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第10話 [メモリーホルダー]
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寝ていた俺はバキッ!という音で目を覚ました俺は辺りを見回すと木の影から誰かが出てきたのにビックリして身体を起こした。
「あっすまねぇ起こしちまったか、まだ寝てていいぞ」
木の影から出てきたのはカインだったので、もう一度寝ようとしたが、カインが寝る様子が無かったのでもう一度起き、周りを起こさないようにカインに声をかけた。
「寝ないのか?」
「おぉ完全に起きちまったのか?」
「まぁな」と言いながら焚き火の方に移動し、カインの前に座る。
「で、寝なくて良いのか?」
「俺達は護衛だからな交代で寝てるからいいんだよ。それに護衛じゃなくても外で誰も起きてないのはまずいからな。」
「そうか、そうだよな・・・それなら俺にも声をかければその分寝れるだろ?」
「今日1日見てお前が悪い奴じゃないのは分かるし、信用も出来そうだが、今日会ったばかりの人間に任せられる程夜営は単純なものじゃねえからな」
確かに、と思ったがもう俺を信用してることにビックリした俺は思わず聞いてみた。
「案外お人好なんだな」
「なんだ藪から棒に」
「あの襲ってきた奴等の仲間で信用させてから殺そうとしてるとは思わないのか?」
「そうなのか?」
「違うけど」
「なら良いじゃねぇか、それに旦那程では無いにしろ俺も色んな奴を見てきたから人を見る目はある方だし、俺達を信用してるのか、こんな場所で腹出して爆睡してる奴が俺達を襲うと思う方がバカバカしい」
俺は疲れてたとしても自分がそんな感じで寝てたのが恥ずかしくなって頭をかいていた。
「そういやぁ1つの聞いていいか?お前、記憶あるだろ」
!!!
ビックリして身構えている俺を見てカインは苦笑しながら顔の前で手を振っていた。
「そう身構えなくていいぞってか俺らが何かするならお前がさっき言ってたみてぇにシュウトがバカみてぇに寝てる時にするだろ」
「あっ!まぁそうか」
「で、シュウトは殲星会の奴等でも無さそうだが、メモリーホルダーだろ?」
「ん?センセイカイ?メモリーホルダー?何だそれ?」
「は?何言ってんだ?・・・何て言ったらイイんだ?前世だっけか、その記憶が有るんじゃねぇのか?」
「ん?それがメモリーホルダーってやつか?」
「そうだ、で、メモリーホルダーなんだろ?」
「はぁそういう事なら有るけど何でバレたんだ?」
「マジで言ってる?バレバレだろアレじゃあ」
「え!?そんなに分かりやすかったか?」
「ワザとバレるようにしてんのかと思ってたぜ、なぁ!皆!」
「え!?」振り向くと皆が起きてきた。
「起きてたのかぁ」
「いやいや寝てたよ。だけどさぁカインのバカがあんな大っきい音立てるは、その後、普通に喋ってるし、寝てる方が難しいわよ。」
「すまん」「ごめんなさい。」
「別に俺は気にしてない」
「ほっほっほっお気に為さらなくて宜しいですよ。私もシュウト様にお聞きしようと思ってましたので」
皆にバレてた事に顔を真っ赤にして下を向いていると皆が大笑いしていた。
「まぁいっか、確かに前世の記憶はあるんだけど、今の世界の記憶は本当に森からしかなくて、その前の15年は何をしていたとか、何処で生まれたとか全くないんだ。それこそ今の状態で初めてこの世界に来たのがこの年になってからとしか思えないくらいに」
「ほんとに記憶が無いんだぁ~じゃあさぁ気付いた時に傷だらけだったとか服が既にボロボロだったなんて事は無かったの?」
「無かったかなぁそれこそ新品かってくらいに綺麗だったぞ」
「そっかぁじゃあやっぱり私の所為でボロボロになっちゃったんだ。ごめんなさい」
「いいよ気にしなくて、装備は確かにあの時だけど服はその前にある程度破れてたし」
「あっ!そうだ、ハロルドさん2m位の布と紐有りませんか?次いでにハサミがあると助かるんですけど」
「はい、今お持ち致しますね。」
そう言いながらハロルドさんはランプを持って馬車の方に向かった。
「何すんだ?もしかしてミミに服でも縫って貰おうとか考えてんなら止めとけよ。相当不器用だぞ」
カインがそう言った瞬間、さっきまで落ち込んでいたミミがドロップキックを放っていた。
「うっさいわね!そんな事シュウトに言わなくてもいいでしょ!もう怪我しても治してあげないからね!」
「わりぃわりぃそんなに怒んなよぅ」
落ち込んでるミミを元気にしようとしたんだろうけど、さっきのは無いわぁって思っていると俺の表情で気付いたのかアロンが声をかけてきた。
「あの2人はアレでいつもの事だ。」
「何となく分かるよミミも本気で怒った感じがしないもんな。ところでミミがさっき言ってた治すってなんの事だ?」
「あぁ俺の時はポーションで治したけど、ミミは珍しい光属性の適性が有るから癒しの魔法を使えるんだよ」
「へぇ~どんな傷でも治せるのか?」
「そこまで万能じゃない精々軽い切り傷や打撲程度を治せるくらいだ。時間を掛ければある程度深い傷でも治せるかな。まぁポーションを頻繁に使わなくて良いのは大分助かってるけどな」
「それでも凄いじゃないかでも珍しいって事は使える人は殆ど居ないのか?」
「確かに少ないけど、居ないわけじゃないんだが、光属性がある時点で教会や治療院に入ることが、多いから冒険者なんて危険な仕事をしてる人が少ないんだよ」
「なるほどなぁ」とまだ謝っているカインを見ながら話しているとハロルドさんが頼んだ物を持って戻ってきた。
「シュウト様、幌を直す為の布しか無かったのですがコレで宜しかったですかな」
「いいですよ。お金が無いので、また後でいいですか?」
「そんなに高い物ではないので、お金に関してはお気になさらずに差し上げます。で、どう為さるんですか?」
「いいんですか、ありがとうございます。いや、簡単な服を作ろうかと思って」
「ほぅですが、裁縫道具などは無いですよ」
俺は「大丈夫です」と言うと受け取った布を裁断し、紐を使ってポンチョの様な物をササッと作った。
「ほぅ器用ですなぁ」
「そんな事は無いですよ作り方さえ分かっていれば、誰でも作れますし、まぁコレが水を弾く素材なら雨の日でも両手が使えるから便利なんですけどね」
「!なるほど!傘を着る感じなのですね!」
まただぁってか傘はあるんだって思いながらハロルドさんに質問してみる。
「傘はあるんですよね。じゃあコレも珍しくは無いんじゃないですか?」
「確かに傘は有りますが、それを着るという物はコートの様な物でかなり高価な物しか無いんですよ。」
「ん?傘の素材も高いんですか?」
「高くはないんですが、加工が難しくてその加工費が嵩むのですよ」
「糸で縫うだけじゃ無いんですか?」
「普通の糸では素材の性質上使えなくて、糸も高価な上に加工しないと使えないので気軽に買える物ではないのですよ」
「幾らぐらいなんですか?」
「ピンキリですが傘は安いもので、小銀貨1枚でコートは大銀貨1枚ですね」
傘が1000円かぁ手作りならそんなもんかぁでもコートは高いなぁ最低でも10万かよ!そりゃ一般人には高いよなぁ
「じゃあ冒険者や街を守る兵士?はどうしてるんですか?」
「基本的には着てないですね。高価な上に動きづらいし、戦うからとその都度脱ぐ訳にはいかないので」
「ですので、このアイデアも独占という形で契約して頂けると有難いのですが」
「良いですけど見せた通り簡単なんでコレこそもう有りそうなんですが」
「その辺は申請を出してみないと何とも言えませんね。じゃあ今すぐ行きましょう!」
「旦那!バカ言ってんじゃねえよ!動くなら最低でも日が昇るまでは待つ約束だろう!」
「おぅそうでした。すいません気が焦りました。」
「それに今直ぐ出発したとして、物もねぇのにどうすんだよ」
「・・・はい、その通りです。」
「ちっ、しゃあねぇ皆、起きてる事だし、日の出と共に出発すんぞ!アロン飯の用意だ!」
「分かった。」
手馴れた感じでアロンが準備し始めた。
「ん?ミミはやらないのか?」
「ブッ、バカ言うな死ぬぞ。」
その瞬間、ミミがカインに飛び膝蹴りを繰り出していた。
「うっさいわねぇ殴るわよ!」
「いやいや、もうしてんじゃねぇか」
「何?もう一発行っとく?」
「はい、私が悪うございました。」
「分かればいいのよ」
俺は何が起こったのか解らず困っているとアロンが理由をコソッと教えてくれた。
「ミミは料理に関しては絶望的なんだよ。それこそただ肉を焼くだけなのに全部ダメにするくらいにな」
「アロン、何か言った?」
「いや、何も・・・さて、準備準備。」
「もう」と言いながらミミがこっちにきた。
「私だって出来るはずなのよ。何故か失敗するけど・・・。」
「大丈夫、人には得手不得手があるんだから出来るやつにやってもらえば、いいんだって」
「そ、そうよね」と言いながらミミは片付けに向かった。
「うまいこと言うなぁ、ところでよぅ今いいか?」
自分達の片付けがある程度終わったのかカインが話しかけてきた。
「ん?別に俺は片付ける物は無いからいいけど、片付けとか料理の手伝いとかやらなくていいのか?あるなら俺も手伝うぞ」
「あぁ大丈夫だ、片付けも個人の物だけだし、料理は下手に手を出すとアロンのやつが怒ってくるしな」
「じゃあさっきミミを揶揄わなくても良かったんじゃないか?」
「アレはお前が余計な事言うからつい言っちまっただけだろ」
「まぁそうか普段からアロンが料理番なら俺が言わなきゃああはなってないか、すまん。」
「まぁそんなことはいい、ところでシュウトお前メモリーホルダーって事はもっとちゃんと隠した方がいいぞ」
「何でだ?さっき言ってたセンセイカイって奴が関係してるのか?」
「まぁそれが関係してる・・・15年前にな」
カインはそう言うと先程までの明るい顔つきが嘘のように何とも言えない悲しげな表情になった。
「何かあったのか?」
しまった!とは思ったもののカインの余りにも悲しげな表情につい聞いてしまった。
「ん・・・そうだなぁシュウトには言っといた方がいいか、直ぐボロが出そうだしな」
「うっせぇ」と言いながら少し不貞腐れているとカインは笑いながら少し悲しげな表情で語り始めてくれた。
「あっすまねぇ起こしちまったか、まだ寝てていいぞ」
木の影から出てきたのはカインだったので、もう一度寝ようとしたが、カインが寝る様子が無かったのでもう一度起き、周りを起こさないようにカインに声をかけた。
「寝ないのか?」
「おぉ完全に起きちまったのか?」
「まぁな」と言いながら焚き火の方に移動し、カインの前に座る。
「で、寝なくて良いのか?」
「俺達は護衛だからな交代で寝てるからいいんだよ。それに護衛じゃなくても外で誰も起きてないのはまずいからな。」
「そうか、そうだよな・・・それなら俺にも声をかければその分寝れるだろ?」
「今日1日見てお前が悪い奴じゃないのは分かるし、信用も出来そうだが、今日会ったばかりの人間に任せられる程夜営は単純なものじゃねえからな」
確かに、と思ったがもう俺を信用してることにビックリした俺は思わず聞いてみた。
「案外お人好なんだな」
「なんだ藪から棒に」
「あの襲ってきた奴等の仲間で信用させてから殺そうとしてるとは思わないのか?」
「そうなのか?」
「違うけど」
「なら良いじゃねぇか、それに旦那程では無いにしろ俺も色んな奴を見てきたから人を見る目はある方だし、俺達を信用してるのか、こんな場所で腹出して爆睡してる奴が俺達を襲うと思う方がバカバカしい」
俺は疲れてたとしても自分がそんな感じで寝てたのが恥ずかしくなって頭をかいていた。
「そういやぁ1つの聞いていいか?お前、記憶あるだろ」
!!!
ビックリして身構えている俺を見てカインは苦笑しながら顔の前で手を振っていた。
「そう身構えなくていいぞってか俺らが何かするならお前がさっき言ってたみてぇにシュウトがバカみてぇに寝てる時にするだろ」
「あっ!まぁそうか」
「で、シュウトは殲星会の奴等でも無さそうだが、メモリーホルダーだろ?」
「ん?センセイカイ?メモリーホルダー?何だそれ?」
「は?何言ってんだ?・・・何て言ったらイイんだ?前世だっけか、その記憶が有るんじゃねぇのか?」
「ん?それがメモリーホルダーってやつか?」
「そうだ、で、メモリーホルダーなんだろ?」
「はぁそういう事なら有るけど何でバレたんだ?」
「マジで言ってる?バレバレだろアレじゃあ」
「え!?そんなに分かりやすかったか?」
「ワザとバレるようにしてんのかと思ってたぜ、なぁ!皆!」
「え!?」振り向くと皆が起きてきた。
「起きてたのかぁ」
「いやいや寝てたよ。だけどさぁカインのバカがあんな大っきい音立てるは、その後、普通に喋ってるし、寝てる方が難しいわよ。」
「すまん」「ごめんなさい。」
「別に俺は気にしてない」
「ほっほっほっお気に為さらなくて宜しいですよ。私もシュウト様にお聞きしようと思ってましたので」
皆にバレてた事に顔を真っ赤にして下を向いていると皆が大笑いしていた。
「まぁいっか、確かに前世の記憶はあるんだけど、今の世界の記憶は本当に森からしかなくて、その前の15年は何をしていたとか、何処で生まれたとか全くないんだ。それこそ今の状態で初めてこの世界に来たのがこの年になってからとしか思えないくらいに」
「ほんとに記憶が無いんだぁ~じゃあさぁ気付いた時に傷だらけだったとか服が既にボロボロだったなんて事は無かったの?」
「無かったかなぁそれこそ新品かってくらいに綺麗だったぞ」
「そっかぁじゃあやっぱり私の所為でボロボロになっちゃったんだ。ごめんなさい」
「いいよ気にしなくて、装備は確かにあの時だけど服はその前にある程度破れてたし」
「あっ!そうだ、ハロルドさん2m位の布と紐有りませんか?次いでにハサミがあると助かるんですけど」
「はい、今お持ち致しますね。」
そう言いながらハロルドさんはランプを持って馬車の方に向かった。
「何すんだ?もしかしてミミに服でも縫って貰おうとか考えてんなら止めとけよ。相当不器用だぞ」
カインがそう言った瞬間、さっきまで落ち込んでいたミミがドロップキックを放っていた。
「うっさいわね!そんな事シュウトに言わなくてもいいでしょ!もう怪我しても治してあげないからね!」
「わりぃわりぃそんなに怒んなよぅ」
落ち込んでるミミを元気にしようとしたんだろうけど、さっきのは無いわぁって思っていると俺の表情で気付いたのかアロンが声をかけてきた。
「あの2人はアレでいつもの事だ。」
「何となく分かるよミミも本気で怒った感じがしないもんな。ところでミミがさっき言ってた治すってなんの事だ?」
「あぁ俺の時はポーションで治したけど、ミミは珍しい光属性の適性が有るから癒しの魔法を使えるんだよ」
「へぇ~どんな傷でも治せるのか?」
「そこまで万能じゃない精々軽い切り傷や打撲程度を治せるくらいだ。時間を掛ければある程度深い傷でも治せるかな。まぁポーションを頻繁に使わなくて良いのは大分助かってるけどな」
「それでも凄いじゃないかでも珍しいって事は使える人は殆ど居ないのか?」
「確かに少ないけど、居ないわけじゃないんだが、光属性がある時点で教会や治療院に入ることが、多いから冒険者なんて危険な仕事をしてる人が少ないんだよ」
「なるほどなぁ」とまだ謝っているカインを見ながら話しているとハロルドさんが頼んだ物を持って戻ってきた。
「シュウト様、幌を直す為の布しか無かったのですがコレで宜しかったですかな」
「いいですよ。お金が無いので、また後でいいですか?」
「そんなに高い物ではないので、お金に関してはお気になさらずに差し上げます。で、どう為さるんですか?」
「いいんですか、ありがとうございます。いや、簡単な服を作ろうかと思って」
「ほぅですが、裁縫道具などは無いですよ」
俺は「大丈夫です」と言うと受け取った布を裁断し、紐を使ってポンチョの様な物をササッと作った。
「ほぅ器用ですなぁ」
「そんな事は無いですよ作り方さえ分かっていれば、誰でも作れますし、まぁコレが水を弾く素材なら雨の日でも両手が使えるから便利なんですけどね」
「!なるほど!傘を着る感じなのですね!」
まただぁってか傘はあるんだって思いながらハロルドさんに質問してみる。
「傘はあるんですよね。じゃあコレも珍しくは無いんじゃないですか?」
「確かに傘は有りますが、それを着るという物はコートの様な物でかなり高価な物しか無いんですよ。」
「ん?傘の素材も高いんですか?」
「高くはないんですが、加工が難しくてその加工費が嵩むのですよ」
「糸で縫うだけじゃ無いんですか?」
「普通の糸では素材の性質上使えなくて、糸も高価な上に加工しないと使えないので気軽に買える物ではないのですよ」
「幾らぐらいなんですか?」
「ピンキリですが傘は安いもので、小銀貨1枚でコートは大銀貨1枚ですね」
傘が1000円かぁ手作りならそんなもんかぁでもコートは高いなぁ最低でも10万かよ!そりゃ一般人には高いよなぁ
「じゃあ冒険者や街を守る兵士?はどうしてるんですか?」
「基本的には着てないですね。高価な上に動きづらいし、戦うからとその都度脱ぐ訳にはいかないので」
「ですので、このアイデアも独占という形で契約して頂けると有難いのですが」
「良いですけど見せた通り簡単なんでコレこそもう有りそうなんですが」
「その辺は申請を出してみないと何とも言えませんね。じゃあ今すぐ行きましょう!」
「旦那!バカ言ってんじゃねえよ!動くなら最低でも日が昇るまでは待つ約束だろう!」
「おぅそうでした。すいません気が焦りました。」
「それに今直ぐ出発したとして、物もねぇのにどうすんだよ」
「・・・はい、その通りです。」
「ちっ、しゃあねぇ皆、起きてる事だし、日の出と共に出発すんぞ!アロン飯の用意だ!」
「分かった。」
手馴れた感じでアロンが準備し始めた。
「ん?ミミはやらないのか?」
「ブッ、バカ言うな死ぬぞ。」
その瞬間、ミミがカインに飛び膝蹴りを繰り出していた。
「うっさいわねぇ殴るわよ!」
「いやいや、もうしてんじゃねぇか」
「何?もう一発行っとく?」
「はい、私が悪うございました。」
「分かればいいのよ」
俺は何が起こったのか解らず困っているとアロンが理由をコソッと教えてくれた。
「ミミは料理に関しては絶望的なんだよ。それこそただ肉を焼くだけなのに全部ダメにするくらいにな」
「アロン、何か言った?」
「いや、何も・・・さて、準備準備。」
「もう」と言いながらミミがこっちにきた。
「私だって出来るはずなのよ。何故か失敗するけど・・・。」
「大丈夫、人には得手不得手があるんだから出来るやつにやってもらえば、いいんだって」
「そ、そうよね」と言いながらミミは片付けに向かった。
「うまいこと言うなぁ、ところでよぅ今いいか?」
自分達の片付けがある程度終わったのかカインが話しかけてきた。
「ん?別に俺は片付ける物は無いからいいけど、片付けとか料理の手伝いとかやらなくていいのか?あるなら俺も手伝うぞ」
「あぁ大丈夫だ、片付けも個人の物だけだし、料理は下手に手を出すとアロンのやつが怒ってくるしな」
「じゃあさっきミミを揶揄わなくても良かったんじゃないか?」
「アレはお前が余計な事言うからつい言っちまっただけだろ」
「まぁそうか普段からアロンが料理番なら俺が言わなきゃああはなってないか、すまん。」
「まぁそんなことはいい、ところでシュウトお前メモリーホルダーって事はもっとちゃんと隠した方がいいぞ」
「何でだ?さっき言ってたセンセイカイって奴が関係してるのか?」
「まぁそれが関係してる・・・15年前にな」
カインはそう言うと先程までの明るい顔つきが嘘のように何とも言えない悲しげな表情になった。
「何かあったのか?」
しまった!とは思ったもののカインの余りにも悲しげな表情につい聞いてしまった。
「ん・・・そうだなぁシュウトには言っといた方がいいか、直ぐボロが出そうだしな」
「うっせぇ」と言いながら少し不貞腐れているとカインは笑いながら少し悲しげな表情で語り始めてくれた。
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