75 / 414
第74話 [スタンピード・裏工作撃破]
しおりを挟む
「問題ないか?」
「現状ですが、何発か無駄撃ちしていまい、予備タンクが残り半分となってしまいましたが、問題なく殲滅出来ると予想されます。」
俺は「そうか。」と言うと置いてあった空の予備タンクに魔力を充填した。
「なら、これだけ在れば問題ないな。」
「ハッ!ありがとうございます。使徒様がキングを討伐して頂いたので、此方は問題なく殲滅出来るものと思われます。」
俺がアルトスさんと話をしていると1人の冒険者が高台の下から声を掛けてきた。
「使徒様!失礼します、少し宜しいですか?」
「何だ?」
「使徒様はキングの魔石を取り出しましたか?」
「いや、していないが、それがどうした?」
「自分が確認しに行ったところ、死体には殆ど傷が無いにも関わらず、魔石があったであろう箇所から魔石が抜かれた形跡がありましたので。」
ん?どういう事だ?マップには魔物の反応は無かったはず・・・。
俺がそう考えているとアルトスさんが声を掛けてきた。
「使徒様、もしや奴の手下か、奴を唆した者が暗躍しているのかも知れません。」
「そうか、それなら魔物の反応が無くても不思議ではないか・・・。」
なるほど、だが今此処で、人間まで警戒させるわけにはいかないな。
「冒険者たちよ。キングは居ないだろうが、他にも魔物が居るかもしれん。周囲の警戒を怠るな。」
「はい!」
「では、頼んだ!」
俺はそう言うと王都を飛び越えて東側に向かった。
急いで東側に向かっていると通り過ぎた王都内の北側から強い魔物の反応が出た。
ん?ヤバそうな感じだな。東側は真司が戦ってるのもあって大丈夫そうだから北側に行くか。
俺はそう思い、魔物反応が出た北側に戻って行った。
そこにはデブっとした男とライオンの頭と山羊の頭に尻尾に蛇が着いている魔物がいた。
「キメラよ!この壁を壊して王都を混乱に陥れてやれ!」
「そうは問屋が卸さないぞ!」
俺はキメラと北側の壁の間に飛び降りた。
「また貴様か!我らの計画の邪魔ばかり!」
「やはりギルドマスターの仲間か。」
「我らは崇高な目的の為に行動している!あの様な下賎な者と一緒にするな!」
「崇高な目的?その為にスタンピードを起こしたと?」
「そうだ!本来の真の王を迎えるには、あの様な愚王に付き従う者共など一掃する必要があるのだ!」
「その為に民はどうなっても良いと?」
「ふん!民など我々の様な選ばれし者さえ生きていれば、勝手に湧いてくるわ!なのにあの愚王は実力がどうのと、我々選ばれし者が民を使えば良いのだ!」
「クズが!民こそ国の支えていると何故分からん!」
「五月蝿!お前もあの愚王と同じ事を!えぇい!キメラよ、その愚かな者をやってしまえ!」
デブった男がそう言うとキメラは俺に襲いかかってきた。
俺はキメラの鉤爪を避け、ライオンの頭に攻撃を加えようとすると山羊の頭の目が光ると俺に向かって岩が飛んできた。
「ガハッハッハ!これまでの魔物とは違うだろ!コイツは我々の最高傑作だ!切り刻まれたいか?押し潰されたいか?それとも毒に侵され悶え苦しむか?それとも消し炭にでもなるか?」
バカか此奴?態々、まだ繰り出してない攻撃方法まで教えれたぞ。
俺がそう思っているとライオンの口が光ったので、ライオンの射線上から避けるとライオンは俺を追い掛ける様に火を吐いた。
「何故、火を吐く事が分かった!?」
あっやっぱりバカだ。
その後もキメラの猛攻は続いたが俺は尽く避け、1箇所ずつキメラの攻撃手段を潰していった。
「クソ!こんなハズでは、グズがこっちへ来い!」
男がそう言うとキメラは足を引き摺りながら男の方へと戻って行った。男はキメラの前へ行くと俺の方を見て、2つの魔石を見せてきた。
「コレが何か分かるか?そうお前が討伐したキング達の魔石だ!キメラよ、さあ食え!」
キメラは男にそう言われたので男の腕ごと魔石を食った。
「ぎゃああああ!何をする!手が!手が!我輩の手がぁぁぁ!」
男は食いちぎられた腕を見ながら泣き叫んでいると魔石を食らったキメラは苦しむ様子を見せながらどんどん大きくなっていき、砕いたはずの足や潰した蛇の頭も山羊の頭も復活していった。
すると目の前て痛みのあまり叫んでいた男が鬱陶しくなったのか、唐突に喰らおうとしたので、その男を引き寄せ身柄を確保した。
「ゔぅ・・・キメラめ、たかがケダモノの分際で我輩を喰らおうとしおって・・・おまえもわかっているではないか、お前達は我々の様な崇高な・・・」
「五月蝿い。」
「ぎゃああああ・・・」
俺はそう言うと止血の為に食いちぎられた腕を着火で焼いた。すると男はあまりの痛みに気を失った。
「な、なんだコイツは!?」
騒ぎに駆けつけた兵士達がキメラの姿に動揺して叫ぶとキメラは獲物を見付けたという様に蛇が兵士に向かって襲いかかった。
「ひぃ・・・」
俺は兵士に蛇が食らいつく寸前で捕まえ、そのまま北側の壁の向こう側に投げ飛ばした。
「君、我は奴を倒す為に壁の向こう側に行かなくてはいけないのだが、此奴を王の元へ連行しては貰えぬか?」
「ハッ!承知致しました!・・・ところで使徒様、この男は何者ですか?」
「このスタンピードを起こした仲間だ。他にも仲間がいる可能性があるゆえ、王に引き渡してくれ。気をつけろよ。」
「ハッ!我々にお任せ下さい!」
俺は兵士が男を担ぐのを見届けると壁を飛び越えた。
そこには黒づくめのいかにも怪しい集団がキメラに襲われて散り散りに逃げていた。
「彼奴め、制御に失敗しおったな!おい貴様ら我輩を助けぬか!逃げるな!」
その集団で1人だけ煌びやかな鎧を身にまとった男が叫んでいた。
彼奴が主犯か?
俺は一先ず、襲っていたキメラを吹き飛ばすと叫んでいた男に魔力を放ち、気絶させた。
「よし、とりあえずはコレでいいな。」
俺は気絶して動けなくなった事を確認すると吹っ飛ばしたキメラを追い掛けた。
キメラはトロールキングの再生能力を手に入れたのか何事も無かった様に立ち上がり襲いかかってきた。
俺は襲いかかってくるキメラの攻撃を躱しつつ部位破壊をしていったが、どれだけしても再生能力で回復されていったので、戦略を変える為に1度離れた。
「う~ん、これじゃあ埒が明かないなぁ・・・ならば!」
俺は自分の周りに水魔法で大量の水を出すと魔法操作で拳大の水球を作り出すとキメラの攻撃を躱しつつ、同じ要領で水球を作り続けた。
「これ以上は細かい操作は難しいか?」
100個程、水球を作って見たが、それ以上は無理に作っても意味がないと感じたので水球作りを止め、キメラを囲む様に配置した。
キメラは嫌な予感を感じたのか、水球に攻撃を開始したが、俺が操る水球に当たるはずもなく、円柱の形でキメラを包囲した。
俺は水球と水球が繋がる様に水の流れを作り、それを限界まで速くし、水の檻を完成させた。
キメラはそれが何か分からない様子だったが、警戒して蛇で少しだけ触れた。
ギャシャーーー!
触れた瞬間、蛇の頭は水に持っていかれる様に切り刻まれた。
その事で檻が水である事を把握したのか、今度はライオンの頭から強烈な炎を吐いた。その所為で多少の水は蒸発したが、俺が水を足すと元に戻った。
キメラは己を閉じ込めるだけだと思ったのか、動きを止めて、体力を回復させようとしていた。
「どうした?抗わないのか?我が作り出した物が動かないとでも?」
俺の言葉を理解出来たのか、キメラは目を見開き、己の身体が傷つこうが関係ないと言わんばかりに炎を吐いたり、巨岩を飛ばしたり、毒を吐いたりしていたが、俺が水魔法で水を足し続けていたので、何の意味も無く、只只、己の肉体、魔力を消耗するだけになっていた。
「流石に見てられないな。終わりにしよう。」
俺はそう言うと水の檻を少しづつ縮めていった。
「全て切り刻まれたら流石のお前も復活出来まい。」
俺はそう言うと最後は一気に縮め、1つの水球にした。
「このまま水球を解いたら毒も何もかも撒き散らすよなぁ・・・。」
俺がそう考えているとオーガの方が終わったのかアルトスさん達が声を掛けてきた。
「使徒様、コレは?」
「少し待て。」
俺はそう言うと火魔法で水球を包み、一気に消滅させた。
アルトスさんに着いてきた近衛騎士は倒れている人々を助けようと動いていた。
「助けるのは良いが、逃がすな!」
回復して逃げ出そうとした者を再度気絶させた。
「使徒様!何を!」
「此奴らはこのスタンピードを起こした一味だ。」
「な、なんと!」
ピュッ!
ぎゃあー!
俺の言葉に近衛騎士が動揺した瞬間に剣で近衛騎士の1人を人質にしようとしていた奴にその辺にあった小枝を投げ、剣を持つ手を貫いた。
「油断するな。」
「申し訳ありません!」
「まぁいい。今ので敵という事は分かっただろう。悪いが少し見張りを頼めるか?」
「ハッ!お任せ下さい。ところで、使徒様は何方に?」
「殲滅も時間の問題の様だから王にこの事を話にな。」
「そんな事は我々の誰かが!」
「いや、お前達のレベルが上がったとはいえ、まだ敵が潜んでいる可能性があるゆえ、此処にいろ。」
「し、しかし・・・」
「ではな。」
俺は恐らくこのままでは埒が明かないと思い、近衛騎士が何かを言う前にその場から離れて、リーグさんがいる所に向かった。
「王よ。問題ないか?」
「使徒様、はい。聖獣白虎様が高ランクの魔獣を一気に殲滅して頂いたお陰でもう少しで終わる見込みであります。それよりもまたも使徒様には助けて頂いた様で王都内の事、感謝致します。」
「やるべき事をやったまでだ、気にするな。それよりも伝えねばいけない事がある。」
「何でしょうか?」
「1つはトロールキングとオーガキングの魔石だが、先程言っていたキメラごと消滅させた。」
「バカな!我輩が心血を注いで造った最強の魔物にトロールとオーガのキングの魔石を吸収させた・・・。」
「黙らせよ。」
リーグさんが冷たくそういうとデブった男は近衛騎士によって気絶させられていた。
「失礼しました。それは残念ですが、使徒様がお考えになって仕方なくという事なのでしょうし、使徒様が問題なければ宜しいかと。」
「もう1つは我が壁の向こう側にキメラを投げ飛ばしたのは聞いていると思うが、その際にキメラが落下した場所に黒ずくめの奴等が居て、キメラに大分殺されていたのだが、話の内容から其奴の仲間と思われるのだが、一先ず、アルトスらが、逃げない様に見張っている。」
「承知しました。お前達!兵を連れて連行しにいけ!」
近衛騎士の人は「ハッ!」と言って走っていった。
「現状ですが、何発か無駄撃ちしていまい、予備タンクが残り半分となってしまいましたが、問題なく殲滅出来ると予想されます。」
俺は「そうか。」と言うと置いてあった空の予備タンクに魔力を充填した。
「なら、これだけ在れば問題ないな。」
「ハッ!ありがとうございます。使徒様がキングを討伐して頂いたので、此方は問題なく殲滅出来るものと思われます。」
俺がアルトスさんと話をしていると1人の冒険者が高台の下から声を掛けてきた。
「使徒様!失礼します、少し宜しいですか?」
「何だ?」
「使徒様はキングの魔石を取り出しましたか?」
「いや、していないが、それがどうした?」
「自分が確認しに行ったところ、死体には殆ど傷が無いにも関わらず、魔石があったであろう箇所から魔石が抜かれた形跡がありましたので。」
ん?どういう事だ?マップには魔物の反応は無かったはず・・・。
俺がそう考えているとアルトスさんが声を掛けてきた。
「使徒様、もしや奴の手下か、奴を唆した者が暗躍しているのかも知れません。」
「そうか、それなら魔物の反応が無くても不思議ではないか・・・。」
なるほど、だが今此処で、人間まで警戒させるわけにはいかないな。
「冒険者たちよ。キングは居ないだろうが、他にも魔物が居るかもしれん。周囲の警戒を怠るな。」
「はい!」
「では、頼んだ!」
俺はそう言うと王都を飛び越えて東側に向かった。
急いで東側に向かっていると通り過ぎた王都内の北側から強い魔物の反応が出た。
ん?ヤバそうな感じだな。東側は真司が戦ってるのもあって大丈夫そうだから北側に行くか。
俺はそう思い、魔物反応が出た北側に戻って行った。
そこにはデブっとした男とライオンの頭と山羊の頭に尻尾に蛇が着いている魔物がいた。
「キメラよ!この壁を壊して王都を混乱に陥れてやれ!」
「そうは問屋が卸さないぞ!」
俺はキメラと北側の壁の間に飛び降りた。
「また貴様か!我らの計画の邪魔ばかり!」
「やはりギルドマスターの仲間か。」
「我らは崇高な目的の為に行動している!あの様な下賎な者と一緒にするな!」
「崇高な目的?その為にスタンピードを起こしたと?」
「そうだ!本来の真の王を迎えるには、あの様な愚王に付き従う者共など一掃する必要があるのだ!」
「その為に民はどうなっても良いと?」
「ふん!民など我々の様な選ばれし者さえ生きていれば、勝手に湧いてくるわ!なのにあの愚王は実力がどうのと、我々選ばれし者が民を使えば良いのだ!」
「クズが!民こそ国の支えていると何故分からん!」
「五月蝿!お前もあの愚王と同じ事を!えぇい!キメラよ、その愚かな者をやってしまえ!」
デブった男がそう言うとキメラは俺に襲いかかってきた。
俺はキメラの鉤爪を避け、ライオンの頭に攻撃を加えようとすると山羊の頭の目が光ると俺に向かって岩が飛んできた。
「ガハッハッハ!これまでの魔物とは違うだろ!コイツは我々の最高傑作だ!切り刻まれたいか?押し潰されたいか?それとも毒に侵され悶え苦しむか?それとも消し炭にでもなるか?」
バカか此奴?態々、まだ繰り出してない攻撃方法まで教えれたぞ。
俺がそう思っているとライオンの口が光ったので、ライオンの射線上から避けるとライオンは俺を追い掛ける様に火を吐いた。
「何故、火を吐く事が分かった!?」
あっやっぱりバカだ。
その後もキメラの猛攻は続いたが俺は尽く避け、1箇所ずつキメラの攻撃手段を潰していった。
「クソ!こんなハズでは、グズがこっちへ来い!」
男がそう言うとキメラは足を引き摺りながら男の方へと戻って行った。男はキメラの前へ行くと俺の方を見て、2つの魔石を見せてきた。
「コレが何か分かるか?そうお前が討伐したキング達の魔石だ!キメラよ、さあ食え!」
キメラは男にそう言われたので男の腕ごと魔石を食った。
「ぎゃああああ!何をする!手が!手が!我輩の手がぁぁぁ!」
男は食いちぎられた腕を見ながら泣き叫んでいると魔石を食らったキメラは苦しむ様子を見せながらどんどん大きくなっていき、砕いたはずの足や潰した蛇の頭も山羊の頭も復活していった。
すると目の前て痛みのあまり叫んでいた男が鬱陶しくなったのか、唐突に喰らおうとしたので、その男を引き寄せ身柄を確保した。
「ゔぅ・・・キメラめ、たかがケダモノの分際で我輩を喰らおうとしおって・・・おまえもわかっているではないか、お前達は我々の様な崇高な・・・」
「五月蝿い。」
「ぎゃああああ・・・」
俺はそう言うと止血の為に食いちぎられた腕を着火で焼いた。すると男はあまりの痛みに気を失った。
「な、なんだコイツは!?」
騒ぎに駆けつけた兵士達がキメラの姿に動揺して叫ぶとキメラは獲物を見付けたという様に蛇が兵士に向かって襲いかかった。
「ひぃ・・・」
俺は兵士に蛇が食らいつく寸前で捕まえ、そのまま北側の壁の向こう側に投げ飛ばした。
「君、我は奴を倒す為に壁の向こう側に行かなくてはいけないのだが、此奴を王の元へ連行しては貰えぬか?」
「ハッ!承知致しました!・・・ところで使徒様、この男は何者ですか?」
「このスタンピードを起こした仲間だ。他にも仲間がいる可能性があるゆえ、王に引き渡してくれ。気をつけろよ。」
「ハッ!我々にお任せ下さい!」
俺は兵士が男を担ぐのを見届けると壁を飛び越えた。
そこには黒づくめのいかにも怪しい集団がキメラに襲われて散り散りに逃げていた。
「彼奴め、制御に失敗しおったな!おい貴様ら我輩を助けぬか!逃げるな!」
その集団で1人だけ煌びやかな鎧を身にまとった男が叫んでいた。
彼奴が主犯か?
俺は一先ず、襲っていたキメラを吹き飛ばすと叫んでいた男に魔力を放ち、気絶させた。
「よし、とりあえずはコレでいいな。」
俺は気絶して動けなくなった事を確認すると吹っ飛ばしたキメラを追い掛けた。
キメラはトロールキングの再生能力を手に入れたのか何事も無かった様に立ち上がり襲いかかってきた。
俺は襲いかかってくるキメラの攻撃を躱しつつ部位破壊をしていったが、どれだけしても再生能力で回復されていったので、戦略を変える為に1度離れた。
「う~ん、これじゃあ埒が明かないなぁ・・・ならば!」
俺は自分の周りに水魔法で大量の水を出すと魔法操作で拳大の水球を作り出すとキメラの攻撃を躱しつつ、同じ要領で水球を作り続けた。
「これ以上は細かい操作は難しいか?」
100個程、水球を作って見たが、それ以上は無理に作っても意味がないと感じたので水球作りを止め、キメラを囲む様に配置した。
キメラは嫌な予感を感じたのか、水球に攻撃を開始したが、俺が操る水球に当たるはずもなく、円柱の形でキメラを包囲した。
俺は水球と水球が繋がる様に水の流れを作り、それを限界まで速くし、水の檻を完成させた。
キメラはそれが何か分からない様子だったが、警戒して蛇で少しだけ触れた。
ギャシャーーー!
触れた瞬間、蛇の頭は水に持っていかれる様に切り刻まれた。
その事で檻が水である事を把握したのか、今度はライオンの頭から強烈な炎を吐いた。その所為で多少の水は蒸発したが、俺が水を足すと元に戻った。
キメラは己を閉じ込めるだけだと思ったのか、動きを止めて、体力を回復させようとしていた。
「どうした?抗わないのか?我が作り出した物が動かないとでも?」
俺の言葉を理解出来たのか、キメラは目を見開き、己の身体が傷つこうが関係ないと言わんばかりに炎を吐いたり、巨岩を飛ばしたり、毒を吐いたりしていたが、俺が水魔法で水を足し続けていたので、何の意味も無く、只只、己の肉体、魔力を消耗するだけになっていた。
「流石に見てられないな。終わりにしよう。」
俺はそう言うと水の檻を少しづつ縮めていった。
「全て切り刻まれたら流石のお前も復活出来まい。」
俺はそう言うと最後は一気に縮め、1つの水球にした。
「このまま水球を解いたら毒も何もかも撒き散らすよなぁ・・・。」
俺がそう考えているとオーガの方が終わったのかアルトスさん達が声を掛けてきた。
「使徒様、コレは?」
「少し待て。」
俺はそう言うと火魔法で水球を包み、一気に消滅させた。
アルトスさんに着いてきた近衛騎士は倒れている人々を助けようと動いていた。
「助けるのは良いが、逃がすな!」
回復して逃げ出そうとした者を再度気絶させた。
「使徒様!何を!」
「此奴らはこのスタンピードを起こした一味だ。」
「な、なんと!」
ピュッ!
ぎゃあー!
俺の言葉に近衛騎士が動揺した瞬間に剣で近衛騎士の1人を人質にしようとしていた奴にその辺にあった小枝を投げ、剣を持つ手を貫いた。
「油断するな。」
「申し訳ありません!」
「まぁいい。今ので敵という事は分かっただろう。悪いが少し見張りを頼めるか?」
「ハッ!お任せ下さい。ところで、使徒様は何方に?」
「殲滅も時間の問題の様だから王にこの事を話にな。」
「そんな事は我々の誰かが!」
「いや、お前達のレベルが上がったとはいえ、まだ敵が潜んでいる可能性があるゆえ、此処にいろ。」
「し、しかし・・・」
「ではな。」
俺は恐らくこのままでは埒が明かないと思い、近衛騎士が何かを言う前にその場から離れて、リーグさんがいる所に向かった。
「王よ。問題ないか?」
「使徒様、はい。聖獣白虎様が高ランクの魔獣を一気に殲滅して頂いたお陰でもう少しで終わる見込みであります。それよりもまたも使徒様には助けて頂いた様で王都内の事、感謝致します。」
「やるべき事をやったまでだ、気にするな。それよりも伝えねばいけない事がある。」
「何でしょうか?」
「1つはトロールキングとオーガキングの魔石だが、先程言っていたキメラごと消滅させた。」
「バカな!我輩が心血を注いで造った最強の魔物にトロールとオーガのキングの魔石を吸収させた・・・。」
「黙らせよ。」
リーグさんが冷たくそういうとデブった男は近衛騎士によって気絶させられていた。
「失礼しました。それは残念ですが、使徒様がお考えになって仕方なくという事なのでしょうし、使徒様が問題なければ宜しいかと。」
「もう1つは我が壁の向こう側にキメラを投げ飛ばしたのは聞いていると思うが、その際にキメラが落下した場所に黒ずくめの奴等が居て、キメラに大分殺されていたのだが、話の内容から其奴の仲間と思われるのだが、一先ず、アルトスらが、逃げない様に見張っている。」
「承知しました。お前達!兵を連れて連行しにいけ!」
近衛騎士の人は「ハッ!」と言って走っていった。
111
あなたにおすすめの小説
公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~
松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。
なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。
生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。
しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。
二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。
婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。
カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
なんでもアリな異世界は、なんだか楽しそうです!!
日向ぼっこ
ファンタジー
「異世界転生してみないか?」
見覚えのない部屋の中で神を自称する男は話を続ける。
神の暇つぶしに付き合う代わりに異世界チートしてみないか? ってことだよと。
特に悩むこともなくその話を受け入れたクロムは広大な草原の中で目を覚ます。
突如襲い掛かる魔物の群れに対してとっさに突き出した両手より光が輝き、この世界で生き抜くための力を自覚することとなる。
なんでもアリの世界として創造されたこの世界にて、様々な体験をすることとなる。
・魔物に襲われている女の子との出会い
・勇者との出会い
・魔王との出会い
・他の転生者との出会い
・波長の合う仲間との出会い etc.......
チート能力を駆使して異世界生活を楽しむ中、この世界の<異常性>に直面することとなる。
その時クロムは何を想い、何をするのか……
このお話は全てのキッカケとなった創造神の一言から始まることになる……
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜
小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。
死因は癌だった。
癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。
そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。
死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。
それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。
啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。
挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。
インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。
そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。
これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる