転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア

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第79話 [鬼教官]

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「拙者をどうするつもりでござるか・・・。」

「宮大工の仕事が忙しくなってもレベルが高ければ楽だろ?」

「まぁそうでござるが・・・。」

「まぁグチグチ言ってても仕方ないからな。とりあえず、真司に乗ったまま昨日踏破した所まで一気に行くぞ。」

「そ、そうでござるな。」

俺達はそう言うと昨日行った階層まで一気に行った。

「流石でござるな。コレなら一気に踏破もシュウトには容易いでござるな。」

「そうだな。踏破だけなら苦労しないな。ダンジョンの進む道も分かってるしな。」

「それが有り得ないでござるよ。普通はマップを持ってたとしても1度通らないと先が分からないだとか分かったとしても魔物の位置までは分からないでござるよ。でないと斥候の意味がないでござるよ。」

「そう言われてもなぁ。コレはアストライアー様が使命をスムーズに行う為に付けてくれたやつだしなぁ。」

「それならば仕方ないでござるが、シュウトが使徒だと知らない相手には隠した方がいいでござるよ。」

「了解、ありがとな。気をつけるよ。さっ次の階へ行こうか。」

そう言いながら俺達は階層を降りて行った。

「おっ此処は平原ゾーンか、畳をドロップする奴は此処に居るんだったよなぁ。」

「そうらしいでござるな。聞くところによると他の草と変わらないから他の魔物を倒した次いでに倒す事があると聞いたでござる。」

「なるほどなぁ。じゃああの辺に居るなぁ。」

「また、マップでござるか?」

「あぁ、表示はされてるからな。草しか見えないけど。」

「確かに草っ原でござるな。」

「じゃあ鎌で攻撃してみて。」

「分かったでござる。」

リョウマはそう言うと腰を低くして俺が指した方向の草を刈り取った。

「結構居たでござるなぁ。」

リョウマが刈り取った場所には畳が何枚もあった。

「コレで茶室の分は足りるか?」

「いや、この畳は王家の茶室には会わんでござるよ。」

「そうなのか?」

「そうでござる。以前触った事があって王家の茶室にと思っている畳はもっと仕上がりというか、質感というか、良さが全然違ったでござるよ。」

「そういうものか。」

「それはそうでござるよ!今回の茶室で未来が変わるかもしれないでござるから。」

「あぁそうだったな。なら一旦、この階層の魔物相手にリョウマがどの程度やれるか、見てから進むか決めるか。」

「分かったでござる。」

リョウマはそう言うと俺が指示した魔物を次々と倒していった。

「下の階層に行っても大丈夫そうだな。じゃあ最後はアレを倒して行くか。」

そう言って俺が指した方向には、これ迄戦ってきた魔物の倍以上もする枯れ木が聳え立っていた。

「アレが魔物ならトレントでござるよ。拙者には無理でござるよ!」

「じゃあ宮大工も無理って言って諦めるのか?」

俺にそう言われたリョウマは少し考えて気合いを入れた。

「ヤルでござる!諦めないでござるよ!」

そう言いながらトレントに突っ込んでいった。

リョウマが近づいた事により、トレントは自身の枝を鞭の様に振り回したり、土の中から根を使って捕まえようとしたりしていたが、リョウマは的確に枝を落とし、根を切っていった。

10分ぐらいだろうか、リョウマはその攻防を続け、トレントは丸裸になってしまい、トレントからの攻撃が来ないのが分かるとリョウマはトレントを切断し、倒した。

「やったぁ!やったぞー!」

「リョウマ、喜んでるところを悪いが時間が掛かり過ぎだ。」

喜びを全身で表していたリョウマは俺の一言で固まり、信じられないと言う様な表情をしていた。

「そりゃそうだろう。横からの攻撃だけじゃなく、地面の下からの攻撃、上からの攻撃、全て見てから反応して、攻撃を潰せてたという事は攻撃を予測して踏み込んだとしても対処出来たはずだ。」

「そ、それは・・・そうかもしれないでござるが、一寸厳し過ぎないでござるか?」

「遊びに来たわけじゃないからな。」

「そ、それはそうでござるが・・・。」

「さ、次だ。下の階層にいくぞ。」

「ちょ、一寸待つでござるよ。」

俺は弱気なリョウマを無視して下の階層へ襲ってくる魔物を一撃で仕留めながら何事も無いような感じで下りていった。

「さっ一先ずは此処でレベル上げしたら、次の階層ボスはこの下の階層にいるからリョウマ、お前にやってもらうから、ある程度レベルを上げたら手伝わないから1人で実戦を積んでいけ。」

「本気で言ってるでござるか?」

「冗談を言ってどうする。それとも宮大工の仕事は諦めるか?」

「や、やるでござるよ。」

その後、暫くはレベル上げに専念し、大丈夫だと判断するとそこからは戦闘技術を磨く為に只管、戦わせた。

『とうちゃ~ん。いっぱい、きをあつめてきたよ~。』

「おっ、よくやったなぁ。」

俺はリョウマに戦闘を指導するのに集中する為に息子に魔物のドロップ品を集める様に頼んであり、かなりの量を持って息子は走ってきたので、マップを確認すると今、リョウマが戦っている相手が最後だった。

「おーい、リョウマ!それで終わりだ。」

「本当でござるか。」

リョウマはそう言うとトレントをあっさり倒した。

「急にどうしたでござるか?」

「この階層にはもう魔物が居ないんだ。」

「は?どういう意味でござるか?」

「真司が残り全部狩ったんだ。」

真司は自分の戦利品を山積みにして嬉しそうにしていたのを見てリョウマはやっと理解した。

「・・・確かに根こそぎって感じでござるな。」

「あぁ、本当はもう少し戦闘技術を上げてからって思ってたが、まぁリョウマも慣れてきただろ。」

「まぁ。」

「じゃあ階層ボスの所に行くか。」

俺がそう言うと何かを諦めた様な雰囲気を出しながらリョウマは頷いていた。

リョウマが頷いたので階層ボスの前室まできた。

「さっ入る前にコレを飲んでおけ。」

俺はそう言うとポーションを取り出し、リョウマに渡した。

リョウマはポーションを飲むと俺の方を不安そうな目で見てきた。

「大丈夫だ。本当にヤバい時は助けるから。」

「本当にヤバいってそれ拙者、死にかけてないでござるか?」

「流石に内弟子でも無いのにそこまではしないって。」

俺がそう言うとリョウマは目を見開き、恐る恐る聞いてきた。

「内弟子だとしたら死にかけるまで戦わせるでござるか?」

「そりゃそうだろ。俺も親父にそうやって教えられてきたからな。まぁ実際、放っておいたら数えられないくらい死んでたし。」

リョウマは唖然としながら、話し掛けてきた。

「シュウトの父上は鬼でござるか?」

「う~ん、どうだろう。小さい頃からそうだったからなぁ。でも周りの友達に言ったら青ざめてたかな。」

「何となく納得出来るでござるよ。とりあえず、内弟子じゃなくて良かったでござるし、シュウトの異常な強さも納得出来たでござる。」

俺はそう言われ、納得出来なかったが、扉を開き、階層ボスの部屋に入っていった。

そこには先程までのトレントよりも遥かに大きいトレントが聳え立っていた。

「あ、あれはビックトレント、Bランクの魔物でござる。」

「そうなのか。でもBランクって言っても弱い方だろ?」

「確かそうでござるけど、Bランクでござるよ!?」

「お前ならイけるって。危なかったら助けるから。」

「そ、そうでござるか・・・まぁシュウトがそう言うのであれば・・・行ってくるでござる!」

そう言ってリョウマはビッグトレントに突撃していった。

その後、ボロボロになりながらも1時間を掛けて漸くビックトレントをリョウマは倒した。

俺はそんなリョウマに近づいて、ポーションを掛けてやるともう1瓶、ポーションを出して手渡した。

「なっ、大丈夫だったろ?」

「何を言ってるでござるか!?何度か死ぬかと思ったでござるよ!」

「そうか?確かに危ないとは思ったけど、死にかけては無かったぞ?」

「なっ!・・・もういいでござるよ。」

「しかし、不思議だよなぁ。」

「何がでござるか?」

「俺や真司が倒してもドロップ品しか手に入らないのにリョウマがやると木の魔物なら木材になって、ドロップ品は別に出てくるからなぁ。」

「あぁそれは多分、拙者が討伐ではなくて、形成のやり方で倒してるからって事なんじゃないでござるか。」

「なるほど、確かに工具戦闘術ってやつだもんなぁ。」

「そうでござるよ。それとレベルもかなり上がったでござるが、工具戦闘術のレベルも5まで上がったでござるよ。」

「へぇ~。なら、もう少し無理が効きそうだな。」

それを聞いてリョウマはしくじったって顔をしていたが、俺はスルーして、話をした。

「分かってないとは思うがそろそろ晩飯の時間だからドロップ品と木材を片付けたら部屋を出た所で、晩飯食って寝るからな。」

「もうそんな時間でござるか。そういえば、お腹も減ったでござるよ。」

「よし!じゃあ頑張った御褒美に俺が何か作ってやるよ。」

「良いのでござるか?」

「あぁ、レベル上げの所為で色んな物を壊されたくないしな。」

「あっ、鬼が居るでござる。」

「鬼ってなんだよ。優しくしてるだろ?怪我もしてないし。」

「それはポーションのお陰では・・・。」

「何言ってんだよ。どこも欠損してないし、レベルも上がったろ。」

「確かに50は超えたでござるが・・・。」

「とりあえず、飯が出来るまで力加減の練習がてら箸でも作っといてくれ。出来なきゃ飯抜きだし、外で寝てもらうからな。」

俺がそう言いながら薪を渡すと信じられないって顔で俺を見てきた。

「鬼でござる。鬼教官でござる。」

「いやいや、そうしないと色々壊す事になるだろ?そうなったら物によっては弁償もんだぞ?」

「いや、言ってることは分かるでござるが・・・。」

リョウマが言い訳をしようとしたのでジッと見ると観念したのかリョウマは箸作りを開始した。

リョウマは箸を作っては加減を間違えて壊し、作っては壊しを繰り返して2時間やり続けてやっと壊さず箸を使える様になったので、そのまま食事を終わらせた。

「よし!じゃあ寝るか。」

俺はそう言いながら移動式家屋を出してリョウマに入る様に進めた。
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