンと項垂れるジョセフィーヌ。

いつも以上に疲労感が身体を襲っていた。

鈍い怒りが思考を支配していた。


これも全て昨日の夢のせいだ。



これも全てあいつのせいだ。




これも全て




目の前のお前のせいだ。










「なんなのよ!!!」



キャサリンの怒りが爆発する。

「いつもいつも!私が呼んでもないのに現れて!!どんな事をやらせても笑顔でケロッとして!私の気持ちも知らないで!!」



「もう放っておいてよ!!」





ジョセフィーヌ激昂する主人に怯え、パトリックの懐へと飛び込む。


「放ってなど置けないよ。僕は君の許婚フィアンセなんだから。」


「あんたなんかフィアンセでも何でもないって言ってるでしょ!!私のワガママで気持ち良くなりたいだけなら、他の人の所へ行ってよ!!!」




「誰のワガママでも良い訳では無いよ。」




「君のワガママだから聞いてあげたいんだよ。」


私の中で音がした。



「確かに、君の気持ちは分からない。君が自分の気持ちに蓋をしているから。他人どころか、自分でも分からないように。」


なんなのよ。




「もっと君のことが知りたい。好きな色は?スポーツは得意?どんな食べ物が好き?…もっともっと聞きたい。」



私の心にズカズカ入ってきて。




「もっと、君のことが知りたい。」






しばしの静寂が2人を包み込む。



お互いの視線が交差する。



彼の目はいつもと違って、真剣だった。







私は―――




―――その目を信じてもいいの?
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